adventure 2005
著者名 タイトル 出版社 北方謙三 水滸伝(全19巻) 集英社 村上龍 半島を出よ(上・下) 幻冬舎 三雲岳斗 カーマロカ−将門異聞 双葉社
カーマロカ −将門異聞(2005.3.24)
三雲岳斗 双葉社
死んだはずの将門は、実は生きていた・・・!?
将門の乱の後、将門を名乗る賊が甲斐国近辺に出没する。そこへ不思議ないでたちをした3人の旅人が通りかかった。彼らは果たして何者なのか・・・?
3人を追って人々が甲斐に集まってくる。3人の目的はいったい何か。将門は本当に死んだのか。
かなりエンタメ度の高い歴史アドベンチャー(そんなジャンルがあるのか?)。歴史に詳しくないわたしのような読者でも十分楽しめた。なんといっても鬼王丸をはじめとする3人組のキャラがいい。まるでターミネーターのような怪僧や陰陽師や甲斐の忍者たち(笑)も大活躍。映画向きな作品だなあ。
もちろん映画向きなだけあって(笑)ツッコミどころもあちこちにあるのだけれど、とにかくストーリーのパワーで押し切られた感じ。いやいや、押し切れるってすごいことだと思うわー。
読了感も爽やか。まさに愉しむための読書。何もかも忘れて鬼王丸たちが暴れまわる世界を満喫すべき。
半島を出よ(上・下)(2005.5.12)
村上龍 幻冬舎
2011年。日本は国際的信用を失い、財政が破綻し、町には失業者が溢れていた。相変わらずの独裁政権が続く北朝鮮では日本に対するある計画が進行中。そんな中、福岡には社会から疎外された少年たちのグループがひっそりと息づいていた。
突然福岡に現れた北朝鮮の兵士たち。福岡ドームは占領され、町には北朝鮮の12万の兵士たちが押し寄せる。人命最優先の名の下に福岡を閉鎖し、なりゆきを見守るしかない日本政府。政府は福岡を見捨てるのか…。福岡の街は不穏な空気に包まれる。
読み始めて、背筋がぞぞ〜っとした。そのさもあり得そうな近未来の情景に。そのとき、わたしだったらどんな生活をしているのかと。そして、ゾクゾクしながら読み進めた。北朝鮮の秘密の計画。マイノリティとして育った子供たち。経験したことのない事態に対応できない政治家たち。緻密でこれでもかというくらい書き込まれた、いつこうなってもおかしくないような日本の状況や、反乱軍として日本にやってくる北朝鮮の兵士たち、いきなり支配下におかれた福岡の人たちの心境などなど、とにかく読みどころは満載で一読の価値がある。上下巻の長さをモノともしないリーダビリティもしっかりと持っている。
ただラストは、え、こんなんでいいの?と少し拍子抜け。いや、このくらいしかラストはまとめられないか。それから、ありありと立ち上がってくる登場人物たちが単にストーリーの展開上必要なキャラクターとしてしか存在せずに、その後どうなったかもわからないままうち捨てられているのもちょっと寂しかった。まあ、全員を細かく追えば脱線しまくりになるかもしれないか…。
あまりにも面白かっただけに、いろいろと目につくのかしら。
とにかく、初めてきちんと読めた村上龍作品。これからもう少し、頑張って読んでみようと思わせた。
水滸伝(全19巻)(2005.12.2)
北方謙三 集英社
長くて熱い漢(おとこ)の戦いを描いた北方謙三『水滸伝』がとうとう完結。さすがに長かっただけあって1巻1巻に読みどころ満載、とても一言であらすじなんて書けない。主要登場人物だけで100人超えてますから…!
でも無理矢理一言で言えば、これは宋の時代に腐敗した支配層を倒して新しい国を作ろうとした男たちの反乱の物語。「替天行道」の旗を掲げ、同じ志を持つものたちが集まって未来のために死を賭けて戦ったその生き様を描いている。
人間とは思えないような並はずれた能力を持った人たちがわらわらと出てくるんだけれど、その一人一人がきっちりと描かれていて、怒濤のような歴史の中で光り、あるものはその流れの中で死んでいく。やっぱり心に残ったのは5巻の青面獣楊子かなー。かれは強烈だったわ…。あとは豹子頭林沖ね。そのほかにも挙げていけば名前だけで埋まってしまいそう。
読みながら何度も熱くなり、叫びたくなるほどハラハラドキドキ興奮し、ときには「そんなわけないだろ!」とツッコミを入れ、そして泣いた。北方作品独特のリズムのある文章、歯切れのいい文体が絶妙に作品とマッチしていた。特に5巻、18巻のラストあたりなんかは涙なくして読めませんよ。最終巻は若干慌ただしく進んだ感もあったけれど、ちょっと切ない、余韻のあるラストは、19巻読んだ!という達成感と呆然感を妨げることなく、さらに続編へと繋がりそうな含みのある終わらせ方がよかった。
ああー、もう一度全巻通して一気に読みたいわ。しばらくは無理だろうけど。