another 2005


著者名 タイトル 出版社
シオドア・スタージョン 一角獣・多角獣 早川書房
本多正一/監修 凶鳥の黒影 河出書房新社



























凶鳥の黒影(2005.11.17)
本多正一/監修   河出書房新社


 主に『虚無への供物』を中心に、中井英夫の著書に対するオマージュ作品ならびにエッセイを集めたアンソロジー。短編の書き手が赤江爆、有栖川有栖、北森鴻、倉阪鬼一郎、竹本健治、嶽本野ばら、津原泰水、皆川博子、森真沙子、中井英夫、エッセイが恩田陸、笠井潔、菊池秀行、北村薫、長野まゆみ、三浦しおん、山田正紀、そしてあとがきにかえた短編が監修者の本多正一…って、この豪華な作家陣ってどうよ!? このメンバーを見てどうして読まずにいられようか。

 どの作品にも中井英夫に対するものすごい愛を感じる。改めて『虚無への供物』という小説のその影響力の凄さを思い知る。個人的に好きだなーと思ったのは赤江爆「歌野わかれ」、津原泰水「ピカルディの薔薇」、皆川博子「影を買う店」、そして中井英夫の「黄泉戸喫」かな…。これを読んだら改めて、中井英夫のほかの著作もぜひ読んでみたい!と思ったし、さらに前々から気になりつつほんの少ししか作品を読んでいない赤江爆や皆川博子のほかの作品も読みたいわ〜と思ってしまった。

 どの作品も幻想的で読み応えアリ。ただし読む前に『虚無への供物』は必読。

(収録作:短編 赤江爆「歌のわかれ」、有栖川有栖「彼方にて」、北森鴻「急行銀河・1984」、
           倉阪鬼一郎「黒月物語」、竹本健治「彼ら」、嶽本野ばら「流薔園の手品師」、
           津原泰水「ピカルディの薔薇」、皆川博子「影を買う店」、森真沙子「墓地見晴亭」
           中井英夫「黄泉戸喫」
     エッセイ 恩田陸「邂逅について」、笠井潔「中井さんと遇うまで」、菊池秀行「彼は怒っているだろうか」、
           北村薫「彗星との邂逅」、長野まゆみ「蛻のから」、三浦しをん「残酷な力に抗うために」、
           山田正紀「「虚無への供物」への供物」
       短編 本多正一「壁画と旅する男」)


異色作家短編集3 一角獣・多角獣 (2005.12.26)
シオドア・スタージョン/小笠原豊樹・訳   早川書房


 まさに「異色」短編集。スタージョンを読むのは奇想コレクションの『輝く断片』以来2冊目なのだけれど、こちらの方が個人的に断然好み。今まで絶版でずっと入手困難な状態が続いていたらしいのだけれど、こんな素晴らしい本が復刊されるなんてありがたいことだわ〜。ちなみに『輝く断片』には「死ね、名演奏家、死ね」が「マエストロを殺せ」というタイトルで収録されている。翻訳を比べるのもなかなかオツ。

 全体的にブラックで大人の薫り。気持のいい終わりかたをする作品もあるものの、ゾッとするようなラストや、救いがなかったり突き放されるような結末を迎える作品が多数。さらに発想がもうすごい。「ビアンカの手」なんて絶対他の人じゃ考えつかないだろう! 「熊人形」も怖いし、「監房ともだち」も言葉を失うわ。

 この本を読んで断然スタージョンに興味が湧いた。ほかのもぜひ読んでみなければ〜!

(収録作:「一角獣の泉」、「熊人形」、「ビアンカの手」、「孤独の円盤」、「めぐりあい」、「ふわふわちゃん」、
       「反対側のセックス」、「死ね、名演奏家、死ね」、「監房ともだち」、「考え方」)