science fiction 2005
著者名 タイトル 出版社 フレドリック・ブラウン さあ、気ちがいになりなさい 早川書房 瀬名秀明 デカルトの密室 新潮社 池上永一 シャングリ・ラ 角川書店 ケン・グリムウッド リプレイ 新潮文庫 藤崎慎吾 ハイドゥナン(上・下) 早川書房 打海文三 ぼくが愛したゴウスト 中央公論新社 リチャード・モーガン オルタード・カーボン(上・下) アスペクト 山田正紀 神狩り2 リッパー 徳間書店 山田正紀 神狩り 早川書房 森見登美彦 四畳半神話大系 太田出版 トマス・M・ディッシュ アジアの岸辺 国書刊行会
アジアの岸辺(2005.2.2)
トマス・M・ディッシュ/若島正・編 国書刊行会
「最高に知的で、最高に意地悪な作家」トマス・M・ディッシュの短篇集。ディッシュの作品には初めて触れたのだけれど、最初の短篇「降りる」ですっかりやられてしまった。まったく前知識なしで読んだので、最初はふんふんと読み進み、やがて、「は?」と目が点になり、最後にはあまりの結末にガーン。いったいどういう作家なんだ…と、読み進めば読み進むほどいつの間にやら嵌ってしまい、本を閉じるころにはすっかり頭の中がディッシュ色。とっても奇妙で、個人的にかなり好き。
物語はブラックでシュールなものが多いかな。カフカの『変身』みたいに、不条理で、救いがない。けれど不条理な中にも描写は緻密で、リアリティがあって、全体的には冷たくて硬質な印象。クール!
「降りる」、「リスの檻」、「国旗掲揚」、「話にならない男」がちょろいも的にはお気に入りかな。読みやすいエンタメにちょっと物足りないモノを感じている人には刺激的でオススメ!
(収録作:「降りる」、「争いのホネ」、「リスの檻」、「リンダとダニエルとスパイク」、「カサブランカ」、
「アジアの岸辺」、「国旗掲揚」、「死神と独身女」、「黒猫」、「犯ルの惑星」、「話にならない男」、
「本を読んだ男」、「第一回パフォーマンス芸術祭、於スローターロック戦場跡」)
四畳半神話大系(2005.2.8)
森見登美彦 太田出版
おもしろかった!!!
まったくの前知識なしで読み出したので、第一話を面白く読み、第二話を読み出して「…??」と思い、第三話を読み出してしばらくしてやっと、これがSFだということに気づくダメっぷりだったけれど、いやいや何も知らなかったから余計に愉しめたかも。
大学3回生になる若者のどうしようもなくダメダメな生活。
まあその一言に尽きる話なんだけど(笑)。
登場人物がみなエキセントリックで個性豊か。「私」の悪友・小津のキャラは中でも強烈! いやー絶対お近づきになりたくないわ…。
内容はくだらないとはいえ構成はもうキッチリと決まって、小物の使い方もお見事。よくわからなかった不可解な出来事も最後ではビシッと種明かしが決まって、ラストもついニヤリ。
作者は第十五回ファンタジーノベル大賞受賞者。やっぱりファンタジーノベルってレベルが高いということかしら。これはデビュー作『太陽の塔』もチェックしなくっちゃ。
神狩り(2005.4.14)
山田正紀 早川書房
20代前半の若さにして情報工学の天才である島津圭助。まさに人生の成功者としての軌道を突き進んでいくかに見えた彼だが、「古代文字」の発見により彼の人生は大きく方向を変えることになる。その文字は「人間ではけして理解し得ない法則」で書かれているようだった。その文字を使いこなせるとすればそれは人間ではあり得ない。では誰が? 神が…!
古代文字の発見された洞窟への案内人は落盤事故で死亡し、突然洞窟に現れた謎の人物に古代文字へ近づくなと警告を受けた島津は他国の情報機関に監禁され、やがて元神学者だったという老人と出会う。彼は文字通り神に戦いを挑んでいた。そして彼の仲間には美しき霊能者・理亜(ゆりあ)と華僑の出身である宗がいた…。
いやー、しびれるほどかっこいい。これぞSF。30年前に描かれたとは思えないほど斬新だ。コンピュータの能力などもちろん今とは比べものにならないほど古いんだけれど、そんなことは全く物語を陳腐にさせない。難しい理論が出てくる割に読みやすさも抜群で、あっという間に読み終えてしまった。なんせスケールが大きい。相手が神だもんねっ。
キリスト教の解釈も『ダ・ヴィンチ・コード』の比じゃない。ヴァチカンが読んだら大変だよ(笑)。日本にこんな先鋭的なSFがあったのか〜。もっと若いうちに読んでおけばよかった。そうしたら、その後の読書傾向が変わっていたかもしれない。
山田氏の作品を読むのはこれが初めて(こればっか…)なんだけれど、今はSFよりもミステリで活躍されてらっしゃるのね。
神狩り2 リッパー(2005.4.22)
山田正紀 徳間書店
30年ぶりに執筆された『神狩り』の続編。
あの島津のその後の変貌ぶりに驚愕。
かなり全作より科学っぽくなっていて、書き込みっぷりがすごいのだけれど…。
どうしてこんな文章になっちゃったんだろう。くどくて非常に読み難かった。あとがきによると結構削ったようなことを書いてあるのだけれど、うーん、あと3分の1は削れそう…。おかげで前作に感じた勢いのようなものはすっかり殺がれてしまっている印象を受けた。
そもそも「リッパー」がどうやって入手され、何故よりにもよってリップスティックに加工されているのか、そのあたりがよくわからない。目的もわかるようでよくわからない…。文章に振り回されて、ストーリーがすっと頭に入ってこないのよー。(>_<)
理亜と「神」との壮絶な戦い、みたいなことをにおわせるのに実際に戦いに入るのはラストに入ってからだし。このラストのあたりの「神」も…なんだか前作の不気味さ、みたいなものがなくなっちゃっている感じ。
「人間の脳は、その主たる機能は−−、人間に対して事実を隠蔽することにある。」というこのコンセプトはおもしろい!と思ったんだけどなあ。
期待が大きすぎたのかしら。
オルタード・カーボン(上・下) (2005.5.8)
リチャード・モーガン/田口俊樹・訳 アスペクト
時は西暦27世紀(?)、有機体損壊罪その他で百数十年の保管刑を受けていたはずのタケシ・コヴァッチは故郷から遙か遠く離れた地球で呼び覚まされた。人間の精神がデジタル化できるようになったこの時代、たとえ肉体(スリーヴ/殻)は滅びても内蔵スタックさえ新たなスリーヴにダウンロードすれば人は不死を実現できる。「保管刑」とはスリーヴから内蔵スタックデータを切り離される刑罰で、刑期の間にスリーヴの保管料を支払うことができなければ、そのスリーヴはほかの誰かが買い取りデータをダウンロードすることで他人として生きることになる。
コヴァッチを仮釈放し、別人のスリーヴにダウンロードしたのはすでに300年を超えてスリーヴを乗り換えつつ生き続けるバンクロフトなる大富豪だった。彼は48時間おきに自動的にスタックデータを遠隔保存していたが、不慮の死亡により保存データを使って生き返っていた。その死は自殺とみなされたが、自らの自殺を信じないバンクロフトは自分の死の真相を調べることを有無を言わせぬ方法でコヴァッチに依頼したのだ。
バンクロフトとともに300年を生きるミリアム夫人、地球の警察機構のオルテガ、コヴァッチが滞在するホテルの人工知能、ひとくせもふたくせもある人物がコヴァッチを待ち受ける。そこに繰り広げられるのは愛と死と謎との物語。
舞台は未来で小道具はSFだけれど、これはハードボイルドだ。
内臓スタックさえ新たなスリーヴにダウンロードすれば人は死なずに住む世界。けれど実際にそんなことができるのは一部の特権階級のみ。結局人間の営みは、本質的には何も変わらない。
タフでクールなコヴァッチとともに、読者は危険をくぐり抜けながら謎を少しずつ解き明かしていく。物語の世界観は独創的なのに、ストーリーは懐かしい。ワクワクするけれど安心して読めるのよね…。
舞台も凝っていれば、伏線もあちこちにきっちりと張り巡らされている。まさに上質のエンターテイメント。上下間の長さをものともしない勢いで物語は加速する。SF好き、ミステリ好き、ハードボイルド好き、どなたもきっと満足できるはず。
それにしてもこれが著者のデビュー作とは…。
どうやらこの作品はシリーズとなって本国では続編も出ているらしい。またコヴァッチの活躍が読めると思うといまから邦訳が楽しみだわ〜♪
ぼくが愛したゴウスト (2005.5.21)
打海文三 中央公論新社
11歳の夏、「ぼく」こと翔太は生まれて初めてひとりでコンサートを観に行った。緊張と興奮のさめやらぬ帰りがけの駅のホームで、突然起こった人身事故。それが翔太のその後の運命を180度変えてしまう…。
いきなり迷い込んだパラレルワールド。一緒に迷い込んだ売れない俳優・ヤマ建とともに、翔太は自衛隊や警察の彼らを巡る大争奪戦に巻き込まれる。果たして翔太は無事に元の世界に戻ることができるのか…?
以前読んだ『裸者と裸者』がめちゃめちゃよかったのでかなり期待して読んだんだけれど…。ちょっと今回はツメが甘かった気がするなあ。同じ子供を主人公にした作品だけれど、『裸者と裸者』の海人とこちらの翔太ではまるっきり性格が違う。自分の力で困難な状況から道を切り開いていくのが海人、どこまでも流されていくのが翔太。これだけ違う性格の少年が描けるというのはスゴイと思うのだけれど。
だいたいなんでシッポ…?
なんで硫黄の臭い…?
ラストも不満。(以下ネタばれっぽいので伏せ字)
これじゃある意味夢オチじゃないか!!
後半翔太に重大な転機をもたらす人物についてもその動機がよくわからない。「心がないから」ってそれじゃ動機を説明しない理由になってませんて。
「パラレルワールドには心のない人間たちが住んでいる」という発想はおもしろいと思ったんだけどなあ。うまくその発想が作品のなかで昇華できていない感じ。
ああん、もったいない。
ハイドゥナン(上・下) (2005.8.31)
藤崎慎吾 早川書房
西暦2032年、東京の心理学部の学生、伊波岳志はダイビング中にたびたび不思議な女の声を聞くことに悩んでいた。彼は音や文字に色や匂い・味を感じる「共感覚」の持ち主だが、声はそのたぐいとは違う気がする。一方、東京から遠く離れた沖縄・八重山諸島の与那国島に住む後間柚も、夢の中で海を泳ぐ青年に声をかける夢を度々見ていた…。
またその頃、大規模な地殻変動により近い将来沖縄諸島が沈没する、という予測データをもとに、領土問題にばかりこだわる政治家たちを差し置き沖縄諸島の人々を救おうとする試みが一部の科学者たちによって始められる。
そして遠く離れたアメリカ本土では、生命の痕跡が伺われる木星の衛星・エウロパに向けて探査機が打ち上げられ、それに関わったマーク・ホーマーは探査機に誰にも知られずにひとつの仕掛けをしたことを悩んでいた…。
大きく3つの軸にそって物語は進む。岳志と柚の恋の顛末、科学者たちの沖縄を救うための秘密のオペレーション、そしてエウロパに仕掛けられたひとつの賭け。それぞれが交差し、壮大かつ綿密な織物が編まれている。
けれど何しろ、長すぎる…。文章自体は読みやすいので、厚さの割にさくさく進むものの、どれが一番の軸ということもなくいろいろな面が同じくらいの密度で書き込まれているために、どうしても冗長な印象。沖縄沈没に向けてカウントダウン! 果たして彼らは沖縄を救えるのか!?という臨場感溢れるサスペンスを期待すると肩すかしを食らう。かなり鬼気迫る状況なのに、なぜか妙にのんびりしているというか、間延びしているというか…。もう少し、どこかに焦点を絞ってほかの部分をざくっと削った方がよかったんじゃないかしらん。何しろめちゃめちゃおもしろそうな設定なので、本当に残念。
岳志と柚の恋愛を軸にするならもっと直の嫌らしさ、孤独感、苦悩を書いてンニムヌとの対決をババーンと書いた方がいい気がするし、隠れマッドサイエンティイスツをメインにするならもっとISIC理論を全面に出して壮大に大風呂敷を広げて、いっそ岳志を削ってしまったほうがよかったような(爆弾発言?)。
あれもこれもと欲張りすぎて(確かにどれもおいしそうな材料なんだよな〜〜。岳志の弟の元とかも…)、結局散漫になってしまったような。残念ながら、話にのめり込んで愉しむことができなかったわ…。
リプレイ (2005.10.11)
ケン・グリムウッド/杉山高之・訳 新潮文庫
ジェフ・ウィンストンは43歳でその人生の幕を閉じた。冷えてしまった夫婦生活、成功したとは言えない社会生活、それはある意味失意の人生と言ってよかった。しかし、自分は死んだのだ、と思った瞬間、ジェフは自分がベッドの上で目覚めたことに気づく。1963年、5月。彼は18歳だった。43歳までの記憶はそっくりそのままで…。
傑作。こんな作品を今まで読まずにきたなんて〜!
何度も半生を繰り返すある男の物語。死んでも次の人生に持っていけるのは記憶だけ。最初は巨万の富を得て冷たい家庭を持ち、次の人生ではその虚しさを知り初恋を大切に生きる。やがて見つかる彼の仲間。そしてついに彼の選んだ生き方は…。
わたしも確かに、今18歳に戻ったら、ある程度大金持ちの生活を送ることができるかも。でも何度も20数年を繰り返し生きなければならないとしたら? ジェフのように前向きに人生を生きることができるかしら。
同じ時間モノでも、ある一日を繰り返す北村薫『ターン』やあのハインラインの名作『夏の扉』のような、時間のひずみから脱出しよう、とか自分の状況を打破しよう、という作品とはちょっと違う。ジェフはただ、自分の置かれてしまった状況の中でなんとかよりよい人生を生きようとあがく。その姿につい、自分の人生について…なんてちょっと深いところまで考えさせられた。
読み物としても翻訳もの特有の入り込みにくさが皆無で、読み始めるともうページをめくる手が止められない。
知らない作家だから…翻訳物だから…と敬遠している人はぜひぜひ、そんなこと言わずに手にとってほしいわ〜!
シャングリ・ラ (2005.11.21)
池上永一 角川書店
地球温暖化が進み、熱帯と化した東京。世界的に炭素税が課され、国連の衛星イカロス3号が世界中の炭素排出量を監視、大量の炭素を出した国にはペナルティが課せられる。すべての経済は炭素指数によって動いていた。そんな世界の流れの中で、東京は気温を5度下げることを目標に東京を森林にする計画を発動する。巨大な高層都市「アトラス」に住むことができれば快適な生活を送れるが、裕福でない人間にアトラスは厳しかった。反政府組織「メタルエイジ」はアトラス計画を倒すべく活動を続け、その頂点に立つのが若き北条國子だった…。
最初はハードSFにホラーの入ったかなり重厚な物語かな?と思ったら、いつのまにやらアニメチックなハチャメチャストーリーに…。上下二段組み600ページ弱と、かなりの長さのある作品なんだけれど、スピード感があって読みやすかった。
アトラス計画の謎とか、経済炭素と実質炭素の乖離とか、嘘をついたものに死をもたらす美邦とか、設定はすごく面白い。ちょっとオカルト入りすぎ…な感もなきにしもあらずだけれど、まあアニメだと割り切ることにする。さらにちょっと登場人物がターミネーター入りすぎ…な部分も、まあアニメだと割り切ることにする(笑)。
でも個人的にアニメっぽいのはあんまり好きじゃないのよね…(苦笑)。なかでも涼子のキャラクターはやりすぎじゃないかなあ。わたしは彼女の登場でどっぷり浸かっていた世界からちょっと引いてしまったわ。
キャラクターは、何と言っても、モモコさんが素晴らしい! モモコさん最高!
重要キャラであるはずの草薙が弱いのがもったいない。
あと、個人的には香凛のご両親がものすご〜〜〜〜〜〜く気になった。
ただ、そういうキズはいろいろあるのだけれど、読んでいる間はすごーく愉しんだことは確か。これだけの長さをだれさせないのはスゴイ。たぶん連載だった、というのも大きいのかも。場面の切り替えや展開が早くて、少しずつ読者をひっぱるのよね…。逆に言えば、連載だからスピード重視で細かいことは割におざなり、話がドラゴンボールっぽくなってくる…ということになっちゃったのかな。
最後にネタバレを少し。
ラスト國子が皇太子に…というのは個人的にちょっと納得いかなかったわ。いや、彼女が主人公なんだからそうなるのは当然なんだけれど、ちゃんと血を引いた人間が2人もいるのにクローンを皇太子に据える、というのがなんだか…という感じ。あと、ミーコが助かるなんておかしいだろ! …まあそれも、アニメだと割り切ることにするわ(笑)。
デカルトの密室 (2005.12.14)
瀬名秀明 新潮社
メルボルンで開催される世界的な人工知能コンテストに参加した尾形祐輔は、参加者の中に信じられない名前を発見する。その名はフランシーヌ・オハラ。10年前に事故死したと言われていた天才科学者である彼女と、尾形は10代の頃の数学コンテストに一緒に参加し、チェスの対戦をし、ひとつの賭けをした過去があった。彼女は車椅子にのり、彼女そっくりの擬態エージェント(アンドロイド)とともに衝撃的に会場に現れる。しかしその直後、祐輔は何者かによって”中国の部屋”に監禁される…。
祐輔が作製したロボット・ケンイチは、祐輔の危機を知り、心理学者・玲奈とともにメルボルンで祐輔を捜す。そしてケンイチはそこで何かを見、フランシーヌを射殺する…!
はたしてケンイチは、自分の判断でフランシーヌを殺したのか。それとも何者かに操られたのか…?
”デカルトの密室”というのは、人間の意識を閉じこめている脳のことを言うらしい。ひとはけしてその密室から出ることはできない。しかし、意識がその密室から解き放たれることは絶対に不可能なのか?
SFミステリなんだけれどかなり哲学的な作品だった。正直言って、この作品の中身を完全に理解したとは言い難い。ほとんど哲学問答みたいな部分もあるし。
けれど哲学にまったく興味がないわけじゃなく、ときどきはっとする文章があってドキッとした。ただ、そういう鋭いセンテンスが全部きれいにすくい上げられているかというと、うーん、どうかなあ。難しいからきっぱり言い切れないのが歯がゆいけれど、どうもうまくまとまりきれていない印象も。もうちょっとすっきりと読みやすくできたような気もする。
いつの時代の話なのかがはっきりしないんだけれど、おそらくは10年以内くらいの近未来。しかしそれにしては舞台装置がめちゃめりゃ懲りすぎ。ここまで手をかける意味あるの?と首を傾げたくなるほど。最初に祐輔が閉じこめられていた部屋もそうだし、大企業プロメテの会長・青木が世界5カ所に作ったというヴィトゲンシュタインの屋敷も、あり得ないくらい凝っている。ドリーもすごいよなあ。でもロボット工学の進捗状況なんてわからないからなー。このあいだはアシモがテレビで走ってたし。まあ、SFということで…。
全体的には非常に読み応えのある作品だった。
でもちょっと消化不良…胃もたれしてます。理解力なさすぎってことかしら…。
あと、ちょこっとだけネタバレを以下反転で。
そういえば、フランシーヌといい、真賀田四季(by森博嗣)といい、女性天才科学者って自分の子どもに対する愛着って一切ないのかしらね…。
異色作家短編集2 さあ、気ちがいになりなさい (2005.12.21)
フレドリック・ブラウン/星新一・訳 早川書房
今話題の異色作家短編集。その中でこの本を読もうと思ったのはなんと言ってもそのタイトル! 今こんなタイトルで新刊を出版したらかなり問題になりそう…。
収録されているのはすべて1940年代に執筆された12編。ブラウンを読むのは初めてだったのだけれど、どれも意表をついた展開で読み始めたときには思いも寄らなかったラストへ着地するその鮮やかな筆さばきに呆然。星新一の訳もすばらしい。こういうクラシックだけれど新鮮で、ひねりが効いているけれどひねくれていない上質な作品は、中学生くらいのときにガシガシと読んでもらいたいわ。多分普段本なんて読まないような人でもとっつきやすくて、しかも読書の愉しさを知ることのできる本だと思う。もちろん、いつも本を読みまくりの読書大好きな人たちでも満足できること請け合い!
個人的なお気に入りは、「電獣ヴァヴェリ」、「ユーディの原理」、「沈黙と叫び」、「さあ、気ちがいになりなさい」かな。
(収録作:「みどりの星へ」、「ぶっそうなやつら」、「おそるべき坊や」、「電獣ヴァヴェリ」、「ノック」、
「ユーディの原理」、「シリウス・ゼロ」、「町を求む」、「帽子の手品」、「不死鳥への手紙」、
「沈黙と叫び」、「さあ、気ちがいになりなさい」)