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著者名 タイトル 出版社 千野栄一 言語学フォーエバー 大修館書店 ピーター・ハクソーゼン他 敵対水域 文藝春秋 岸田秀 ものぐさ精神分析 改版 中公文庫 岸田秀 続ものぐさ精神分析 中公文庫
ものぐさ精神分析 改版
岸田秀 中公文庫
面白かった! そして、カルチャーショックを受けてしまった。難しくって、なんと
レジュメなんて書きながら読んでいたので、すごく読むのに時間がかかってしまった。
日本という国が精神分裂症気質である、とか、人間の性本能は壊れていてすべ
ての人がもともとは性倒錯である、とか、時間というのは人間の本能がとどまると
ころを知らない欲望へと変質してしまったために尽きることのない悔恨が生じ、その
ために作り出された概念だ、とか、もうもうとにかく今までそんなこと考えたこともな
かったよ!という切り口にただただ驚きながら読了。
後半著者自作の詩が出てきたときにはちょっと閉口したけれど、とにかく一読の
価値のある一冊だった。自己嫌悪やセルフイメージに対する考察もスゴイ…。
びっくりする説ばかりなのに、すっかり納得させられてしまって、なんだかちょっと
クヤシイ(笑)。続編もあるらしいので、続けてよんでみたい。
続ものぐさ精神分析
岸田秀 中公文庫
著者自身が「二番煎じ」「出がらし」と言うだけあって(笑)、かなり前作と重複した
内容の目立つ本。でも、やっぱり、面白い。
今回興味深かったのは、後半の文学者達の精神分析(?)。三島の精神は最初
から死んでいた、芥川は現実を鋭く批判しているようでいて、自分の内面の同じ要
素は不問にしていたために自分の足場というものがなかった、太宰は他人から独
立した自我というものを持てず他人から分離できない甘ったれだった、など、手厳
しいけれどなるほどーと思ってしまう。
また、笑いというのは共同幻想によって強いられた緊張が弛む際に起こる、とい
うのもなんだか納得させられてしまった。
敵対水域(2003.2.24)
ピーター・ハクソーゼン イーゴリ・クルジン R・アランホワイト
/三宅真理・訳 文藝春秋
事実は小説よりも奇なり?
最近映画で話題になった「K−19」と同様、冷戦の最中アメリカ沿岸で秘密任
務についていたソビエト潜水艦K−219がアメリカの潜水艦と遭遇した際に事故
を起こし、火災・毒ガスの発生した艦内からいかに乗組員が生還したかを描いた
ドキュメンタリー。
とにかく、読ませる。下手な小説よりも面白い。ハクソーゼンは元米海兵、クル
ジンは元ソ連海兵、そして残るアランホワイトは作家だというんだから、そりゃあ
内部事情に詳しくしかもエンタメ性のある作品に仕上がるわけだ。
ただ、それだけに、どこまで脚色されているのか?とつい疑念がよぎらずにい
られなかった。ワイドショー的、というか、あまりにもドラマチック。著者が取材に
取材を重ねて、集めてきた素材を最低限の調理法で並べてみせるのとはちょっ
と違って、具材が舌にのせたとたんとろけるような、しっかりした煮込み料理を
出されたような印象。いや、おいしいんですけど、それはそれで。
言語学フォーエバー(2003.4.10)
千野栄一 大修館書店
結構難しかった…。言語学って大変なのね…。
前半はさらりとしたエッセイで、言語学を専攻していた著者が通訳に駆り出され
たときのおもしろいエピソードや、学生に出題した変わった試験課題など、「読み
物」っぽい内容なんだけど、だんだんと言語学の中身とか、歴史とか、言語学の
内包する問題や意義など堅苦しいものにシフトしてくる。いやー、文学には興味
があるけれど、言語学には手は出せないわ…というのが正直な感想。
中ではチェコの作家カレル・チャペックの話が興味深かった。