記憶



いつ頃だったのだろう?

貴方の声を思い出せなくなったのは

貴方のくれた言葉をはっきりと思い出せなくなったのは

貴方の手の大きさと暖かさを思い出せなくなったのは

貴方の表情がひとつしか思い出せなくなったのは

記憶の中の貴方は微笑んだまま


わざと忙しくしている日常の中で

いつしか貴方との日々も薄れていって

貴方と過ごした場所も少しずつ変わっていって


それでも 唯一つ

忘れたくても忘れ得ないこと

貴方がいなければ「今」はなかったことだけは

全ての遺伝子に深く深く刻み込まれている