月夜



「愛している」

「永遠に傍にいるから」


腕の中

貴女の耳元でそう囁く

上目遣いに僕を見つめ、唇をほころばせる貴女


愛しているとか、永遠とか

簡単に口にしないで

愛なんて泡沫の戯れで

人の心なんてあの月よりも移ろい易いものなのだから

貴方か 私か

どちらかの心が移ろえば全ての約束は無に帰してしまう


いつもと同じ微笑を湛えたまま言の葉を連ね

細い指先で僕の頬にそっと触れる


約束よりも、この刹那があればいい


僕の中に、消えそうな呟きが響く

僕の首筋に、君が印した深紅の痕が浮かぶ