すかっ?本| (註)この作品に関する話しは、某HPで“web野ざらしの刑”になってしまった不吉(?!)な代物です。 御存じの方も居られると思いますが、『12<twelve Y.O.>(以下、『12』と省略す)』は、この年の乱歩賞を受賞しました。まっ、小説の“賞”に関しましては、皆さんも色々とご意見―宮部みゆきが“新人*1”かぁ?(あっ、決して『理由』が気に入らないわけではなく、あくまで“新人”と言うこと)、私は東野圭吾(この人も“新人”?)『秘密』のほうが好きだとか―がございましょうが、そんなことは取り敢えず置いときましょう。 まず、フェアでは有りません! 『12』の参考文献に、『兵士に聞け』(杉山 隆男著,新潮社’95年、同文庫’98年)ってノンフィクションが載っているんだけど、これは、"参考"なんて生やさしいもんじゃなくて完全にパクリ。この物語の骨格の一つ、自衛隊の抱えている問題なんて、文までほぼ一緒。 『兵士に聞け』では、自衛隊基地内部には鏡が其処かしこに置いてあり、隊員は始終それを気にし、身だしなみを整える。そのことを、現在の自衛隊が抱える様々なことを象徴するものだと捉えている。そう、杉山氏は地道な取材によって、自衛隊の本質を“鏡”に見た。それを、後から作品を読んだだけで安易に使ってしまう。コレはイカンだろ!しかも、それで、『12』が『兵士に聞け』を超える物語になっていれば(私は)許す。 余談だが、数年前、夢枕獏が『サイコダイバー・シリーズ』の中で創作した、“裏高野”なるものを、萩野真が『孔雀王』の中で無断で使用したことに猛烈に批判していた。しかし、本家(夢枕氏)を超える面白さなら許そうとも…。 しかも、私の予断(邪推?)かもしれないが、福井氏は、多分、『兵士に聞け』の1章しか読んでないような気がする。なぜなら、私ならこっちのネタを使うって言う章がその後、何章か続くから。 例えば、『旧海軍の末裔』を名乗ることに憚らない海上自衛隊が旧軍の頃から抱えている、矛盾した体質だとか、PKO帰りの自衛官の後遺症だとか。それに、後の章読んでたら、護衛艦の中の描写をもう少しましに書いていただろう。 もっと、フェアじゃないこと。 杉山氏には、『兵士に聞け』の続編で、『兵士を見よ』(新潮社,’98年))と言う作品がある。しかし、『12』の参考文献には、この作品についてまったく言及されていない!明らかに、参照した形跡が見られるにもかかわらずである!『12』の中に、平という名の自衛官が登場する。彼のバックボーンのネタは、全てと言って良いほど、『〜見よ』からのパクリ! 私は、“エンターテーメント文章業界(有るのか?)”の作文作法は知らないが、私の居る業界でコレをやったら、石以て終われます。まっ、そんなに規制の有る業界ではないようなので、目くじらを立てることもないと思いますが、だったら、最初から“参考文献”なんて書かなければ良い。 またまた、邪推(いや、マッタク!)だが、福井氏は『兵士を見よ』からもパクっていることに対する、偽装―言葉が悪いか―、もとい!免罪符として“参考文献”に『兵士に聞け』を載せたのでは有るまいか?言い過ぎですネ、反省します(^_^;)。 さらに、フェアじゃないこと。*ここからは、ネタばれしています。 タイトルの“12”って、何処に由来するのかと言うと、「日本人は、12歳だ」ってマッカーサーが言ったことである。 で、この物語は、大人の国=アメリカと、子供の国=日本の話。って、何か思い出さない?思い出せませんネ(~_~;)!これは、楳図かずおの『14歳』です。楳図自身が、「マッカーサーが、「日本人は14歳だ」と言ったのを覚えていたんだすね。でも後から聞いたら12歳だった(笑)。」と、『14歳』のタイトルをつけた経緯を語っている*2。 そう言う要素を加味すると…。タイトル、内容、自体パクリ! そして、『12』の中の登場人物、アイテムなどもパクリ! 言うまでもなく、“参考文献”の中には『14歳』は、入っていません! まっ、インスピレーションを受けたものは、“参考文献”とは言えんが…。 で、置いておいた“賞”について。 ホンと最近の乱歩賞って何でコンナンがって作品が受賞するよな〜。全体的に書き込みが浅い! 例えば、鳴海章『ナイトダンサー』とか、鳴海章は私的には、日本で数少ない"飛行機モノ作家"なんで私は好きだが、『ナイト〜』で受賞しちゃイカンだろう。川田弥一郎『白く長い廊下』、中嶋博行『検察捜査』も書き込みが浅かった。 思えば、井沢元彦『猿丸幻視行』以降(と言ってもその前のは斉藤栄『殺人の棋譜』、栗本薫『ぼくらの時代』しか読んだこと無いが)、ちょっと一般人が知らない世界の蘊蓄をミステリーの中に―あくまで中であってその世界でなくても十分ストーリーが出来上がる―取り入れただけの作品が受賞する傾向にあるように思われる。 上の例では『ナイト〜』飛行機業界と自衛隊、『白く〜』大病院、『検察〜』検察、『猿丸〜』石川啄木と『いろは歌』、その他にも高橋克彦『写楽殺人事件』は浮世絵会だし、そう言えば『殺人の棋譜』は将棋界か。問題の『12』は、「自虐的日本史〜」。 それにしても、『12』の他の受賞作はまだ説得力があった。なぜなら、舞台−テーマ−がそんなに大ががりじゃなかったからで、「自立した日本」なんてもん扱うのにあの内容じゃネ〜。アメリカが自立した大人の国かっての!大人を通り越して、レーガンみたいにアルツハイマーになってたらどうすんの?子供の国代表、東馬(主人公)―コンピュータ・ウィルスだの人間兵器だの大好きなところはまさにガキ―と、呆けた国―沖縄でひき逃げしても知らん顔―代表の対面。東馬が呆けた親父に、如何に自分が大人になったかを一生懸命話している最中に、失禁する親父―元大統領―、"アテント"(大人用紙おむつ)は糞でいっぱい。毒ガスなんてモノ持ち出さなくても十分インパクトのあるラストだと思うけど。そもそも、呆けていようが、いまいが、元大統領引っぱり出すぐらい簡単だと思うが。 その他、細かいところ―コンピュータ・ウイルスの正体、全体的な人物に対する書き込み不足、軍事知識のなさ(対潜ヘリで戦闘機が落とせるかーぁ(怒)!!!!!)―などなど、ココ何年かで、最高の“すかっ?本”でした。 んで、最後の邪推。 乱歩賞って、映像化の権利、講談社が持ってるんだよね〜。 アニメ化するぞ!きっと! アニメなら登場人物の書き込みなんて、テキトウで良いし、アニメ好きのハートをくすぐる(死語?)アイテム―美少女ソルジャー、兵器、毒ガスetc.―は、満載だし…。 アニメ化の際には、“参考文献”に『兵士を見よ』と『14歳』ぐらいは、クレジットに載せようネ。 <蛇足> 今回、杉山氏の肩を持ちすぎたような気もするが、氏の『兵士を見よ』の、パイロットの描写―高いGの中で、指はピアニストのように繊細に動く(みたいなの)―と同じ様なのは、一連の鳴海章の作品の中にも有ります。 まっ!指の繊細な人の比喩として、“ピアニスト”を使うのは普通だから良いでしょう。何より、面白いし!OK! *1.直木賞の対象は新人作家の作品。と決められている。 *2.「対談 楳図かずお×堪木野衣」『STUDIO VOICE』流行通信社,1993年11月号 |