すかっ!本


カール・セーガン著青木薫訳『カール・セーガン科学と悪霊を語る』新潮社,1997年

 えー、拙文をずうっと読んでくれてる人には判ると思いますが、わたしは“懐疑主義者”です。って言うか、もっと性質が悪くて―もっと低レベルで―、“ビリーバーを笑うもの”です。そもそも、わたしが何でこんな人間に成ってしまったかと言うと、カール・セーガン博士のおかげです。
 あれは、中一の頃でした。テレビ朝日系で『COSMOS』って番組を見たのがきっかけで、“科学”なるものに魅せられ、それ以来ズーッと今まで来ています。そして、この番組の企画、出演をしていたのがカール・セーガン博士でした。運(頭も)悪く、現在、幸いにも“科学者”なるものには成らずに済んでいますが…。この後、わたしはカール・セーガン博士の追っかけになってしまいました。
 んで、1986年に新潮選書から出版された『サイエンス・アドベンチャー』を読んで、この性癖は、決定的に成りました。
 白状しましょう。それまで、わたしは1999年に地球は滅ぶと思っていました(^_^;)!いやー、若さゆえの過ちを認めるのは恥ずかしい。認めたついでに、五島勉氏の著書を疑いもせず頭から信じていました!流石に川尻徹博士(この人、本当に精神科の博士らしい)の説は、「本当か?」って疑ってましたが(とかいっても、五島氏信じていた時点で言い訳できないんですけど…)…。
 そんな、わたしにとって、博士の遺作となったこの本は、特に、思い入れの深いものです。

 しかし、わたしのような者がこの本について語るのはあまりにも、セーガン博士に失礼なので、今回は『HAL科学と悪霊を語る』と言うことにさせて下さい。

 こんな(“ビリーバーを笑うもの”)、わたしの恐怖体験をお話しましょう。
 アレは…。
 浪人生の頃の話です。
 漠然とした不安感を抱き、日々悶々と過ごしていた浪人生のわたしは、その日も鬱々と過ごし、夜遅くになって床につきました。
 その日は、風が強く、その音が気になってなかなか眠れませんでした。
 それでも疲れていたのでしょう、いつのまにか眠ってしまいました。

 何時間眠ったのでしょう。突然、目が醒めました。
 しかし、体が動きません!いわゆる“金縛り”にあってしまいました。
 「こっ、コレは?!“金縛り”=入眠時レム睡眠障害って奴だな!」“ビリーバーを笑うもの”であるわたしは、こんなコトではビビリません!
 「ええっと、こう言うときは慌てず、体が覚醒するまでジッとしてれば良いんだ」。少し息苦しさは有りましたが、これも睡眠状態の呼吸のまま、いきなり一番酸素を必要とする脳の覚醒がおこったことで、苦しくなったのだろうと“科学”的な解釈をしていました。
 っと、ココまでは余裕がありました!始めての“金縛り”(^。^)。こんなチャンスは2度と無い(実際それ以来経験していません)と、色んなところを観察していました。

 そしたら…。
 当時、わたしの部屋は、窓(すりガラス)ぎわに布団がひいてありました。そして、窓のすぐ向こうは隣家の塀でした。その塀の上に…。
 居るんですヨ!何がって?
 体長5pくらいの小人が…。
 それも、輪になって踊っているんです!!
 ビビリました!心底恐怖に慄きました!
 「カール(呼び捨て。しかも、ファースト・ネームを)の嘘吐き!」「世の中には、霊は存在するじゃないか!」いろいろな心の声が聞こえます。それに混じって、小人のものと思われる、コロコロという笑い声も…。正に恐怖の絶頂(T_T)!

 そのとき、不意に体が目覚めました。
 本当なら朝まで布団をかぶって震えていようと思ってたんです。
 しかし、それでは“ビリーバーを笑うもの”的に負けてしまう。セーガン博士を裏切ることになると、“科学”の力に後押しされて、すりガラスを開けました!
 そこに有ったものは…。
 物干し! 
 ほら、プラスチックのリングに洗濯バサミのついたのってあるでしょ!それでした!
 それが折りからの強風に煽られてクルクルと回っていたのです。その洗濯バサミの部分が小人に見え、笑い声と聞こえたのは、吊るす部分の鎖が触れ合ってたてていた音でした。“金縛り”で酸欠状態になっていた脳がこれらの情報を、わたしに「笑いながら塀の上で踊る小人」として見せたのでしょう。
 「幽霊の正体見たり枯れ尾花」とは良く言ったものです。

 この体験以降、益々、わたしの性癖に拍車がかかりました!
 真に不思議なものは、我々に悪霊を見せる脳である。

 「ほんの少しの勇気をもって自分を見つめ、情けない気持ちをこらえることができるなら、可能性は大きく開けるだろう」(byカール・セーガン博士(1934年〜1996年)) 


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