すかっ!本


今野 敏著『慎治』双葉社,1997年

 非常に、個人的な話で恐縮なんですが…。
 作者の今野敏氏と、私の指導教授が高校時代、同級生だったそうで、教授の研究室に『○○法』とか言う難しい本の隣に、『イコン』とかのサイン本がならんでいました。教授と今野氏は、サイン本のやり取りをする事からも判るように、高校時代ケッコー仲が良かったそうです。曰く、「あいつ(今野氏)は、今で言う“おたく”だった」そうです。
 私と、今野作品の、本格的な出会いは『蓬莱』でした。それまでも、格闘モノは、ただの暇つぶしで読んでいましたが、自分では“文庫本作家(単行本が文庫本化してから買う)”という位置付けでした。それが『蓬莱』を読んで、“単行本作家”に格上げされました。

 で、『慎治』です。このネーミング!やっぱり“シンジ君”からきているのでしょう。しかし、物語の中では、ビデオ屋の店員に「エヴァが入っているよ」と言われたのに対し、古池(『慎治』の登場人物=作者?)は、「いらないよ」と実にそっけなく応えていた*1
 どうなんでしょう?さっき、私は「古池=作者?」としたが、では何故、それ以降、物語の中に『エヴァ』に言及しなかったか?題名を『慎治』としながら。
 それには、以下のよな理由が考えられる。
@『新世紀エヴァンゲリオン』を話題にすると、話がドッカ行ちゃう。
A『新世紀エヴァンゲリオン』を話題にすると、マニアに突っ込まれることを避けた。
B慎治(『慎治』の主人公)=シンジ君とすることで、現代の全てのAC(アダルト・チルドレン)の解毒のための物語を書きたかった。
C“シンジ”とすると、『エヴァ』ファンが買ってくれると思った。
Dその他。
 私は、Bじゃないかなっと思っています。Cかも!?

 本当は、『エヴァ』については触れたくなかった!それぞれの人が、それぞれの見方をしているから…。それに、ココで語れるほど、ハマらなかったし…。も、一つ、年もトシだし…。だから、私は今後、一切、この作品に関してコメントはしません!!

 えーっと、何処まで話したっけ?
 ハイ、「B慎治(『慎治』の主人公)=シンジ君とすることで、現代の全てのAC(アダルト・チルドレン)の解毒のための物語を書きたかった」と、私は思っている、ってとこまでネ。
 今野氏は今年、44歳。
 と言うことは、24歳のとき『機動戦士ガンダム』と遭遇したことになる。因みに、私は中学生のとき!お互い、「ガンダムファンのオールドタイプ*2」である。“オールドタイプ”の上と下の両端。『G』、『W』、『X』(いずれもガンダムが前か後ろに付く)を認めず、『0083』や『0080』や『08』に思い入れがある、「常に冷たい眼で見られる*3」“オールドタイプ”。

 そして、物語は“オールドタイプ”の教師―古池―と、もろ『エヴァ』世代の古池の生徒、いじめられっ子慎治によって、進められていく。それは、在り来りの学園モノと言っても良い。いじめられっ子―慎治君―が、大人(?)―慎治―に成長する物語。しかし、そこで使われる、様々なアイテム(小ネタ、大ネタ含め)は、私にとって馴染みのモノばかり!そして、成長した慎治も、其処らのTVでコメントする“教育評論家”が思っている“大人”にはならない!
 痛快である!
 まっ、一寸、ご都合主義のラストに“?!”だが、物語には、必ず、終わりと始まりがあるのでコレはコレで良い、“痛快”さを少しもスポイルしていないし…。

 この物語は、@“ガンダムファンのオールドタイプ”で、Aナンかヤッちゃいそうな年頃の生徒orお子さんを持つ、B教師orお父さんに、読んでいただきたい。って、そんな人居るのか?

*1.『慎治』p.24〜p.25
*2.同書p.70
*3.同書p.70


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