Mind Game 

    
     
     
     
     
     
     
     
     


LOST-喪失



今回の文も例に洩れず自信はありません。
人間には記憶というものが精神の中や肉体に刻まれている。だが記憶は時が経つにつれその殆どが力を失っていき消えてしまう。記憶喪失という特異な例を除けばそれは段々とその力を失ったり、他の記憶に押されて必要のない記憶や脳裏に焼き付いていない記憶は姿を消す。完全な記憶喪失は普通の生活を送っている我々にとって未知の領域だが、可能性が無いとも言い切れないし、第三者の手に寄ってそれを引き起こされないとも言い切れない。



「全ての記憶を破壊するにはどうすればよいか」
正確に言えば記憶を破壊する事は出来ないだろう。人間の精神の中にある全ての存在を消し去る事は恐らく不可能だ。限りなく広い精神の中の全てを破壊する事は返って面倒くさい。わざわざ破壊する必要は無いと言う事だ。


恐らく人間が記憶の中にあるものを言葉に出そうとする時、無意識のうちに精神の中にある事柄や染み着いているものを取り出して表現していると思われる。図で説明するならば。

精神の中の記憶   →  精神  →  肉体  →  外の世界

記憶は肉体の欲求や命令で精神の中を通って肉体で表現される。これが正常な状態だ。では記憶を思い起こせないという者の場合あるひとつの例が考えられる。精神の中になんらかの影響で壁の様なものができてしまったらどうなるか。

精神の中の記憶 →  → 精神 →肉体 → 外の世界

記憶が出てくる途中に何等かの障害物があれば当然記憶が外に出てくるのを妨げる。第三者から見れば或いは本人にしても記憶喪失と呼ばれる状態の様に見えるだろう。


この「壁」の存在だが、壁では説明として不適当かもしれない。壁というよりは何等かの影響等で精神の中に出来た新たな存在だからだ。精神の中には必要なものからどうでもいいもの、果ては邪魔としか言えない様なものまで存在している。自分の中にあるものを考え得る限り浮かばせてみればわかるはずだ。「壁」は邪魔な存在といえるかもしれないが、もし出てきてしまったらそれは仕方無い。我々の中にある悪意や殺意といったものと存在自体は近いかもしれない。生み出したくないと思っていてもふとしたきっかけで出てきてしまう。「壁」もその大きさや能力に差はあるものの同じと言える。大きいものであればそれは記憶喪失と呼ばれるものであったり、小さいものであればちょっとした物忘れ程度。悪意や殺意にしても大きいものであれば殺人を犯したりして取り返しのつかない様に精神の中の「記憶の出てくるのを妨げる壁」も大きいものであれば大変な事になる。


ではこの「壁」を生み出すにはどうすればいいか。
精神と肉体は繋がっている。肉体の内最も精神と密接に繋がっているのは「脳」だ。脳に何等かの刺激、ショックを与えればそれを引き起こす事もあるかもしれないが可能性はそれほど高くない。下手をすれば死に至る。正直に言えば人為的に重傷の記憶喪失を誘発させる事はとてつもなく難しいだろう。ただ、小さい「壁」ならその存在は無数に確認出来る。人間の中にある記憶を思い起こさせない小さい壁。例えば何者かに傷つけられた記憶。その存在の前には大小の差、個人レベルでの精神力の強さも関係するが少なくとも確実に壁は存在する。ぶっちゃけた話、えぐる様に深い傷を負わせる事が出来ればその大きさに比例した壁が出来るのかも知れない。ただ、そこまでいくと精神崩壊の可能性も有り得るのでそれほど大きい壁を作り出すのは難しい事だ。小さい壁ならたやすいが。特に幼い子供等に。子供は精神をコントロールする力が弱いのが多いだろう。例えば虐待等の記憶があればそれを思い出すのはその子にとっては辛い。思い出したくないという働きで無意識の内にその記憶の前に壁を作ってしまう。ただ、思い出さないだけであってその記憶はずっと残る。しかも壁のあるせいでその記憶は中々消える事はない。そしてその記憶が精神の中で他の存在「自我」や「欲求」等に悪い影響を及ぼす事もある。
壁があるため時間がたつと他の者にはその記憶のある事はわからないし、本人さえもそれの存在を忘れてしまっているかもしれない。そんな壁は取り除いてその後ろにある「自我」等に影響を及ぼす存在も処置しなければならない。万が一何か起こす可能性があるのなら。


取り除くのはその者の精神をある程度理解していれば簡単だ。
前に書いた「精神破壊の方法」と同じ様に些細なきっかけで精神の中にあるひとつひとつの存在は消す又は形を変える事が出来る。虐待が原因ならば或いはそういうふしが見受けられるなら愛情を注いでやれば次第に壁もその形を変えてくる。根気は必要だが。


俺自身にも壁はあるかもしれない。自分ではもう思い出すことも出来ない記憶があってそれのせいで何か悪い影響を及ぼしているかもしれないが最早自分では対処のしようもない。記憶は失ってしまうものではなくて隠されるものだという事だろう。或いは小さくなっていって消滅してしまうのかもしれない。もし悪意を含みかねない記憶があったとして壁も存在していたとしても他の「良い意識や記憶」を大きくすれば必要性の薄い感情も力を発揮出来ずに終わるかもしれない。後ろの方にそんなものがあったところでそれから先の事は振り切っていかなければ良い結果は生み出せない。元々、記憶はそれほど固執する必要の無いもの。しがみついていたりしたところで精神の中には何も生まれない。新しいものをどんどん増やさなければ進歩は望めない。力をつけたいのなら記憶にはこだわらない方がいい。


これ以外に記憶を失わせるには様々な環境が必要になってくる。時間も金も力も、色々なものが必要だ。個人で行うには相当人間が限られてくる。だがそれも完全には失わせる事は出来ない。記憶は精神だけでなく肉体にも付着するものだから。特に心臓の記憶能力は肉体の中でも最も優れてる。精神と心臓の両方をどにかしない限り記憶を完全に消す事は無理だろう。消したい記憶のある人間もいるかもしれないが消したいのならば他の新しい記憶等で精神や心臓を埋めていって消したい記憶を追い出す事だな。
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