作/絵 華 みのり

ドタバタ ! ドタバタ ! キャッキャ ! アハハ !

「こらー ! いつまで布団の上で遊んでいるのー」
怒りながら、お母さんが上がってきました。

「うわぁー おかーさんおばけだー おばけだー」

「誰が、おばけなの ? 早く寝ないと本当のおばけが 出ちゃうかもしれないぞー」

「キャー ! おやすみなさーい」

「ウワ− ! おやすみー」

弟のユウ君と2歳年上のお姉ちゃんは、布団の中飛びこみました。

「おやすみ」 を言ってお母さんは下へ降りて行きました。

しばらくすると、 ガラガラ ゴソゴソ

「うん ん ? 」

また、 トントン ドンドン

「なに ? だれ ? おねーちゃん ? 」

弟のユウ君は目を覚ましました。

部屋の中に誰かいる、そう思ったとたん、

キラリと光る目が、ユウ君に飛びかかって来ました。

「キャーたすけてー、だれ ? 」

「ワシを覚えてないかい ? きみが
夕食に残した ピーマンだ ! 」

今日の夕食は、ユウ君の大好き
な 酢豚でした。

でもユウ君はピーマンが大の苦手、いつもピーマンだけを残してしまいます。

「ワシを食べてくれないので、君のかーさんに捨てられてしまった。ゴミ箱の中で、ピーマンおばけに変身してしまったのさ」

「だから、ワシはお前をやっつけにきた」

「やだよー たすけてよー」

ピーマンおばけは、ユウ君めがけて飛んで来ました。

「ガオー 食べてやるー」

「ごめんなさい、どうしたらキミは消えてくれるの ? 」

ユウ君は、怖くて ブルブルと振るえていました。

「そんなの簡単さ、お前がワシを食べればいいのさ」

「だって ! ぼくピーマンきらいなんだもん、たべらんないよー」

「じゃあ ワシがおまえを食ってやるー」

「うわ− !!」

その時ユウ君は、思いきって大きな口を開けました。そして向かってくるピーマンおばけを、口の中に 「パクッ」 とほうり込みました。

ユウ君は口の中に入っている、ピーマンおばけを、夢中で噛みつぶしました。

「もぐもぐ もぐもぐ ごっくん。あっ ! たべちゃった ! 」

「やった−やったーかった かった ぼく、ぴーまんおばけを、やっつけたんだー」

部屋の中は、シ−ンと静かで、おねーちゃんの寝息だけが聞こえていました。

「ユウ君、おねーちゃん、起きなさーい 朝ですよ」 お母さんの声が聞こえてきました。

目を覚ますと、隣でおねーちゃんが服を着替えていました。

「おはよー ユウ君」

「おはよー、あのねぇ、おねーちゃん、ぼく昨日ね・・・・」

「何 ? いいから早くしないと、幼稚園に遅れるよ」

やっぱり、夢だったんだ。ユウ君も急いで服に着替えると下へおりて行きました。

「おかーさん、おはよー、ぼくねー今日からピーマン食べてみるよ、なんだか食べられるような気がしたんだ」

「なに ? どうしたの朝から」

「べつに、なんでもないんだけど」 ユウ君は ポリポリと頭をかきました。

「そう、偉くなったのかもね、もうすぐ5歳だから、ユウ君も」

ユウ君は 「うふふ」 と恥ずかしそうにわらいました。

おわり

8月で5歳になる 長男へ


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