陽だまりの中で









3月11日。PM1:37
この日はテスト最終日。
本当は友達と遊びに行く予定だったが突然キャンセル。
理由は『先に他の子と約束しちゃってたから。』

よくある事だからあまり気にしてはいないが
せっかく楽しみにしていた予定がなくなり正直がっかりしていた。

最寄り駅につき改札を出て空を見上げると
抜けるようにな青空が広がっていた。

「こんな時間に帰るの久しぶり・・・」


思わずそう呟いた。 このところずっと図書室で下校時間ギリギリまでテスト勉強してた。
気付いたら帰る頃にはすっかり日も暮れて
吹き付ける風に身が凍るような思いでいつも家路を急いでいた。

テストが始まる前からずっと帰りは遅かったような気がする。

高校に入った頃は部活で帰りが遅かった。
高2の文化祭の後に部活を辞めた。
辞めたくなんかなかったけど周りの皆は受験体制に入るって言うから
私も取り残されない為に辞めた。
塾に行こうかとも思ったけど
何となく新しい友達を作るのも面倒臭いから辞めといた。

だけど皆は塾に行き始めたから
私は仕方なく1人で学校の図書室に残ったり
近くの図書館に行って勉強する事になった。

私は1人で勉強してた方が気が楽だし進みも速いけど何だか寂しい。
こんな気持ちになったのは久しぶりかもしれないな。
いつもただ勉強だけしてたから何だか温かい気持ちとか忘れた気がする。


「あーぁ、つまんない人生・・・」


思わず口の中でそう呟いたけど周りにはほとんど人がいなかったので
誰も気付かなかった。

このまま家に帰ってもつまらないような気がしたから
久しぶりに歩いてみる事にした。
別に行きたい所はなかったけど最近全然歩いてなかったから。

まずは公園
次に小学校の近く

そして川辺


私は小さい時、よく川辺で遊んだ。
最初はお母さんと
そして友達が出来て
小学校低学年の頃はよくここで遊んでた。
何か特別な物があるわけじゃないけど
水面がキラキラ光ってて
お陽さまがすぐ近くにあるみたいに温かくてこの場所が大好きだった。

そんな昔の事を思いながら
川辺に座り込んでぼーっとしていた。

ふと気がつくと何だか肌寒い感じがした


「・・・寒っ」

思わず鞄にしまっていたマフラーを取り出して巻いた。
長い時間座っていたせいで
日が当たっていたはずの場所も近くの家の影になってしまったらしい。



今の私みたい。。。
ちょっと前まではずっと陽の当たる所にいて
みんなと一緒に動こうとしたけど
結局動ききれずに1人、日陰に来てしまった。

別に不幸になったわけじゃない。
だけど、何か寂しい。
よく分からない、こんな気持ち。


・・・もういいや。
寒くなったし家に帰ろう。




立ち上がり家路に着いた。
もう大分陽は傾いている。
家につく頃にはすっかり暗くなっていた。
暦の上ではもう春
なーんて言っても5時過ぎると暗くなる。

家に帰るとお母さんが夕食の準備をしていた。
この匂い。。今日の夕飯はおでんかな?

そんな事を考えながら部屋へ行き制服を脱いでハンガーにかける。
私服に着替え、疲れたから横になる。

ベットの上に横になり布団をかぶるとすごく落ち着く。
眠りに落ちる瞬間。

閉じた目蓋の向こうにいつも見える世界がある

いつも気にしなかったけど今日はちょっと考えてみた
そしたらすぐに分かった

――小さい頃に遊んだ、あの川辺の景色


そうだ、
どうして今まで気付かなかったんだろう?

暫く陽の光を浴びられなかったけど
いつも温かく包み込んでもらってた。

一人ぼっちだと思ってたけど
実は周りには友達もいっぱい居た。

近くありすぎて全然気がつかなかったよ
私はいつもお母さんに守られていたんだね。

布団が温かくて、
勉強の後に気持ち良く眠りに落ちられるのは
お母さんがいつも布団を干してたからだね。


最近、まともに口も聞いてなかったけどいつも陰で支えてくれてた。
何も言わないお母さんが大嫌いだった。
お母さんみたいなただの主婦になんかなりたくなくて
必死になって勉強してきた。

私、間違ってたね。
本当はずっとずっとお母さんに守ってもらってた。
こんな気持ち忘れてた。

ごめんね、お母さん

これから先いっぱい嫌な事があると思う。
本当に「陰」になっちゃう事もあると思う。

それでも私は頑張るよ。

だけどまだこのままで居させて。

陽だまりの中で
ちょっと休んだらもう大丈夫だから

そしたらちゃんと元気に歩き出すから
だからもう少しだけ・・・





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