座談会「よろず発達相談」
      〜発達よもやまばなし


日 時  7月17日(火)手稲区保健センター

講 師  小野寺 基史 先生
         (札幌市教育委員会教育相談室 指導主事)



<教育センターとは>

所 在 地 : 札幌市西区宮の沢1条1丁目1−10 ちえりあ内
内  容  : 幼児期から高校までの子どもの日頃の生活に関わる相談業務
相談件数 : 年間1006回(697人の来所相談)

教育相談
  ・不登校
  ・育児不安
  ・学校での問題

就学相談
  年間 355件の相談(新入学児童 193件、在学児童 162件)

  ・具体的には「言葉が出ない」「学習のつまずきや遅れ」「発育や発達の心
    配」「発達検査の活用」など
  ・あるいは特殊学級がふさわしいと考えられる子が通常学級に通いたい場
    合、子どもの状態を学校に伝えながら学校側の応援態勢を整える。

  異措置率(就学指導委員会の判定と保護者の希望が異なる)
   :札幌市はほとんどなし
     〜それは就学前教育相談の時点で親と行政が子どもの教育方針に
       ついて積極的な合意がなされているため

1.制度

就学指導を緩和し、統合教育についてその長短と現況を検討

1)文部省「特殊教育課」改め「特別支援教育課」  平成13年1月より

特殊教育は障害児のためだけのものではないという理念に変化してきている。
障壁(バリア)を取り除いて、やりたいことが支障なくできるようになれば「障害」ではない。その障壁を抽出して取り除くための支援を行う。
何をどう支援すれば支障なくADLやQOLが可能になるか。

参考文献 : 「21世紀の特殊教育」「障害児教育の今後のあり方〜市議会」
        文部科学省と総務省の連携プロジェクト・特別支援教育

札幌市では現在、特殊学級をなるべく多くの学校に設置して行く方針。
また身体障害の場合、通常学級で学べるよう学校の環境を整備する。

(小野寺先生のつぶやき)
就学指導委員会内に個々の教育計画を検討するシステムができたら…
ex.望ましい教科を選択して特殊学級の児童が交流学級での学習が可能とか

2)学校が地域の「コミュニケーションセンター」としての役割を担っていこうと
   するもの           ex.災害時の支援、エレベーターの設置
     ↓
障害児の放課後の問題 :
帰ってきたときに友だちがいない、
他校に通っていてもどうやって地域で友だち作りができるか

学校という公的資源を広く活用していけたら…

3)教職員の専門性

バリアフリー・統合教育が進む中で、通常学級の教員にも障害のある子どもたちへ対応できる資質の向上が求められている。
特に学習障害、ADHD、高機能自閉症などの通常学級に在籍している障害児たちに関する疾患学習、対応の仕方などを通常学級の教員が学んでゆくシステムが必要。

2.総合的な学習とは何か

通常学級の「生活科」は特殊学級の「生活単元学習」から引用導入した。
 ex.ザリガニの飼育・買い物学習などを通じて国語・算数・音楽・図工など
   様々な学習の要素を積極的に学ぶ。

与えられたものを与えられたとおりに学ぶのではなく、「生活科」や「総合的な学習」を通じて児童自らが主体的に学ぶ楽しみを体験するのが目的。

3.放課後

地域に障害のある子もない子も一緒に遊ぶことのできる施設の整備
 ・藤野「むくどりホーム」など
 ・児童クラブ(つばさクラブ)
 ・地域の児童会館、学校内のミニ児童会館など

4.指導法

1)言語治療について

Q:就学してしまうとST(言語治療)などの治療、指導がない
    ↓
知的発達障害がベースにあると、言語のみを抽出して治療効果を上げることは難しい。STは吃音などの構音障害や失語症などの機能的な障害には効果的だが、知的発達障害の言語障害は言語機能そのものよりも、コミュニケーションを中心とした指導が大切である。
だから言語機能のみをエクササイズしても言語発達遅滞は改善されるものではない。発達を全体的に促進させるような総合的なアプローチが必要である。

2)個々の指導、教育の専門化

たとえば自閉症ならば環境・スケジュールなどを構造化したり、言語的シンボルを用いた個々に応じた専門的な指導法を進めていく。
特殊教育の専門家が各学校の校長・教頭、教育大学の教授など、教育現場において高い地位に就くようになってきた。現在は未発達な部分ではあるが、今後に期待が持てそう。

5.就学時の振り分けの基準 : 小野寺先生の私的見解

今後は特殊学級から「養護学級」「情緒学級」という枠がなくなってゆくだろう。
障害の重度、重複によって教師の数を配分するのではなく、個々の子どものニーズに合わせてどのような教育プログラムを考えてゆくかがテーマとなる。

6.教師の数

学校運営の状況によっては補助教員(総務)・介護職員の加配や Team Teachingの導入など臨機応変な対応も可能。
しかしあくまでも数ではなく、クラス編成などシステムの変革が必要だと考える。それによって得られる利点もあるだろう。
特殊学級の教員は、研究会などを通じて日常的に校内の他の教員たちに理解されることが必要だと考える。

しかし現状ではそれぞれの学校によって対応が違うなど、学校に質およびそれぞれの教師の質に差があることは確かである。

<IEP(個別教育計画)の理念> Individualized Educational Program/Plan

LD、ADHD、自閉症の診断名よりも「子どもは一人一人教育的ニーズが異なる」ということを重視する。
教員の数を増やすだけではなく、子ども一人一人からそれぞれ違ったニーズを引き出し、課題を設定する。
〜親の希望、子どもの将来をどう分析するか、オーダーメイドの教育

teach(教える)から learn(学ぶ)へ

→考え方の視点・基準は ちえりあ

注)IEP
生徒一人一人に備えるべき「特殊教育実施要項」といった性格をもった公文書で、法的な教育用語。アメリカ連邦法「全障害児教育法」でIEPが発足され、基本要素には対象者の現状、短期指導目標、目標達成に関する評価(観察・検査結果に基づく分析)が含まれ、指導方法の概略が記されている。


以上 文責 : 山田かおる




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