せいしくん・その5
皆さんのご期待に反して、今回のせいしくんは上品です。この1週間、下品を渇望
する皆さんの声にこたえようと努力しましたが、果たせませんでした。とはいえ、上
品なくして下品なし、ということです。いったん上がってこそ、下降も気持ちがいい。
ジェットコースターしかりですね。ジェットコースターといえば、2日ほど前の深夜、
テレビで「ボキャブラ天国」(東京ローカルの番組かもしれませんが)を見ていたら、
若手お笑いコンビが「ジェットコースター」と「ちょっとこすったー」という言葉を
掛けて、股間に手をやるというギャグをやっていて、私は不覚にも笑ってしまいました。
ギャグの中身よりも、よい年令になって深夜「ボキャブラ天国」を見て笑ってしまう、
という状況がちょっと悲しかったのです。という意味の「不覚」ですね。
さて、お話をせいしくんに戻しましょう。せいしくんたちは、無為の死はもうこり
ごりだと、話し合いに入ったわけでした。
車座になって話し合うせいしくんたちの図
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「もう、宿主の性欲に振り回されるのはこりごりや」
「なんやよくわからん命令で、ぴゅーっと出たかと思うと、もうおだぶつや」
「一生をこないな数センチ四方の場所で過ごしとうないわな」
「こーがんのせいし外界を知らず、ということわざもあるで」
「そやそや」
「よっしゃ、まずはシュプレヒコール行くど」
「わしらも外の世界で生きっぞーー」
「おーう」
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(尾を上げて呼応するせいしくんたち)
「まずは、わしらに必要なのは、自分の意志や。1匹1匹が自らの意志で欲情することや」
「なるほど、個室浴場ならぬ個別欲情やな」
「欲情すっぞー」
「おーう」
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「そうはいうものの、欲情してどうするんや。わしら、こんなちっさな尾しかないんやで。いくら欲情しても、動けへんやないか」
「そや、そや」
「立って歩くってどんな気持ちなんやろなー」
「ほな、歩けばええやん」
「どないするんや」
「足を持てばええ」
「そないアホなこと。わしらに足が持てるわけあらへんで」
「いいや、できる」
「そやから、どうせいゆうん」
「進化や」
「そないなもん、何百万年もかかるで。宿主ももう40や。寿命のあるうちに、何とかせにゃ、意味ないやろ」
「ふっ、ふっ、ふっ。じつは最後の切り札があるんや・・・」
「なんや、なんや」
「わしらの進化をうながす秘法や。宮崎県南部の山奥に伝わる秘密の呪文や」
「いったいどんな呪文かいな」
「欲情と屹立の呪文や」
「なるほど、宮崎県南部といえば、性欲異常昂進者を次々輩出している地域やぞ。みなその呪文をとなえとったわけか。あなどれんなあ、宮崎人」
「はよ呪文を教えてえな」
「あまり大きな声で唱えてはいかんのや。みんな、もっとこっちゃへ」
「まんじゅどんしっくれもはんどかい」
「えっ、よう聞こえん。もうちょい大きい声で」
「まんじゅどんしっくれもはんどかい」
「なんや、意味はわからんが、だんだんええ心持ちになってきるリズムやんか。なんや目の前がぱーっと明るうなってきたで」
「よっしゃ、みんな声をそろえて、唱えっぞー」
「まんじゅどんしっくれもはんどかい」
すると、どうでしょう。ものすごい地鳴りとともに高千穂の峰が割れ、大地の底から1匹のせいしが射精されたのでした。これこそ進化したせいしくんです。外界で生きられる生命力、自らの意志による欲情、そして二足歩行の能力を持った究極のせいしくん、
利己的せいしの「りこどん」登場!!!

「うおーー」「やったーー」「これが進化や。せいし類の進歩と調和や」「意志の勝利や」
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(尾を取り合って喜ぶせいしくんたち)
さあ、利己的せいしの「りこどん」の行く先には、どんな冒険が待ち受けているのでしょうか。わくわく。以下次号。
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