あの夏に、逝ってしまったあの人を、私は今も愛している・・・・ 
 
 
 

Eternal love 
 
 
 

スカンジナビア半島のとある森の奥に一軒の家が建ったのは、八年ほど前の事であった。 
そして、家が建つと、そこに一人の少女が住み始めた。 
ルリ色の髪をした、何処か儚げな印象を持つ少女だった。 

それから八年・・・・ 

一番近い町まで、少年の足では小一時間ほどの時間を要する。 
しかし、その少年は元気一杯に毎日その道を通り、家と遊び場たる小さな町を往復する。 
黒い、クセの有る髪が風に揺れる。そして、その父親譲りの『少年の瞳』は、母親より譲 
り受けた金色の瞳を一層引き立て輝かせる。 

「ただいまー!」 

夕日が輝く夕食時は、少年の帰宅時間である。 
育ち盛りの少年は、朝・昼・夜の食事時には律儀に時間を護り家へと帰ってくるのだ。 

「ふふっ・・・はいはい。」 

そんな少年の帰宅時間を良く知る若い母は、その時間に合わせキチンと食事を用意して待 
っている。父親の居ない、母と子二人っきりの生活・・・ 
母親は若いながら健康に優れず、この綺麗な空気と綺麗な水の流れる川の辺へ家を構え、 
療養生活を続けていた。 
しかし、母親も子も、その生活を寂しいと感じた事は無い。 
母親には少年が、少年には母親と、無限に広がる『見知らぬ世界』が有るのだから。 

食事が終わると、少年は学校の宿題を、母親に言われ渋々始める。 
聡明と称えられた母親に少年は似ず、律儀に容姿と同じように頭の程度は父親に似てしま 
ったようだ。そんな息子を見守りながら、冷えてくる夜、母親はゆったりとした空調の前 
に置いてある揺りイスに身を任せ、編物に興じる。 
もうすぐ本格的な冬が来る。それまでにマフラーでも息子に編んであげよう・・・そんな 
母親の愛情と共に。 

「・・コホ!・・コホ!!」 

しかし、やはり夜になり、冷えてくると母親は病状思わしくない体に悩まされる。 
25歳を数える若さでは有ったが、忌まわしき産物・・・DNA強化体質のしわ寄せが彼 
女の体を蝕んでいた。 

『この子が大きくなるまでは・・・』 

それだけを胸に、今を生きている。 

「・・大丈夫?お母さん。」 

少年が、勉強をする手を止め、母親の下へと駆け付ける。 
それは何時もの事・・・・父親譲りを、母親が一番感じる時・・・・ 

「・・大丈夫よ。」 

母親は、そんな我が子に心配を掛けないよう、微笑と共に返事を返す。 
そんな何時もの光景・・・・ 

「ねえ、お母さん。お父さんって・・・・どんな人だったの?」 

ところが、今日は少し違う日常が流れた。 
少年は、唐突に父親の事を聞いてきた。何か思うところがあったのだろうか? 
いや、何時かは聞かれると思っていた問い・・・母親は慌てなかった。 

『結婚は・・・してないんだけどね。』 

もっとも、一人愚痴ともなんとも言えぬ思いを心の中で呟き・・・そんな自分に笑ってし 
まいそうにはなったが。 

母親は編み物をする手を止めると、イスに背を預け、瞳を閉じ、しばしの間回想した。 
そして、ゆっくりと瞳を開け、愛しい息子・・・『アキト』の頭を撫でながら語る。 

「・・・・お父さんはね・・・とっても強かったのよ。そして、なにより優しかった。」 

今でもハッキリと覚えているその姿。その優しさ。その笑顔・・・・ 
この、愛しい息子も・・・やがて外の世界へと旅立って行くのだろう。 
願わくばその時、父をも超える強さと優しさを・・・・ 

母親・・・ルリは愛しい息子の頭を撫でながら、今は無き愛しい人へと祈りを捧げた。 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

あの夏に、逝ってしまったあの人を、私は今も愛している・・・・ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

〜FIN〜 
 

 
<プリンセス・ルリと魔角の座談会>
 

魔角:(平身低頭で)有り難うございます!有り難うございます!!
    まさか河田様からSSを頂けるとは夢のようです!!!

ルリ:えい!

魔角:(ギューーーー)いててててえぇっ!!!
    な・何するんすか姫!

ルリ:いえ、夢じゃないことを確認させてあげようと思いまして。

魔角:いや、そんな・・・・ベタベタな事しなくても・・・・・

ルリ:不満があるようでしたら夢の世界に送ってあげましょうか?

魔角:姫!その手に危険な物を持たないでください!!
    (そんな物使われたら夢見る前に逝ってしまいますって)

ルリ:それにしても河田さんのお話はホント良いですね。
   ちゃんと私と”彼”との”愛の結晶”が出て来るんですから。
   憧れちゃいますね。

魔角:でも、その前に”彼”この世に居なくなっちゃってますが・・・・

ルリ:何か言いました。

魔角:いえ!なんにも。
 
 

 河田様本当にこの様な素晴らしい作品有り難うございました。
マジで魔角は涙流して喜んでいます。
 これを読まれた読者の皆さん是非感想を河田様に送りましょう。
感想はこちらです。