「はじめに」
こんにちは、初めまして大塚りゅういちと申します
このたび投稿させていただくことになりました
どうぞよろしくお願いします
本SSは、ルシフェル様のHPに投稿させていただいた
「YURIKA・forever」の後日談ですが
この小説はアマノヒカルが主人公です
他のキャラクターはあまり登場いたしません
TVシリーズを見たことのない方にもおすすめはできません
よろしければ、本編である「YURIKA・forever」もお読みいただけるとうれしいです
(ルシフェル様のHPは私のHP「大塚りゅういちの隠れ家」から行くことができます)
では、始まります
劇場版その後小説「YURIKA・forever」番外編
PRESENTED by R,OOTSUKA(’1999)
テンカワ夫妻が火星の後継者の残党「トウリュウ」の一味を撃退して地球に帰ってから約1年ちょっとのことでした
ドンドンドン
「せんせー、ちょっと・・・・・原稿まだですかぁ・・・・・・・せんせー」
行きよい良く玄関の扉を叩く背広姿の男!
(うわぁ・・・・・・・・担当だぁ・・・・・・)
今ヒカルは再開された連載の締め切りで窮地に立たされている
正確にいえば、本当のラストまで1日ではあるが・・・・・・・
正規の締め切りはもはや無理である
印刷所の最終締め切りのワースト記録更新まで後1日
もう一人の挑戦者「サクラ・アカマツ」はもうすでに最後の原稿を収めていた
「絶体絶命のピンチね・・・・・・・・」
ヒカルは遠い目をして窓の外の景色を眺めた
今回の締め切りに間に合わない理由は大きくは2つあった
1つはいつもの通り、ネームが浮かばないこと
慢性的なネタ不足である
そして2つ目は・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現在の他の作家さんは200年以上前からの伝統のやり方で書かれている
原画を描き、それをコンピュータで取り込みトーン処理をする
大変効率の良い方法だが、欠点は多い
たくさんの連載をこなすにはそれなりのスタッフと機材を要する
だが、一部の頑固な作家さん達は紙に原画を描き、スクリーントーンを貼るという大昔の手法をとる人もいる
ヒカル自身もつい最近まではその頑固な作家の一人であった
しかし、あまりの連載量の多さに負けたヒカルはウリバタケにたのみ、究極のマシンを作らせる
ヒカルはパイロットをしていたため、IFSを有しているのだが・・・
そのIFSによって、ダイレクトにヒカルの頭に浮かんだ原稿が出力される
まあ、漫画家にとって夢のマシンである
ちなみにそのマシンの名前は、制作者のウリバタケにより「リリィちゃん18号」と名付けられている
まあ、命名の理由は当人しか解らないであろう
そのマシンは見かけは女の子のような形(彼の趣味なのであろう)
背丈は12歳のルリぐらい
顔つきその他もどことなくルリににている
そして胸のあたりに原稿の出力口がついている
これができた当時、よく手伝いに来ていたルリはこのマシンを見て、明らかに不快な表情を見せていた
まあ、彼女にしてみればそうであろう
そんな彼女も今は、高校を卒業し軍に勤め月へと旅立っていた
とにかく、このマシンができたおかげで、原稿の上がりは桁違いになった
で、今回締め切りがピンチな一番の理由はそのマシンにあった
☆
数時間前
「ちょっとぉ・・・・・・・なんで動かないのよぉ・・・・・・・」
煙を噴いている「リリィちゃん18号」
「ピィ・・・・・・ガガガ・・・・・・・・・・プスプス・・・・・・・・」
「参ったなぁ・・・・・・・締め切りまで後1日・・・・・・・・そろそろ担当が最後の宣告にやってくる・・・・・・・・・・」
バンバンバン
試しに叩いてみるが、ピクリと動いただけで・・・やはりダメである
「あーん、もぅ、ウリピーーーーーー」
ヒカルはペタンと座り込んで泣き出してしまった
彼女はせまり来る締め切りになすすべを持たなかった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
「こんな事なら、調子に乗って連載増やすんじゃなかったなぁ」
柱の時計をうつろな目で見つめ半分放心状態でつぶやく
リリィちゃん18号がやってきてから彼女はさらに連載の数を増やしていた
なにしろ、ネタさえあればほぼ数時間で1つの原稿が出来上がるのである
楽勝楽勝と、彼女はいつもの軽い調子で信じられない数の連載を引き受けていた
ドンドンドン
「せんせー、居るんでしょ?・・・・・・お願いしますよぉ・・・・・・・印刷所カンカンですよ!」
表で騒ぐ背広姿の男はさらに増えていた
もはや、スキャンダルをおこした芸能人の家の前と言った状況
「こうなったら・・・・・・・・残る手は一つ!」
キッと顔を上げたヒカルは、リリィちゃん18号を背負い、窓から逃亡をはかる!
数名の男達がヒカルに気づくがパイロット時代から鍛え上げたヒカルの体力には追いつけるはずもなかった
「だてにリョーコと張り合っていたわけじゃないからね♪」
不適な笑みを浮かべなおもペースをあげてその場を立ち去る!
「せんせーーーーーーー!!」
背後で男達は力つきて倒れていった
「ゴメンね・・・・・・・・・・・・」
少し罪悪感を感じたヒカルは男達に向かい短く一礼する
「きっと戻るから・・・・・・・・・・・」
☆
ヒカルのたどり着いた場所は・・・・・・・・・
古ぼけた整備工場
かつてナデシコで整備班の班長をしていたウリバタケセイヤの家の前であった
リリィちゃん18号をまず修理してもらわなくては
「ごめんください・・・・・ウリバタケさん?」
ヒカルはその古ぼけた工場の中に入っていく
しーんと静まり返っている工場内
壁側にある棚には無数のなにやら訳の分からない機械の残骸
あいかわらず、片づかない仕事場
それが、ウリバタケが昔と変わらないことを告げていた
「あいかわらずね・・・・」
ヒカルはその場で、昔のウリバタケの顔を想像して、苦笑する
その時、奥から、ウリバタケの妻テルミが現れた
「あ、こんにちは・・・・・・・・確か・・・・・・家の亭主(ひと)のナデシコでのお仲間さんですよね」
奥から出てきたテルミは、まだ生まれ手間もない子供を背負ってにっこりと笑った
「はい、アマノヒカルと言います。いつもお世話になっています」
「今家の亭主(ひと)・・部品の買い出しにいってまして、たぶんそろそろ帰るとは思うんですけど・・・・・・・・・・少し中でお茶でもどうですか?」
テルミはにっこり笑ってヒカルを奥の部屋に通した
6畳ほどの茶の間
真ん中にはこの家の家族の量ではとてもではないが足りないと思われる小さなちゃぶ台
壁にはクレヨンで書かれたウリバタケらしい顔、おそらくウリバタケの子供達の仕業であろう
障子には大きな穴が空いている
「すいませんねぇ・・・・・散らかってまして・・・・・・・・・・・」
奥の台所から2つの湯飲みとお茶菓子の厚焼き煎餅、そして小さな饅頭ののったお盆をもってテルミが現れた
部屋の中を見回しているヒカルに気づき照れくさそうにしている
「全く、家の子供達と来たら・・・・・ほんとに誰に似たのか・・・・いたずら坊主達で・・」
まあ、テルミに説明されるまでもなく、誰に似たのかは分かり切っているのだが・・・・・・
「まあ、たいしたものもないですが、お茶でもどうぞ」
そう言ってテルミはヒカルにお茶を勧める
今の時代では珍しい遺伝子操作のされていない無農薬のやぶきた茶
いい香りが漂ってくる
「はい、いただきます」
そう笑顔で答えると、目の前の湯飲みを手に取りそっと口を付ける
・・・・・・・・・・。テルミの入れてくれたお茶はとても美味であった
「・・・・あっ、おいしいです♪」
笑顔で答える
「そうですか・・・・・・・・それは良かったです、この間親戚から送られてきたもので」
テルミはうれしそうに答えた
「お茶菓子もどうぞ、そのお饅頭も親戚からのもらい物なのですが」
そうテルミに勧められたので、「はい」と答え饅頭を口にする
「ところで、今日はどんなご用件で?」
少し心配げな表情を見せるテルミ
「あ、はい・・・・・・・・・」
ヒカルは背中に背負っていたリリィちゃん18号をテルミに見せる
「以前ウリバタケさんに作っていただいたこのマシンが壊れてしまいましたので、修理をお願いしたくって」
「家の亭主(人)の作ったマシンですか・・・・・・・・・どこかお怪我なさってませんか?・・・・・・家の人の作るものはどれもこれも・・・・・・・・・ほんとに・・・・・申し訳ないです・・」
テルミはそう言うと、申し訳なさそうな顔で頭を下げた
「いえっ、そ、そんなことは・・・・ウリバタケさんに作ってもらったこのマシンのおかげで私はいつも助かっていましたし、」
あまりに深々と頭を下げてうつむいたままのテルミに驚いたヒカルはあわてて否定する
(ウリピー〜よっぽど苦情が来てるのね・・・・・・ほんとに・・・・・もう、こんな良い奥さんに苦労をかけて・・・・・・)
ヒカルはそのテルミの様子から、ウリバタケの作る発明品に苦情をよせる人間の多さを感じた
「私、漫画家をしてるんですけど・・・・このウリバタケさんに作っていただいた「リリィちゃん18号」のおかげで執筆作業がとてもはかどってまして、とても感謝しています」
ヒカルはテルミを安心させるべく、ウリバタケの発明をほめた
「そうですか・・・・?」
その言葉を聞いて少し安心した表情を見せるテルミ
それからはナデシコでの思い出を語り合う2人
すっかり打ち解けて楽しい団らんのひとときを過ごす
程なくして、長男と次男が元気良く帰ってきた
「母ちゃん、おつや〜」
「おつや〜・おつや〜」
ふたりの子供達は今流行っているアニメの口まねをしているらしい
200年以上前のアニメらしいが、急速に子供達の間に流行していた
かわいげのない幼稚園児を主人公としたそのアニメは今や親たちの間では大問題とされていた
ほとんどの子供達がその主人公の口まね・そしてその非常に子供らしくないイヤな態度、
さらに一番の大問題はその主人公が巻き起こす悪いいたずら
親たちはそれを放送しているTV局にかなりの苦情を寄せた
「こらぁーあんた達、お客さんが来てるってのにあいさつもしないでぇー」
テルミは逃げまどう子供達を追いかけて部屋中を駆けめぐる
「やーいやーい、ケツでかおばさん、ここまでおいで〜」
2人の子供達はテルミをからかいなおも部屋中を駆けめぐる
「こら、お待ち!!、いつまでもそんなだとおやつあげないからね!!!!!」
子供とはその一言に弱いモノなのだ
とたんにおとなしくなる2人
「お母様おつや、おつや」
「おつやじゃないだろ!お・や・つ!!」
「おやつは?」
「その前にきちんとお客さんにあいさつしな!!」
テルミはそう言うと2人の子供達の頭を押さえつけ、おじぎさせる
「こんにちは〜」
「こんにちは〜」
「あっ、こ、こんにちは」
ヒカルはあわててあいさつした
目の前のほのぼのした光景にぼんやり見とれていた自分がいたからである
目の前で繰り広げられている光景、子供達を追いかけるテルミ、追いかけられて逃げる子供達、
3人の中に垣間見る絆
その事にヒカルは考えていた
(あの時の告白をうけていたら・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
ヒカルはナデシコでウリバタケに告白されたことを思い出していた
ナデシコでのある日
ヒカルはウリバタケに告白されていた
「ヒカルちゃん・・・・・ちょっと真面目な話して良いかな?」
珍しく真剣な表情で問いかけてくるウリバタケ
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
うつむき、じっと黙ってウリバタケの次の台詞を待つ
「あのさ、俺・・・・・・・ヒカルちゃんを・・・・」
少しづつゆっくりと告白を始めるウリバタケ
何かに耐えきれないといった雰囲気でヒカルはウリバタケに告げる
「やめません・・・・・・ウリPとはそういうの抜きで仲良くしていたいです」
「!!!」
突然のヒカルの台詞にとまどいを隠せないウリバタケ
「こういうこと恋愛は違うって、昔一緒に住んでいた彼と別れてから気づいたんです」
(趣味と恋愛は違う・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・か)
☆
高校生の夏
ヒカルはあるサークルでコスミケに向けて作業を進めていた
サークルのメンバーは6人
いつものんびり屋でちょっと手の遅いタカシ
几帳面で細かい作業を淡々とこなすテツヤ
すっかりテツヤに弟子入りした気でいるダイスケとコージ
そして、リーダーのナオト
ヒカルはリーダーのナオトと半年前からつきあっていた
お互いに趣味が合い、いつも2人で過ごしていた
そもそもヒカルがこのサークルに参加するようになったのもナオトのおかげであった
いつも気にしていたナオト
ふとしたことから、コスミケの会場でばったり出会い
普段学校ではないしょにしていた秘密を共有し、そのお互いの趣味が高じてサークル活動を始めたのである
当時、熱狂的なロボットアニメ「超高速、マジンガーW」その年のコスミケでは一番の人気作であった
ナオトはその他にバスケット部にも所属し、一見はさわやかなスポーツマン
彼に思いを寄せる女子生徒も数多かったが、ナオトはいつもヒカルだけを見ていてくれた
サークルの作品は大人気であった
遠くから通信販売の申し込みも殺到した
几帳面なテツヤの行き届いた営業の結果もかなりの原因だったが、何よりヒカルとナオトで仕上げたストーリに多くの読者は感動し次を期待した
一時は商業誌で書いてみないかと、出版社からの誘いもあったくらいだった
全てが、ヒカルとナオトを中心に動いていた
ヒカルの両親はとうの昔に他界していた
預けられていた親戚の家は高校に入った頃すでに出ていた
ヒカルは高校からほどない古びたアパートで一人暮らし
気がつくと2人は一緒に暮らしていた
夫婦と呼ぶには幼すぎるままごとのような生活
それでもヒカルは幸せだった、一緒に食べる食事、2人で過ごす時間・・・・・・初めて知った裸で眠る暖かさ
しかしそれは、あっけなく幕を閉じた
「どういうことだよ!!!、サークルを辞めたいなんて」
普段怒ったことなどなかったタカシがナオトの胸ぐらをつかみ怒鳴る!!
その普段のタカシからは想像できない彼の顔つきに驚きを隠せないメンバー
しかし、そのナオトを殺しかねない雰囲気にダイスケとコージは急いで止めに入る
「やめろってば、タカシ!!」
「ナオト・・・どういうことなんだよ」
ギュッと、眉をひそめ顔を逸らすナオト
その瞳にはかすかに涙が伺える
「ごめん・・・・・・・」
そう一言つぶやいたナオトは部屋から飛び出していく
「ナオト!!」
ヒカルは必死にナオトの後を追う
数日前から様子がおかしいナオトになにやら胸騒ぎがしていたヒカルであったが
何もしゃべろうとしないナオトに聞き出せずにいた
夜の公園
人気もなくなったその公園の電灯にもたれかかって泣いているナオト
そっとヒカルは近づき声をかける
「ねえ、どうしたっていうの?・・・・・・・・・・なぜ、サークルを・・・・・・・・・・・」
深刻な顔で、やっと声を絞り出してナオトに問いかけるヒカル
「もう、終わりにしたいんだ・・・・・・・」
目を背け、ヒカルから逃げようとするナオト
ヒカルはナオトの背中に抱きつきその足を止める
「あんなに好きだったじゃない・・・・・どうして?・・・・・・・」
ヒカルの目にはうっすら涙が浮かんでいる
「もう、続けられないんだ・・・・・・・・・・」
うつむき絞り出すような声で答えるナオト
「ごめん・・・・・・・・・君の家からも、出ていく」
「ナオト?」
ヒカルはさらに信じられないといった表情を見せる
「ごめん・・・・・・ヒカル・・・・・・・・俺は最低の男だ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ううっ」
そう言うとナオトは泣き崩れた
「ナオト?」
不思議そうにヒカルはナオトを見る
ナオトは肩を小刻みにふるわせ、泣きながら続けた
「俺・・・・・・・・・・・実は好きな人ができた・・・・・・・・・・・別れて欲しい」
「!!!」
驚いて声も出ないヒカル
「もう、お前を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・好きだった俺はいないんだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なぜ?」
「これからもずっと私だけ見てくれるって言ったじゃない?・・・・私、いつもナオトしか見てなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・どうして?ナオトと私趣味だって一緒だったし、楽しかった・・・・・・・・・・ふたりは、ずっと一緒だったじゃない?」
ヒカルはナオトの体を揺さぶり叫び続けた
「趣味と恋愛は別なんだよ!!」
その一言でヒカルの時間は凍り付いた
その瞬間、世界には誰もいなくなっていた
何も見えない、何もきこえない・・・・・無だけが存在する世界
全ての時が止まった世界
長い沈黙の後、再び動き始める時間
「どうして・・・・・・・・・・・・・?」
目を閉じ・・・・・・目から涙を流しながらつぶやくヒカル
こみ上げてくる悲しみに打ちひしがれているヒカル、彼女の瞳は遠くの星空を見つめている
「気がついたら、もう彼女しか見えなくなっていた・・・・・・・・・・お前を抱いていても、俺の前には彼女しかいなかったんだ」
「その彼女、サークルのこと知らないのね・・・・・・・・・」
「ああ・・・・・・・・・・・・」
「だから、やめるのね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ああ・・・・・・・・・・・・」
「あなたはそれで良いの?」
「趣味と恋愛は別だから・・・・・・・・・・・・・・」
☆
あの事件以来ヒカルは恋をしていない
恋愛について臆病になったのだ
気になる異性があらわれても恋におちようとは思わなかった
好きという気持ちの前に浮かぶ・・・・・あの時のナオトの顔
「趣味と恋愛は別だから・・・・・・・・・・・」
(人を好きにならないんじゃない・・・・・・・・・・・・・なれなかっただけ)
幸せになりたくないわけじゃない
人を好きになりたくないわけでもない
ただ、
あの時のナオトの顔が浮かぶから・・・・・・・・・・・・
アキト君とユリカさん・・・・幸せそう・・・・
リョーコとサブロウタさんもなんだかんだいってもいい感じ
ルリルリとハーリー君も・・・・・・・・・・・・・・
自分はいつまでもこれで良いの?
いつも誰かの幸せを見るばかり・・・・・・・
自分の横には誰もいない・・・・・
私だけが、いつも一人だけ・・・・・・・・・・
それはなぜなのだろうか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どうしてなのだろうか
☆
ナデシコでのある日、喧嘩しているふたりを見た
泣いているユリカさん、なだめようとしているアキト君
3分もたてば元通り、ユリカさんとアキト君
いつかの自分にもこんな時があったのかも知れない
でも、ナオトは去っていってしまった
2度と戻らない関係
戻らない瞬間(とき)
(本当は逃げていただけだったのかもね・・・・・・・・・・・・・・・・・)
寂しげな顔で窓の外を眺めていたヒカル
その様子に気づいたテルミは心配そうに声をかける
「どうかなされましたか?」
「いえ、な、なんでもないです・・・・・・」
急いで笑顔に戻りテルミに明るく答えるヒカル
「遅いですね、ウリバタケさん」
「そうですね、ほんとにあの亭主(ひと)ったら・・・・・」
その時ガラガラと音を立てて工場の入り口のとが開く
「おう、今帰ったぜ、」
変わらないウリバタケの姿、大きなかごになにやら怪しげな部品をいっぱい入れて背負っている
以前と比べて少し白髪が増えたようではあるが、
「ほら、あんた・・お客さんだよ」
テルミはヒカルが来ていることを知らせる
「こんにちは、久しぶりですね♪」
ヒカルは笑顔でウリバタケにあいさつした
「お、なんだヒカルちゃんか、久しぶりだなぁ・・・・どうだ、リリィちゃん18号の調子は?」
ヒカルに気がついたウリバタケは急いでヒカルに歩み寄ると、楽しそうに聞いてきた
「それが・・・・・・・・」
ヒカルは持ってきたリリィちゃん18号をウリバタケに見せ
「さっき、煙が出て来ちゃって・・・・・・・・」
症状の説明をする
ウリバタケはヒカルからリリィちゃん18号を受け取ると
背中のパネルをあけて中を調べいくつかの部品をはずしてみる
「おお、こりゃひでえな、完全にオーバーロードしてやがる・・・・・・しょうがねえな、すぐ直すからよ」
「お願いします・・・・・・できれば何とか今日中に・・・・・」
ヒカルは申し訳なさそうな顔をしてウリバタケにたのむ
大体の察しがつくのかウリバタケはじっとリリィちゃん18号を眺めると
「しょうがねえなぁ、他ならぬヒカルちゃんの頼みだ・・・・・・・いっちょがんばってみらあ」
大きく胸を張り、自信満々といった様子で左手で自分の胸を叩くウリバタケ
「うわぁ、ウリP〜ありがとぉ〜・・・・・・・・・・・・・・・・あっ、いけない」
最高の笑顔でウリバタケに飛びつくヒカルだが・・・・・・・テルミにいたことを思い出すとパッと離れかしこまる
「なあに、気にするなって・・・・・・締め切り・・・・近いんだろ?この状態なら、2,3時間もあれば直るから・・・・そうだなぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・それまで・・・・・あっそうだ、テンカワの店にでも行って待っててくれないかなぁ、届けるからさ」
ウリバタケはそういうと、フトコロからテンカワラーメンの割引券を1枚とりだしヒカルに渡す
「まあ、こんなものなくても顔パスだろうけど一応持っていくか?」
「ありがとう、ウリP・・・じゃなかったウリバタケさん♪」
ヒカルは「あ、まずい」という顔をするが
「なあに、ウリPでいいぜ、その方がヒカルちゃんらしいしなぁ」
そう笑顔で言った
「うん・・・じゃ、アキト君のところで待ってるから♪」
☆
駅前通り
その一角にある小さな商店街
その中でひときわ小さな食堂
店の名前はテンカワ食堂
そう、あのナデシコでコック兼パイロットをしていた彼が、艦長であった妻ユリカと共にたてた彼の店
ヒカルも良く足を運んでいる
古びた入り口の戸を開けると
「いらっしゃいませぇーーー♪」
聞き慣れたユリカの声
「いらっしゃいませ」
聞き慣れたアキトの声
「い、いらっしゃいませ・・(ぼそっ)」
相変わらずのラピス
「こんにちは♪」
ヒカルはのれんをくぐり、店の中へとはいる
「あ、ヒカルちゃん、ひっさしぶりぃーー♪」
ユリカがうれしそうにはしゃいでいる
「久しぶりですね♪」
ヒカルは笑顔で答え、カウンターの隅の席に座った
「今日は何にする?」
テンカワアキトが注文を聞く
ヒカルは後ろの壁に目をやり、テンカワ特製ラーメンの文字を見つけると
「あ、新しいメニューだね、あの特製ラーメンでいい」
「テンカワ特製ラーメン一丁!!」
アキトは自分で注文の復唱をすると、麺を一玉取りだし、鍋の中に入れた
「はい、お水」
ユリカはコップに水を運んできた
この店の水は、アルカリイオン水・・アキトのこだわりである
「あ、ユリカさんどうもありがとう」
「ねえねえ、ヒカルちゃん最近どう?」
隣の席に座り、楽しそうに話しかけるユリカ
「おい、ユリカ・・・・・営業中だぞ!」
アキトがちょっとムッとして言う
「いーじゃない、久しぶりなんだもん、アキトォ♪」
ユリカは甘えた声を出す
「・・・・ちょっとだけだぞ・・・・・・・・・・・・・・・。」
男って言うのはこの声に弱い生物なのかも知れない
下を向いて、淡々とラーメンを作り始めるアキト
ユリカはにっこり笑ってブイサイン
「それで、どう調子?」
「それがね・・・・・・」
ヒカルはちょっと沈んだ顔で、今日の話をはじめた
締め切り寸前で、リリィちゃん18号の故障の話、ウリバタケの所での話、をユリカに話した
「大変だったね・・・・・・だけどウリバタケさんなら何とかしてくれますよ、メカだったらウリバタケさんに任せておけば大丈夫♪」
ユリカは、落ち込んでいるヒカルを励まそうというのか、いつもより明るく振る舞いながらそう言った
「そうですね・・・・メカは大丈夫ですよね」
いまいち浮かない顔のヒカル
ヒカルは考えていた
ウリバタケに甘える自分
自分に好意を抱いてくれたウリバタケを利用する自分
ウリバタケの妻テルミに感じるかすかな嫉妬
ウリバタケに対する想い
「ヒカルちゃん?・・・・・・どうかした」
心配そうにヒカルの顔をのぞき込むユリカ
「い、いえ・・・なんでもないです・」
焦りを隠せないヒカル
「ちょっと外へでようか?」
そのヒカルに何かを感じたユリカは表に誘ってきた
「はい」
ヒカルはユリカの厚意に甘えることにした
「おい、ちょ、ちょっと、らーめんどうすんだよぉーーーー」
外にでる2人に気付きあわてるアキト
「すぐ戻るから♪」
そうユリカは言い、ヒカルの背中を押し外へでた
☆
近所の公園
ブランコに腰掛ける2人
「ねえ、悩み事?」
2人の間にあった沈黙を破ったのはユリカだった
「うん・・・・・・ちょっとね」
ヒカルは自分の胸の奥で揺れる思いをユリカに話した
「そっかぁ・・・・私はアキト一筋でここまできたから、あんまりたいしたこと言えないけど、応援してるから」
ユリカはにっこり笑ってそう言った
「ううん、ユリカさんに聞いてもらって少し気が晴れた気がする」
ヒカルはユリカの手を取って礼を述べる
「もどろっか?」
ちょっと照れた顔をしてユリカは先に店の方へ歩き始める
『そうか・・・・・・誰かに聞いてもらいたかったんだ、私』
ヒカルは胸の内でそう考えながら、ユリカの後を追った
「たっだいまぁー」
脳天気なユリカの声
「お帰り、ラーメンのびちまうぞ」
ちょっとムッとしているアキト
「ごめんねアキト、ちょっと遅くなっちゃった♪」
手を合わせごめんなさいのポーズのユリカ
「ごめんね、アキト君」
ヒカルが謝ると、アキトはちょっとすまなそうな顔で、
「ははは、いいんだって、それよりのびちまうから早く食べてみてよ」
「うん、」
箸を割り、こしょうをふって
麺をすくって口へ運ぶ、
以前とはどことなく違う味
「少し、味変わったね・・・前より良くなった」
ヒカルは心配そうに見つめるアキトに向かいそう言ってみた
「わかる?ちょっとだしをいじってみたんだ」
うれしそうなアキト
えっへん、てポーズをするユリカ
「おまえが威張ってどうすんだよ」
アキトが笑顔でユリカにつっこむ
相変わらずの2人
幸せそうである
「せんせ、原稿まだですか?」
突如、後ろのテーブルの客が新聞越しにつぶやいた
「!!!!!」
驚き、背筋を硬直させるヒカル
「ご、ごめんなさーい」
手を頭の上で合わせお祈りのポーズをするヒカル
「ボクだよ・・・・・・ヒカルちゃん」
その男は新聞をどけ、ヒカルの横に座った
「誰・・・・・・・・・新しい担当さん?」
ほとんど涙目のヒカル
相手の顔に覚えはないようである
「忘れちゃったのかい?」
その男はフトコロから名詞を取り出し、ヒカルに渡した
<グローブズ出版 編集 「ヒムロテツヤ」>
彼の名刺にはそう書かれていた
「グローブズ出版?いつものマークさんじゃないの」
ヒカルは出版社名の所を見てそう言った
「名前の方も、見てくれないかなぁ・・・・・・」
男は、ちょっとあきれた顔をしてヒカルにウインクする
「ヒムロ・・・・・テツヤ・・・・・・・・テツヤ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・テツヤ君!!」
しばし考え込んだヒカルであったが、テツヤという名前に昔一緒にサークル活動をしたあのテツヤを思い出し、男の顔と重ねた
「テツヤ君なの?」
驚きを隠せないヒカル
テツヤは、昔とは髪型も見かけもちょっと変わっていて、おまけにめがねをかけていたので気付かなかったのだ
「うん、君が漫画家にデビューした頃から、グローブズ出版で働いてるんだ、どうやらボクは書く方より、こういった仕事の方が会ってるみたいでね」
テツヤは、にこっと笑うとヒカルに向かいウインクした
「誰かと思っちゃった・・・・・・・・・・・・・別人見たいなんだもん、テツヤ君」
ヒカルは突然のテツヤの登場に、懐かしさを感じて目頭が熱くなった
「久しぶりだよね、ヒカルちゃん結構綺麗になったね」
テツヤはいたずらっぽい顔で言う
「そ、そんな・・・・・・いつからお世辞を言うようになったのよぉ」
ヒカルは口調は怒ってるようだが、顔はうれしそうだ
「だけど、どうしてここが?」
ヒカルは不思議そうな顔でテツヤに訪ねた
「いやぁ、風邪ひいてお休みのマークがせんせーはここだよって言うもんだからね・・・・・・ところで原稿どう?」
テツヤは思い出したようにヒカルに原稿の催促をした
「それがね・・・・・・・・・」
ヒカルは頭をかきながら、ことのいきさつをテツヤに話した
「そうか・・・・・・・・・・・・久しぶりに、昔のコンビ結成!っていきますか?」
テツヤはうれしそうに携帯をとりだしダイヤルする
「・・・・うん、そう・・・・・・・・だから、・・・・・・・・・・・・・・・・・・んん、そうだね・・・・・・・・・・・だから、・・・・・・そう・・・・・・・・・・・」
数分間の電話の後、にっこり笑ったテツヤ
「交渉成立!、さて、久しぶりにサークル『タマネットワーク』の同窓会と行きますか♪」
「タマネットワークの同窓会って・・・・・・・」
驚きの表情を隠せないヒカル
「だって、そのマシンが修理できるまで原稿待たされると大変だからね♪」
そう、テツヤは言うと胸のポケットから一枚の写真を取り出し
「また一緒にやろうぜ、ナオト、タカシ、ダイスケにコージ、みんな集めてさ」
「テツヤ君・・・・・・・・・・・・・・だって・・・・ナオトは・・・・・・」
ヒカルはあの時のナオトを思い出す
「あいつなら心配ない・・・・・・・・・・・・・・あいつの奥さん実は相当なアニメファンでさ・・・・・・・・知らない?ヒムロミツコって漫画家」
テツヤは横にあった鞄から一冊の漫画雑誌を取り出した、
ヒカルの連載している、グローブズ出版の少年漫画誌『FREEDOM』である
その目次欄を開くテツヤ
「ほら、このヒカルちゃんの2つ下の作者見てごらん」
そう言って指を指すテツヤ、ヒカルはその先の名前を見る
【NIGHT OF THE KNIFE −作 ヒムロミツコ】
と書いてある
「これがあいつの奥さん、ヒカルちゃんと別れてつきあい始めた彼女・・・・・・皮肉なもんだろ」
テツヤは、ちょっとうつむき加減のヒカルにそう言った
「私・・・・・・・・・・・・」
ヒカルは声を詰まらせていた
「ヒカルちゃん・・・・・・・・・・・あいつのことまだ忘れてないの?」
テツヤは辛そうにしてるヒカルに気付き、心配げな顔で聞いた
「今でもね・・・・・・・ナオトの顔が浮かぶんだ・・・・・・・・あの時のナオトの顔が・・・・・・・・・・・・・別れた日のあのままで」
涙を流しはじめるヒカル
「ごめん・・・・・・・・・・・」
そう言うとテツヤは静かにヒカルを抱きしめる
「!!!」
驚き、顔を上げるヒカル
「でもね・・・・・・あいつのことはもう忘れて欲しい・・・・・ずっと好きだったんだ、ヒカルちゃん」
突然の告白
「テツヤ君?」
「ナオトとつきあってる頃から、ずっと君を見ていた、どうしてあの時君を捕まえてあげられなかったのかってずっと後悔していた・・・・・ごめんヒカルちゃん」
それから2人はしばらくしたあと
集まってきたタマネットワークのメンバーと共にとあるホテルの一室で原稿を仕上げる
ことの成り行き上、アキト、ユリカ、ラピスも手伝うことになるのだが・・・・
ウリバタケのリリィちゃん18号が復活したのは次の日のお昼頃であった
原稿のほとんどは印刷所に間に合わず、落ちてしまったが
それでも、ヒカル達は久しぶりに自らの手で書く楽しさを味わった
☆
数ヶ月後、
ヒカルは大半の連載を無事に完結させ、連載を大幅に絞った
以前のように忙しくはなくなったが、彼女にはもう一つの仕事が出来た
「おはよう、テツヤ♪朝御飯だから起きて」
エプロン姿のヒカル
「ああ、」
寝ぼけまなこのテツヤ
そう、2人は結婚した
「あー、これ・・・・・・サーモンのサンドイッチだ・・・・・・・・ボク魚ダメだって知ってるだろぉーーー」
泣きそうな顔をしてるテツヤ
「あ、ごめん・・・・・忘れてた」
頭をかきながらヒカルが取り替える
「ごめんね、好き嫌い酷くて・・・・・・・」
すまなそうな顔をしてるテツヤ
「好き嫌いも含めて、テツヤだもん、平気♪」
笑顔で答えるヒカル
「テツヤ♪」
テツヤを見つめるヒカル
「なんだい?」
笑顔のテツヤ
「大好き♪」
口づけを交わす2人
『幸せ・・・・・見つけました』
(終わり)
(後書き)
うー、こっぱずかしい話を書いてしまった(笑)
なんてラブラブなんでしょう・・・・・・この2人
この話に登場するキャラクター
どっかで聞いたことあるような気がしてるあなた!
正解です(笑)
某、再結成された伝説のユニットTM○ETWORKのメンバー&サポートメンバーの名前とか
それに関する名称が結構でてきます
探してみたりすると面白いかも知れません(バレバレですね・・・・・はい)
何はともあれ、ユリカフォエバーでやり残していたアマノヒカルのその後を書き終えて一応やり残したことはもう無いかなぁ(笑)
しかし、何とも言えない展開ですね
書き始めてから随分時間がたってしまったので、前半と後半では感じが変わってしまってるかも
まあ、この話は一応、読み切りになってます
長らく最後までおつきあいいただいた皆様、どうもありがとうございます
私は放浪小説家と名乗ってるものでして
あちこちのHPに投稿させていただいております
どこかで見かけたらよろしくお願いしますm(_)m
このSSに関する、感想、苦情、アドバイスなどは、
ryuichi@bx.sakura.ne.jp
までメールいただけるとうれしいです
また、大塚は、HPなども開設しております
是非、遊びに来てやってくださいね
「大塚りゅういちの隠れ家」
http://bx.sakura.ne.jp/~ryuichi/kakure/
では、
1999/某日
大塚りゅういち
<プリンセス・ルリと魔角の座談会>
魔角:大塚様有り難うございます!!
まさか大塚様からSSを頂けるとは、このHPもさらに格が上がるというモノです。
ルリ:なんだかえらく低姿勢ですね・・・そのような平身低頭な姿勢でいると・・・・・・
魔角:(ゲシ!ゲシゲシ!ゲシゲシゲシ!!)な・何するんすか姫!
ルリ:いえ、最近私の陰口をどこぞの通信でしているようなので、容赦しなくても良いようなので・・・。
魔角:いや、そんな姫だって口出してるじゃないですか・・・・
ルリ:さっさと話進めないと別の世界に送り出しますよ。
魔角:(気のせいか最近姫って凶暴性に磨きがかかっているような・・・)
えー、このお話の主人公はアマノ=ヒカルちゃんです。いやー、めずらしい!
ルリ:本当に。でもこのお話の凄いところはそれだけではありません!
このお話に出てくる人物の名前は全てTKに関係している人ばかりです。
魔角さんよかったですね。
魔角:何人の人がわかるかな(笑)
それにしてもTM復活してよかったです。
大塚様どんどん”TM”な「ナデシコ小説」生産してくださいね!お待ちしています!!
ルリ:それはいいんですが、貴方の方の”TM”な「ナデシコ小説」はどうなったのですか?
魔角:さて、次のTMシングルは・・・・
ルリ:逃避しましたね・・・・
大塚様本当にこの様な素晴らしい作品有り難うございました。
こんなヘボイHPですが、今後ともよろしくお願いいたします。