紀子へメールを5通送ったところでお試しポイントがなくなってしまい、
いつもは頼まれて登録していた出会い系サイトへ登録してくれと、友人へ頼むようになった。
紀子はなかなかアドレスを教えてくれず、数人の友人に登録を頼んだころ、俺は、紀子とのメールにどっぷり、はまっていた。
相手の顔が見えないぶん想像は膨らみ、一日に送るメールの数はうなぎ上りとなった。
いや、教えてくれなかったわけではなく、聞くことができなかったのだ。
あと二通でポイントがまた、なくなってしまうと思った俺は、意を決して、紀子にアドレスを聞いた。
紀子はすんなりと教えてくれた。こんなことならもっと早く聞いてみればよかったなと思いながらも、
紀子に一歩近づいた気がしてうれしかった。
一日中携帯が手放せなくなり、四六時中メールをチェックするようになった。
携帯を取り出し、メールがきていないかチェックし、届いてなければ、センターへ問い合わせを繰り返した。
携帯の料金は跳ね上がり、顔の見えない紀子への想いが募った。
メールがこないときは、紀子が何をしているのか気になり、何も手につかないほどだった。
ある日曜日、俺は

    紀子は今日は何してるの?どこかに遊びに行ってるの?俺は今日は友達と遊んできたよ。
    カラオケとゲーセンに行ってきたよ。

紀子からの返信メールは

    今日は友達と買い物に行って、その後、喫茶店に行ってきました。
    最近、ラビスって言う喫茶店によく行くんです。
    コーヒーにうるさいわけではないんだけど、お店の雰囲気が好きでよく行くんです。

    ラビスって、あの、郊外に新しくできたショッピングモールのところにある喫茶店だよね?
    俺も時々行くよ。俺はラビスの近くに住んでるんだ。あそこは静かで感じ良いよね。
    家から近いの?

    うん。近くだよ。じゃあ、家も近くなんですね。
    休みの日は友達とよくあのショッピングモールに行って、買い物して、ラビスでコーヒー飲んで、
    それからカラオケとか行ったりすることが多いんです。

近くに住んでいることがわかり、紀子に会いたい気持ちはますます募った。
今度遊ばない?と聞いてみるだけなのだが、紀子に嫌われそうでできなかった。
一度も会ったことがないが、毎日のメール交換で恋心が芽生えていた。
想像の中で紀子とのデートを繰り返し、我慢できなくなっていた。そんな思いを抱きながらメールを続けていった。

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