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き
ま
と
う
メ
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ル
(
ミ
ス
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リ
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プ
ロ
ロ
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グ
何でこんなことになってしまったのだろう。まさかこんなことになるなんて…。
それも、もう終わりだ。すべてが終わる。大きく深呼吸すると、暗闇の中に身を投げた。
人気歌手の最新曲のメロディーが聞こえる。また、メールが届いたようだ。
もう許してくれ…。そんな思いも遠のく意識の中に溶けていった。
第
一
章
退屈な授業だ。隣を見ると、健が携帯電話でメールを書いている。
健は最近流行のメールフレンドにはまっているようだ。
健以外にもクラスでメールフレンドにはまっているヤツは結構いる。
いわゆる出会い系サイトでメールフレンドをつくり、何度かメール交換を重ねた後、実際に会うのだ。
お互い気に入れば、その後も関係が続き、恋人同士となる人たちもいる。
実際にデートにこぎつけるために、一日に何通もメールを送っているのだ。
「悟もやってみれば?結構可愛い子もいるぜ。」
健はそう言って誘うがやってみようと思わなかった。
「悟。悟っ。」
小さな声で隣から健が囁いた。
「わりぃ、ポイントがなくなっちゃったんだ。ちょっとこのサイトに登録してくれないか?」
出会い系サイトというのは男性は有料サイトが多い。
ただ、最初にお試し無料ポイントというのがあり、みんな、無料ポイント内でメールを送っているのだ。
ポイントがなくなると別のサイトに登録し、無料ポイントのみで出会い系サイトを渡り歩くのだ。
出会い系サイトにはメールアドレス非公開機能というのがあり、最初は相手の女性のメールアドレスは分からない。
メール交換を続け、相手にメールアドレスを教えてもらうのだ。
教えてもらえない間は、サイトを通してメールを送るため、ポイントが消費され、
ポイントがなくなると料金を払わなければ、メールを送ることができなくなってしまう。
健はメールアドレスを教えてもらう前にポイントがなくなってしまったため、メールを送ることができなくなったのだ。
ただ、ポイントがなくなったときにお金を払うか諦めるか以外にもうひとつの方法がある。サイトを誰かに紹介するのだ。
サイトを紹介するという欄を選び、友人のメールアドレスを入れると、友人にサイトのアドレスが送信され、
その友人がサイトに登録すると、ボーナスポイントが紹介者に追加されるのだ。
時々、健はポイントがなくなると、登録してくれと頼みにきた。
「またかよ。さっさとアドレス聞き出せよ。」
「いや〜、なかなか渋くてな。でも後ちょっとなんだ。こんだけ堅いってことは、真面目タイプだ。
遊びなれてるやつより、真面目タイプのほうがいいからな。頼むよ。」
「真面目な女が出会いサイトなんかやらないと思うけどな。まぁ、いいや。登録してやるから送れよ。」
「サンキュー。」
しばらくするとブルブルブルと携帯が震え出した。
「悟、送ったぜ。早いとこ登録してくれ。」
「わかった。ちょっと待ってろ。」
そう言うと、送られてきたサイトに登録を行った。
健にむかって親指を上に向け、登録したぞと合図を送った。健は指でOKとサインを出すとメールの続きに入っていった。