小説 いんこな日々

4章 カナリ−シード攻防戦

ま、そんなこんなでニ、三日が過ぎた。
放鳥タイムのセキセイ女との対決は 今だ実現していないが
オカメには 毎回頭付きをお見舞いし 完璧な苦手意識を
植え付けることに 成功したようである。
私が近寄ると冠羽さかだてて 鼻息が荒くなってくるので
おちょくるのが ほんとに楽しい。
結果として 飼い主は 私の一羽かご続行もやむなし、と
結論づけたようである。やったね。

んが いい気になってると しっぺ返しはくるもので
その日の朝 餌箱に顔を突っ込んだ私は 頭を殴られた
ようなショックを受けた。な…ないっ!!
ないんである…カナリーシードが 一ッ粒も入ってない
んであるっ!
やられたっ!餌箱から顔を上げると案の定 飼い主がこちら
の様子を伺ってる。だいたい 飼い主ってのは 飼い方を
変更するといんこの対応が気になって いつになく熱心に
観察するものであって(くどいが 私はいんこ飼育経験者
なのだ) あのしてやったりと顔に文字が浮き出そうな
満面の笑みは 間違いなく 私へ向けられたものだ。
優しいいい人だと思ったことは 撤回である、ちっくしょ〜
悔しさのあまり 私は餌箱にくちばしを打ちつけた。
飼い主が 本気で私からカナリ−シードを取り上げたこと
は 私にはわかった。
普通のいんこ用シードには まずカナリ−シードが配合
されている。なのに 餌箱には 一ッ粒も入ってない
というわけだから これの意味することは 飼い主が
単品でわざわざシード買ってきて 独自配合したという
ことに他ならぬ。

ヒエとアワにちょろりとキビが入っただけのそれは
とてもマズくて食べる気力が起きない代物だ。
しかし…腹はどんどん減ってくる、飼い主は絶対
譲歩しないだろう。
ボリッ…私は 敗北感と屈辱感にまみれつつ餌をつつき
始めた。
飼い主は してやったりとうなづくと後は大慌てで朝の
準備に駈け回り 部屋を飛び出して行った。
遅刻にでもなばいいんだ、と私は心の中で毒づいた。

まずい食事をボソボソと続いけていたが ふと顔を
上げた私は 隣かごのいんこのくちばしで今 まさに
カナリ−シードの皮が割られるのを目撃してしまった。
するってぇと なにかいっ!?こんな仕打ち受けてい
るのは 私だけってことなのか!
ムカ〜〜腹から怒りがボコボコ煮えたぎるような
気持ちであった。 

その日の放鳥時間。私は 飼い主が他のいんこ達と
たわむれている隙に 入り口が開けっぱなしになって
いるセキセイ女のかごに 何気に侵入すると 目当
てのカナリ−シードをあさり始めた。
うまいっ、まる一日おあずけ状態だったから 尚更
うまいっ。
んで。気配に不穏なものを感じたのか 飼い主が
振りかえった時には 私はすでに 腹いっぱいで
大満足であった。
唖然呆然の飼い主の横を 悠然と歩いて自分のかご
に入ると しめの水を飲んで
「ぴょ♪」
と鳴いてみせてやったさ、がはははははっ。

翌日。全部のかごから カナリーシードが消えた…。
この飼い主は 鬼なのかっ(怒)!

(つづく)
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