てきとーどいんこ概論

時代は「脱力系いんこ」論

今日の講師は いつもと違って とてもおだやかであった。
聴講する学生も 一体 何がどうなってるのか わけがわからぬまま 講義
は始まった。

今 時代は、歌を聴いては涙を流し マッサージでコリをほぐして
もらい お茶を飲んでほっとするコマーシャルのタレントが注目され
たり 要するに 癒し全盛時代の感がある。世の中が全体に疲弊して
いるのだ
となれば。癒しの次のトレンドは 何がくるのか?
答えは一つ。「脱力」だ。もういいじゃん、力抜こうよ…。
でも もう力を抜く方法すら 人は忘れそうになっているのだ。
だからこそ「脱力系」が 求められるのだ。

つまり 話の流れとして当然 「いんここそ 脱力系だ」と握りこぶしを
振り上げ 主張したいところだが それでは ちっとも脱力でけんので
まぁ ぼそぼそ 「いんこが脱力系なのは何故か?」を語っていこう。

いんこ自身は 明言するが脱力して生きてるわけではない。一生懸命生き
てるし 必死にいろんなことに考えを巡らせておるのだ。
んで 小さな頭ん中で
「腹が減った。餌を食べねばならない。んじゃ 餌箱に行こう。飛んで
行こうか歩いて行こうか?早く食べたいから 飛んでみよう」
という ごくごくまっとうな思考を巡らせた後、飛んでみたらば 目論んだ
止まり木に一方の足は着地させるも もう一方だけ(←この一方だけっての
がポイント)を踏み外しかけ(←完全に踏み外すんでないのもポイント)
ちまったりする。
なまじ止まり木を中途半端に捉えているもんだから おっとっとっとっ
とっと〜と ためにためたあげくに(←ここが重要なポイントだ)バランス
が限界に達し、とうとう止まり木から落ちちゃうのか?
と その瞬間。ハシッとクチバシが かごの柵の一本を捉え 世にも奇妙な
体勢のバランスいんこが出来上がったりするわけだ。
漫画か漫才の世界かよ、とツッコム見てる飼い主側は その瞬間 無意識に
脱力してるって寸法だ。

はたまた、餌場での勢力争いに負けた腹減りいんこが ゴミ箱に殻餌を飼い
主が捨てる時 中身入りの餌も混入していることを発見。使用済みの敷き紙
なんかでてんこもりのゴミ箱のあいまに餌をつつけるという事実に気づいた
りする。その観察力はすんばらしいものがある。
その日も 餌場で他いんこにいつものごとく蹴り飛ばされたいんこは かって
のスゴスゴと引き下がった己と別れを告げ 内心 ほくそ笑みながら 「秘密
の餌箱」にダイブした…。
ダイブしたらば…いんこが「秘密の餌箱」と呼ぶ、ゴミ箱は ちょうどゴミ回収
直後で空っぽだったりするわけで いんこはすっぽりゴミ箱にはまってしまった
りするわけだ。
頭まっしろ、なんでこうなるのさっ!?という内容で叫んだのかまでは わから
ぬが 「びゃ〜〜っ!!!!」という叫び声で すっ飛んで行った飼い主は
ゴミ箱にはまったいんこを発見し これまた脱力するのであった。
以上、脱力いんこの実例を二つほど挙げてみた。

このように いんこが脱力系なのは ただ単にずっこけるからではなくて
いんこなりに綿密に行動した挙句、そのいんこなり綿密さってのが 実は
抜け穴、落とし穴だらけで、お約束どおり その穴でずっこけるってのが
重要なポイントである。
「そこまで考えて なぜそこで?」とぐったりするのが 人間的に 無理
なく脱力出来る所以である。
肩の力を抜く方法さえ 忘れかけた人間に いんこは 癒し以上の「脱力」
をもたらせてくれるんだぁね…。
今日の講義は以上である。

講師は 静かにノートを閉じ、にっこりと微笑むと 教室を後にした。
いつもならゾロゾロとたちあがる 聴講生達は しばらく 着席したまん
ま 固まってしまった。
のっぺりとした空気が 教室を覆った。そして 誰かがつぶやいた。
「ぶ…不気味だ…、あのセンセが 和みなんか演出しようとするのが
土台無理…」
つぶやきに共鳴するが如く 静かに 聴講生が一人 また一人と退席した。
誰もいなくなった教室の空気だけは いつまでも どよよんと淀んでいる
ようだった。

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