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今日はバス遠足の日だった。県で運営している大きな植物園へ行き熱帯植物や甘い香りがする花などをぶらぶら見て半日を過ごした。
私は幼稚園のころ両親とその植物園に行き、温室内で育てられていたワラビを興味本位でさわりポッキリ折ってしまい顔が真っ青になった思い出がある。
決して忘れられない思い出だ・・・いや忘れたくても忘れられないだろう。父がその現場を8mmカメラで撮影していたのだから・・・
バスの中、私は彼の隣席だった。行き彼は新書を黙って読んでおり私はMDを聞いていた。
そして帰りのバスの中、私と彼はくだらない雑談をした。
「あ、そうそう。ホテルとかのマスターキーってどんな鍵か知ってる?」
彼が切り出す話題で一般的なものはあまりない。もう、私は慣れっこだったので普通に対応する。
それはともかくとして、マスターキーってよく聞くけれどもなんなのだろう。ホテルの事務室とかに仕舞ってあるもう一つの同じ鍵のことだろうか。
暫く考えていると彼はクスクス笑いだした。馬鹿にしているのか、その発言に裏があるのかのどちらかだ。もう判らん、こうなりゃ自棄だ。と思い、さっき考えたことを言った。
「残念でしたー。答えはね、どの部屋の鍵も開けられるキーなんだよ。だからマスター。君が言ったのはオリジナルキーというんだ。」
へえ。・・・なんとなく彼の趣味がわかったような気がした・・・もしかしたら、と思った瞬間、また彼が口を開いた。
「実はね、今面白いマスターキーを持っているんだ・・・。」
といい、ポケットの中から真ん中にスリットがある赤茶色の小さな薄い四角いケースとそれについた刻みの無い鍵を取り出した。
「これはあるメーカが開発した金属のマスターキーなんだ。ちなみにこれは500円ヴァージョンね。マスターですので無論新旧どちらの500円玉でも演じられます。」
彼はニコニコ微笑みながらそういう旨をいい、500円玉を貸してくれと私にいった。非常に機嫌が良いのだろう。私は財布の中から新500円玉を出し、彼に渡した。
「いいかい?」
と、言いながら彼は、その赤茶色の薄いケースから丁度500円玉がピッチリ入るように丸く凹んだ部分を持つ赤いラバー製のコインホルダを抜き出した。
そのコインホルダに私が渡した500円玉をピッチリとはめ込み、それをケースの中にしまった。
「ほら、見ていてごらん。これがコインのマスターキーだよ。」
彼はそう言い、刻みの無い鍵を手に取り、その鍵の先をスリットにあてがった。そのスリットからは勿論黄金色の500円玉が見えている。
そして鍵をゆっくりゆっくりと差し込んでいく。まるで、柔らかいバターをナイフで刺すように・・・。
そして鍵は500円玉を貫通してゆく・・・ケースの反対側に鍵の先が段々と出てくる・・・。コインは鍵を受け入れたのだ。
「ほら、このとおりさ。これがマスターキーなんだ。」
と、言いながら彼は笑う。
そして彼は鍵を抜き始めた。ゆっくりとゆっくりと・・・。そして鍵は完全にケースから抜き取られた。
彼は無言でゆっくりと一つ一つの動作を行う。彼は鍵とコインホルダを繋ぐチェーンを持ちケースからコインホルダを引き抜いた。
「さあ、お返ししますよ。」
と、彼はまだ500円がコインホルダにピッチリはめ込まれている状態で私に渡してきた。
鍵も普通の金属の鍵だ、ただ刻みが無いだけだ・・・。
ホルダも500円玉しか入る隙間が無い・・・ピッチリと500円玉は、はまる。逆さにしても500円玉は落ちもしない。
そう確かめていると、彼がポンッとケースを渡してきた。私はケースも穴が開くほどに見た。しかし何の変哲も無い普通のプラスチックのケースだった・・・。
現象は事実だ、可能に違いはない。しかし、この状況からは不可能ではないのだろうか・・・。私は思考のループにはまった・・・。
彼はさっきからずっとニコニコ笑っている・・・
そして暫く、ボケっと過ごしていた。きっとさっきの反動だろう。バスも、もう直ぐに学校に着く。
その時、彼がマスターキーの話を切り出したときに思った事を彼に尋ねなければならないと思い出した。そして隣で本を読んでいる彼に尋ねた、
『君、最近ラジオライフ読んだ?』
と。
商品情報
商品名:魔法のマスターキー
発売元:テンヨー
購入元:多分デパートや玩具屋なので購入できると思います。
値段:1500円
おまけの一言
どうもライです。
この商品は僕が中学の頃、その頃良く通っていたマジックショップのおじさんに見せてもらい
本当に驚いた思い出の商品です。
あと、ラジオライフを知らない人は少しわからないかもしれませんがお許しを・・・
多分、想像のとおりの本です。間違いないでしょう(^^;