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昨日、私は彼と休日を過ごした。いつもように本屋へいき、近くのファーストフード店へより少し遅めの昼食を取った。
そのとき、彼は注文していた本が届きとても機嫌が良かったようだ。何でももう版切れになった本らしい。
私がジュースを飲んでいるとき、私の人生でもっとも不気味な言葉を聞いた。
「実はボク、ギリシア神話に出てくるペルセポネなの。」
と彼は言った。私は確かにその時、鼻腔内にジュースが侵入したの気づいた。ペルセポネは女神だ。
「まあ、それは嘘だけどね…」
当たり前だ。そして彼の言葉は続く。
「…でも、これを見て…。」
そして彼は4枚のカードをポケットから出した。一枚が青色のバックで、それ以外は赤色のバックだった。
青色のバックのカードを表向きにすると、そこには真っ白なキャンバスが描かれていた。
彼はそのキャンバスが描かれたカードを裏向きにし、テーブルの上に載せた。
「ペルセポネはね母親から魔法の絵具を貰ったんです。」
彼はそういいながら赤色のバックに描かれた絵具イラストを青・緑・赤の順に見せていき、テーブルの上に裏向きに置いていった。
「ペルセポネの仕事は春の花に色を塗ることなんです。ほら見てみて。」
と彼は言いながらさっき伏せて置いた絵具のカードの束を左手で取り上げ表返し、カードの表の下半分を隠していた右手をゆっくりとどけ絵具を見せた。
私は目を疑う。さっきまでそこに描かれていた新品同様の青色の絵具が減っているのだ。
“ペルセポネの仕事は春の花に色を塗ること…”
彼の言葉が私の頭の中をよぎる。
そしてペルセポネは青色の絵具のカードを下にゆっくりとずらし緑色の絵具を無力な人間である私に見せる。
さっきの青色よりももっと減っている…。どういうことなのだ?
そして赤色……………私にはもう何がなんだかわからなくなってくる。
「では、ペルセポネの作品をご覧くださいな。」
と彼はニコニコしながら言う。そして彼は先程伏せて置いた、キャンバスの書かれた青色のバックのカードを表向きにした。
真っ白だったキャンバスに花の絵が描かれている…。紙上のものがどうやって変わるのだろうか……。
女神の仕業なのだろうか…。
さっきのカード奇術を見せてもらってから、飲んでいる途中だったジュースを飲みながらぼんやりとしていた。
さっきよりも温くなったジュースは甘味を増している。
ふと彼の方に視線を向けると彼が嬉しそうに鞄の中からごそごそと何かを出している。
あ、あれは今日買ったという本だな。と思いながらその本のタイトルに目をやる。
『今日からはじめる 少女マンガ入門 目の描き方編』
私にはもう何がなんだかわからなくなってきた。
商品情報
商品名:魔法の絵の具
発売元:テンヨー
購入元:ディーラーさんがいるデパートのテンヨーブースにて購入可能だと思います。
値段:1000円
おまけの一言
こんにちは仕事の遅いライです。
この話には書きませんでしたが最後にカードを渡すことが可能です。