7/19 ロンドン公演−第24話−
夕立が止んだのを確認して、
ボクらはパレスシアターへ向かった。
劇場に着くと、既に開演30分前で、
劇場の周りには、タクサンの人々が集まっていた。
この時期、ロンドンの夜7時は全然明るいので、
入場する前に記念撮影。
建物の正面には、デカデカと例の看板がある。
いかにも、本家。
という雰囲気をかもし出している。
イギリスというお国柄だろうか、
身に来ている客の服装なども、
ブロードウェイと比べると、ハイソな感じがする。
入場券を受付に渡し、中に入る。
どことなく、対応にも品が感じられて、イイ感じ。
階段を降りると、荷物預かり所。
たいした物ではなかったが、色々買い物をしたので、
一応預けることに。
そこでも、さすがロンドン。
ヒッタクリのように、
荷物を取られるニューヨークとは、訳がちがう。
それだけで、
気分はVIP。
こっちが恐縮してしまうぐらい、丁寧な対応。
席に座り、辺りを見回す。
全体にゴージャスな作りのせいか、別世界にいるよう…。
ブロードウェイの劇場よりも、天井が高くて気持がよい。
そんなVIPっぷりにウットリしていると、
えくすきゅーず、みぃ?
こんなVIPに気安く声を掛けるとは、
おぬし、一体何者じゃ。
俺ッチの席、奥なんだけど、
通してくんない?
イキナリ現実に引き戻されてしまったが、
快く道を空けようと、立ち上がる。
更にイスにべったりくっ付いて、
ボクの前に人が通れるスペースを作った。
…
…
早く、行けよっ!
折角、無理な態勢で通れるスペースを作ったのに、
ヤツはポカンとしてる…。
まったく、これだかVIPじゃないヤツは困ったもんだ。
するっと行けば、行けるだろっ。
するっと行けば。
しかし、ヤツはピクリともせず、うつむいている。
なんで、行かないのか。
いい加減、この態勢はつらい。
まだ、スペースが足りないとでも言いたいのか。
多少いらついて、ヤツの視線の先を見る。
すると、
綺麗に並んだ靴。
げげっ!しまった。
ついウットリしすぎで、靴を脱いでリラ〜ックスしてたのを、
すっかり忘れてしまっていた。
このままでは、非常にオマヌケさんになってしまう。
…
…
誰だぁ、
こんなところに靴忘れてったのは?
まるで、百円玉を拾うところを見られないように、
知ら〜んぷりをしながら、
足でそぉ〜っと、引き寄せたのは言うまでもない。