8/5 ロンドン公演−第28話−

ビッグ・ベンまでは、そう遠くはなかったたが、

外を歩くのは、一秒でも辛かったので、

地下鉄に乗っていくことにした。

たった一駅。

駅をでると、なかなか人通りの激しい通りにでた。

手持ちの地図によると、地下鉄の駅をでてすぐとのこと。

当たりをキョロキョロして、ビッグ・ベンを探す。

「ないねぇ。」

『ないですねぇ。』

「今日は、来てないのかなぁ?」

『そういうもんじゃないでしょ。』

「寒いからね。」

『だからぁ〜』

いくらキョロキョロしても、お目当てのビッグ・ベンは見当たらない。

地図上の目的地を示す☆は、目の前を指しているはず。

しかし、肝心の目の前にあるのは、何かの建物の壁だけ…。

壁!

恐る恐る、壁伝いに視線を上げていくと…、

で、でたぁ〜!

でたぁと言っても、お化けでもなければ、変な占いでもない。

そこに聳え立つのは、その名の通りのビッグ・ベン。

その大きいことったら、っんもう、

札幌時計台ぐらいはあるって感じ。ウフッ。

『札幌時計台は、デカくねぇだろぅ〜!
ウフッ、って言うなァ〜。』

あまりにもデカい時計台なので、

真下にいるボクたちには、ユースケ・サンタマリアの自慢話のように、

さっぱり先っちょが見えない。

ビック・ベンは、テムズ川の川岸にあるので、

橋を渡って向こう岸から見ると、全体がよぉ〜く見えるらしい。

早速、「ロンドン橋落ちたぁ〜」と、口ずさみながら足を踏み出す。

…と、

さむぅ〜!

容赦ない冷たぁ〜い風が、

通気性抜群のマンチェスター・ユナイテッドのユニフォームをすり抜ける。

あまりの寒さに堪えかねて、ダッシュで向こう岸まで行き、

写真を撮って、再びダッシュで戻ってきた…。

っんもう、寒くって観光どころでない。

その後グリニッチ行きのフェリーに乗る頃には、

すっかりクチビルが、真っ青になっていた。

まるで、

テムズ川でおぼれた子供のよう…。

 

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