10/14 金は天下の回りモノ−後編−
クウォーターを賭けた、
のらくろオヤジとの対決に、まんまと、
肉を切られて、骨も断たれたボク。
泣く泣く、帰路につくしかしなかった。
家に帰ると、ボクを迎えてくれるのは、
待ってましたとばかりの、
洗濯物の山。
さて、こいつをとっとと片付けちまうか。
片手に洗剤を持ち、
ポッケに、なけなしのクウォーター5枚を突っ込む。
ギシギシと鳴る階段を降り、
すっかり寒くなった、秋の夕暮れへ。
コインランドリ―は、一旦アパートを出て、
グルっと裏手に回り、
地下に下りないといけない。
さすがに、この時間から洗濯をしようとする人は、
あまりいないらしく、がらんとしている。
こちらのコインランドリーは、
自動販売機のように、コインを投入するタイプではなく、
トレイに、コインを立てて並べ、
ガッシャン。
と、トレイを奥に押しこむタイプ。
何気なく、洗濯物を洗濯層に入れ、
魔法の粉をパラパラとふりかける。
さて、コインをトレイに並べるか。
ポッケに手を突っ込み、クウォーター5枚を取り出す。
それを乗せようとして、気が付いた。
あ、
トレイが、奥に押しこまれたままだ。
この状態では、駄目なので、
引き出しのように、手前に引っ張らねば。
ホントなら、バネで自動に出てくるんだけど、
きっと、これは調子が悪いんだろう。
スッとトレイを引き出した。
つもりが、引き出ない。
な、なにぃ〜?
どっかに引っかかってるのだろうか。
トレイが出ないことには、お金を入れようが無いのだ。
ど、どうしよう?
隣の洗濯機に移るにも、
既に、洗剤を入れてしまっている。
うそだろー、おい!
勘弁してくれようぉ…。
とりあえず、トレイを揺さぶって見るか。
がちゃ。
…、駄目か。
がちゃ。
がちゃ。
…
…
うぉりゃあー!
出て来いやぁ、コラァーッ!
がちゃ、がちゃ、がちゃ、がちゃ、
がちゃ、がちゃ、がちゃ、
がちゃ、がちゃ、がちゃ、がちゃ、
がちゃ、がちゃ、がちゃ、がちゃー!
ガゴン。
じょろろろぉ〜。
!?
や、やばい。壊れたか?
息を殺して、様子を伺うと、
…
…
あれ?洗濯機動き出した。
お金入れてないのに…。
まいっか。
結局、クウォーターは使わずじまいだったのでした。