5/30 端の上塗り

うっかり取れてしまった、

ドアノブ。

かわいそう…。

かと言って、

公園で拾った猫のように、

家で飼う訳にもいかない。

やはりここは、

心を鬼にして、

ドアに帰してあげよう。

来年またこいよぉ〜。

意味不明な捨てゼリフを口ずさみながら、

抜け痕にひょくり出ている棒に、

ズボッと、差し込んだ。

ねぇ、聞いた?

「ズボッ」だって。

抜ける時は、

あんなに軽快だったのに、

なんでだろ?

やっぱ、付けすぎたのかなぁ…

セメダイン。

だってぇ、だってぇ、

どうせなら〜。

どうせ植えるならぁ〜。

「これでもかっ」てくらいに、

付けてやったのが敗因だったか…。

(それから、それから)

翌日、仕事から帰って、

玄関を開けようとしたら、

ドアノブがない。

な、なぜに?

あんなにタップリ塗ったのにぃ〜。

ノブから氷柱が出来るほど塗りたくったのにぃ〜。

なぜ無くなる?

考えていてもラチもドアも開かないので、

ノブ無しドアに手を伸ばした…。

全然、手がベトベトしてない…。

なるほど…。

どうやら、セメダインを、

ドアノブの表面に
塗ってしまったらしい。

今ごろは、誰の手の中に…。

 

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