愛すること、愛されること
年齢を重ねるにつれて自分の恋愛論が確立されてくる。
小さい頃から常に誰かが好きだった。
小学校の頃は、特に仲が良かった子がいつの間にか好きだった。
この頃は他人の気持ちなんて全然意識していない。
一緒に遊んで楽しければいいから。
6年生の時に好きだったNにも、結局何も言えずに卒業した。
それが中学に上がって大きな変化が現れた。
一目惚れだった。
いつもの帰り、バス停で並んで待っているとき、その人の笑顔が見えた。
同じ学校のガクランのお兄さん。
その日から常にその人を追っていた。ネットワークを張り巡らせて、
名前、クラス、逢える時間...。話した事もないのにほんとにがんばってた。
朝も早起きして同じ電車に乗ったりもした。
でも2つ年上の彼との年齢の壁や、解りもしない男心に悩んでは泣いた。
勝手に色々想像をして、眺めるだけの毎日....。
半年以上見つめ続けて、バレンタインについにつかまえた。
何時間も彼が帰ってくるのを待って、手作りのクッキーを渡した。
でもそれから何も起こらなかった。今になって考えれば、
連絡先も何も教えずに、好きです、という文字だけを贈ったのだ。
その後何ヶ月かして、不図した時に彼女が出来た事を知って見事に砕け散った。
この淡い恋であたしは好きになったら行動しなくてはいけない事、
当たって砕けろの勇気を持たなくてはいけない事を学んだのだった。
次に好きになったのは登下校でよく逢う2つ上の人。
今度は同じバスにのると時々耳に入ってくる彼の話し方や、話題に惹かれた。
人を楽しませる面白い人だった。
彼とはバレンタインに告白をしてから付き合うまでいったが、
常に受け身だったあたしはついに飽きられて終わった。
この恋でもっと積極的にならなくてはと心に誓った。
中3の秋、バンドを組んでたあたしは文化祭のライヴの後、
同い年の男の子Dから想いを寄せられていた事を友達づてに聞いた。
そしていつの間にか電話をする様になり、
ものすごくあたしを好きでいてくれるDの熱意に答えて付き合う事になった。
そのうち、きっと好きになれるだろうと思ったから。
でも時が立つにつれ、彼の気持ちがすごく負担になり、
悪いところばかり見えてきてしまった
こうなったらもうどうしようもなかった。
でも怒られるのが怖くて言い出せなかった。
そんな時、またバス停でSという人に出逢った。
この人も殆ど一目惚れのようなものだけど、
見掛ける度に笑顔の絶えない人で可愛らしく、
お洒落な人ですごく魅力的だった。
何故か友達がちょっとした知り合いで電話番号を手に入れてから
少しずつ話す様になり、仲良くなることが出来た。
そこでまずはきちんとDと区切りを付けようと決心をして、あたしから別れを告げた。
彼は納得してくれたし、後悔は全然しなかった。
Sもあたしを気に入ってくれたらしく、
朝まで5時間電話する事も何度かあった。
ポケベルにはハートをいっぱい付けてくれるし、
何度か遊んで、一度だけキスもした。初めてじゃなかったけど、
本当に嬉しいと感じた最初のキス。
2週間位経って、告白しようかなと思いつつ向こうから告げてくれるのを待ってたら、
その間に彼は別の女の子と仲良くなってしまった。
あとから友達に、あたしが告白するのを待ってたらしいと告げられた。
彼がそういう雰囲気をつくっても、あたしはそれに気付かずにいたから、
逆に冷めてしまったという。
この二つの恋で、好きじゃない人と付き合っても続かない事と、
相手の心を察する事、タイミングの大切さを知った。
こんな甘酸っぱい想いを抱きながら高校に入ってすぐ、
同じクラスのTに一目惚れした。
目が大きくて可愛い人。昔に比べて随分積極的になったあたしはどんどん近づいた。
そしてあっという間に両想いになって付き合いはじめた。
入った部活も半ば彼が所属しているからで、飽きるほど毎日一緒にいた。
彼もすごくあたしを好きでいてくれる人で、それが心地良かった。
進級をしても変わらず毎朝おにぎりを作っていったりあたしなりに尽くしてた。
でも、1年を過ぎるとまただんだん嫌な部分が見えてきたのだ。
口で言う事と行動が伴わない所や、わがままな所。
どんどん嫌悪感となってあたしにのしかかった。
そこであたしは同じ部活の年下のMが気になりだしてしまった。
この子はすごく目が綺麗で、優しい子。
最初はただのアイドル的存在だったのが、
だんだん本気になり出したから大変。結局何も進展はなかったけど、
新鮮さがあたしを虜にしてた。
Tには本当に自分が思ってることを伝えなかった。
喧嘩をしても謝るのはいつもあたしで、
その度に不満ばかり募ってく。
四六時中せまってくるキスも嫌いになった。
抱きしめられるのも苦しくて嫌になった。
嫌いな訳じゃないけど受け止められない、
Mに惹かれてしまう自分の気持ちも解らなくなり、あたしから別れた。
不安定なあたしにとってTの気持ちは重すぎたのだ。
この恋の結末は本当に最悪で、あたしはTの存在が怖くなってしまう。
別れたあとはしばらく友達との関係を深めて、その気楽さも知った。
この1年半で意見をぶつけあうことの必要性、一度冷めた心は戻らない事、
「親しき仲にも礼儀有り」という言葉の意味、自分の時間の大切さを学んだ。
そしてその数ヶ月後に今まで"愛"というものを知らなかったんだと実感する事になる。
今の彼に出逢って、愛することの素晴らしさを知った。
ちょっとしたきっかけで話す様になった彼。
話す度、メールする度、彼に惹かれていく。
何を犠牲にしてもこの人の傍にずっといたいと思った。
何もしなくても傍にいるだけで安心する。この人があたしの帰るべき場所だと感じる。
あたしは人をFEELINGで選ぶ人なのだけど、彼と出逢った感覚はどうしようもなく素敵だった。
彼の雰囲気、優しさ、ぬくもり...全てにおいて生きてきた中で一番影響を受けた。
そして全てに惹かれた。
ただ好きなのではなく、心から尊敬している人であり、良きライバルでもあり、兄弟の様でもある。
愛されている実感と、愛している実感があたしの生命。
今までにない感覚。
愛は形のないものである。
誰も定義することは出来ないし、その必要もない。
自分が愛だと実感したなら、それがきっと愛なのだろう。
Give and Takeの愛もあれば、GIVEだけの愛もきっとある。
どれだけ相手を愛せるか。
始まりはいつでもそれなのだ。
自分の本当の気持ちは自分だけが知っている。
それを真っ直ぐにぶつけられる、受け止めてくれる人に、
運命で繋がれた人に、
あたしは17才の冬、出逢った。