Second Step


二十歳になるまでに、自分の中に 何かを残したかった。
一年半年前、そんな漠然とした想いだけが、あたしの心に焦りと不安をまき散らしてた。
無くした自信と、新しい環境になじめない孤独な自分。
変わろうと思えば、変われるのかも知れない。でもそれが出来なかった。
身体が、心が、受け付けないのだ。どうにもしようのない空虚感が、
いつもいつもそこにあった。

しかし、年月は人を変えてくれる。変えるチャンスをくれる。
手に入れた自由な時間で、あたしは人をおもてなしする喜びを手に入れた。
「夢」ではない、絶対手に入れなくてはならない「目標」を見つけた。
自分の飲食店を開くという「目標」。
そのために、今、何が必要で、その為にどうするべきか。
そう考えたときに、今、料理を学びたいと思った。
今のあたしには、料理の基礎知識も、経験も、環境も、何も無い。
生涯「食」という世界で生きて行こうと思ったからには、
今すべきは前に進む事だと、本能が疼いた。

ただ何となく、毎日これでは駄目だと思いながら、
典型的な駄目学生生活そのものを送ってしまった。
単位の為に中身のない授業に出席し、与えられた課題を適当にこなし、
普段は勉強もせずにバイトと遊びの繰り返し。「堕落」とまではいかないものの、
やはり怠けていたことに変わりはない。
そんな自分が嫌で仕方がなかった。
解っていても、何一つ変えられない自分。
理解する能力と、実行する能力は別だ。有言不実行では意味をなさぬ。

二十歳という一つの節目に、あたしは自分でターニングポイントを設けた。
人生の過渡期。
今現状を変えなければ、
今自分自身に刃を立てなくては、
きっと機会を逃す。
そんな想いだけがあたしの動力だった。

今までの自分を捨てて、新しい自分に生まれ変わろう。
あたしは今、人生のセカンドステップに足を降ろしたばかりだ。


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