チャンス2
チャンスを絶対ものにしようと決心してからどれくらいの月日が経っただろう。
ようやく俺にも転機が訪れた。
ネットで知り合った友達が一緒に会社を開こうと言い出してきた。
友達も俺と同じタイプでここ数年家からは一歩も出ていないらしい。
チャットを使って色々とミーティングを繰り返し、やっとまとまってきた。
だが、ここで1つの問題が起きた。
友達も俺も経営やら株式やら在庫管理やら仕入れやら何やらの知識が0だった。
しかし、ネットと言うのは便利だ。
欲しい情報がすぐに手に入る。
俺と友達はチャットでお互いに情報交換しながら色々なHPを見た。
経営に関係あるものなら全てを見た。
そして2人で勉強しだして幾日が経過しただろう。
ようやく2人とも経営についての知識が身に付いた。
そして、2人で外で打ち合う事になった。
顔や声や特徴などはPCで確認してるのですれ違いも無い。
2人は数年ぶりに外へ出て、そして数年ぶりに人と会う事になった。
待ち合わせの時間、俺は電車が人身事故で止まってしまい少し遅れた。
酔って落ちる奴、自殺する奴、居眠り運転のまま踏み切りに突っ込む奴。
世の中俺が接触を絶った時と何も変わって無いな。
昼間だと言うのに仕事もしないでぶらついてる奴、
汗を拭いながら脂肪のつききった体を重そうに引きずりまくってる奴。
俺が最後に外に出た日と何も変わっていない事を実感しつつ待ち合わせ場所についた。
友達は待っててくれてるはずだ、ちゃんとメールも送っておいたし。
だが、到着するとそれらしき人物がいない。
どうしたのだろう、俺が遅れすぎて帰ってしまったのか?
そんな中、1人の男が席を立ちこっちに向かってきた。
「はじめまして・・・で、いいのかな?」
と、言ってきたその男の顔を俺はまじまじと見た。
これがあいつなのか?
いや、どう見ても違うし声も似てはいるが違う。
するとその男が言った。
「ビックリしてますかな?
 驚かせて申し訳ありません、でも、あなたの探してる男は私ですよ。
 少し写真と顔も違うし、少し声も聞き取りにくくなってるかもしれませんが。
 いや、あなたを決して騙してる訳では無いんです。
 あの写真の男、そしてあの声も確かに私なんです。
 ただ、あの写真の時から20年は年老いていますが・・・。」

俺はあの後すぐに断り、そして来た道を戻った。
これが俺の待っていたチャンスなのか?
いや、そんなはずは無い・・・。
そうだ、生きてるうちでそんなにチャンスがあるはずない。
そして俺はまたもとの生活に戻り、次のチャンスを待つ事にした。



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