ネットワーク
「いいかい? とりあえず今は僕の話を全部聞いてほしい。
 いや、やはりそこは色々とあるだろうから途中わからない事があれば聞いてくれ。」
そう言うと僕は一呼吸置き、話し始めた。
「君からさっき受けた質問、『ネットと現実の違いは?』って事なんだけど、
 大まかに言うとそう違いは無いのさ。」
ここで彼女は口を挟もうとしたが僕は構わず続けた。
「まぁ、それはあえて大まかに言うとで、実際は違うよ。
 現実しか見ていない人にとってはネットなんてって思うかもしれない。
 でもね、ネットも現実もやはり人との付き合いなんだよ。
 そこで違うのは匿名性の高さだよね。
 現実では匿名性は低い、やはりそこは無いとは言えないからね。
 ネットでの匿名性の高さは現実の比じゃない。
 やはり顔もわからなければ声も聞こえないってのもあるさ。
 匿名性の高さは決していいと呼べるものじゃない。
 でもね、ネットでは現実よりも信頼性が高いんだ。
 やはりやりとりも今じゃ動画とかでもコミュニケーション取れるけどさ、
 やっぱり主体はメールだったり掲示板だったりチャットだよね。
 そこでの文字のやり取りでどこまで相手を信頼出来るかが重要なんだよ。
 まったくどこの誰だかわからない状態から互いに信頼してくんだからね。
 現実だとやっぱり最初に接点があってどこの誰だかわからないってのは少ないだろ?
 会社の同僚だったり、バイト先の人だったり、友達の友達とかさ。
 やっぱり現実だとどこかに接点があって匿名性は低いんだよ。
 でも、ネットではそうはいかないからまずは互いに信頼しあう。
 そこからメールアドレスや電話番号を教えたりするよね。
 それこそ、どこの誰だかわからないし、言ってる事は嘘かもしれない。
 そこでまた現実との違いが出てくるんだよ。
 やっぱり現実だと顔を会わせてから関係が始まるよね?
 でも、ネットだと文字でのコミュニケーションが始まりで、
 やっぱりそこには誤解とか色々あるから礼儀が大切になってくるんだ。」
そこまで話すと彼女は「でも、」と言って口を出そうとした。
僕は彼女が次の言葉を言う前に話を続けた。
「いや、わかってるよ?
 現実でもそりゃ礼儀は必要さ。
 挨拶だったり、お礼だったり、色々あるさ。
 でもね、ネットではやはりそれ以上に礼儀が必要なのさ。
 普通の友達感覚でネットをやってもそれは無理だし。
 いきなり初対面なのに軽い感じでこられたらやっぱり嫌でしょ?
 現実ならありうる事だけど、ネットでいきなり軽い感じで来てもね、
 やっぱりそんなんじゃ信頼関係を持つのは厳しい。
 まぁ、礼儀とかの話はこれぐらいにして、
 えっとね、ネット関係では匿名性がかなり高いよね。
 それに加えてやっぱり文字だけの関係が多い訳だし、
 信頼してる人同士だと、普段、現実じゃ言えない様な事も相談出来るんだよ。
 ネットじゃ内面が表に出る事が多いからね。
 こう、ネットじゃ内面で繋がれるんだよ。」
そこまで話し、僕はいよいよ本題に入る事を決意した。
「でね、現実じゃやはり恋愛だと外見が先行するんだけど、
 ネットでは外見が先行するのってかなりめずらしくて、
 ネットじゃほぼ相手の内面に惚れる事が多いんだよね。
 外見が無い分、変な偏見とか無しに相手の内面を見れるんだよ。」
僕はそう言うと少し間を置いてみた。
彼女が何か言ってくるんじゃないかという気がしたからだ。
そしてコーヒーを一口飲み、僕はゆっくりと切り出した。
「だからね、僕も君の内面がすごく好きなんだ。
 外見なんかどうでもいい、今度会ってくれないか?」



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