ロボット
昭雄は小さい頃からロボットが大好きだった。
ロボットをいつか手に入れたい、その気持ちは少年の時のまま昭雄の中にあった。
そして、遂に手に入れたネコ型ロボットを。
小さい頃、夢中になってたマンガのロボットとは少し違うが・・・。
ついに手元にやってきた箱から説明書だけを抜き取る。
製作者もあのアニメのロボットを意識してるのはわかるのだが、
やはりあのまま忠実に再現するのは無理だったようだ。
手は猫の手の形、説明書にはわかりやすく「3mm浮く事はありません」と書いてある。
音声は当時やっていたアニメの声を忠実に再現してるようだ。
組み立て方を調べていると尻尾をコンセントに繋ぎ充電する必要があるらしい。
昭雄は組み立てるべく、箱を慎重に開けた。
箱を開けると発泡スチロールに囲まれた部品が色々と入っている。
と言っても、部品は手、足、胴体、頭だけだ。
昭雄は箱にピッタリと収まっている部品を慎重に抜き取り並べた。
しばし見つめ、少しにやけた後昭雄は作業に取り掛かった。
それぞれの接続面から出ているコードを繋ぎはめ込んでいく。
組み立て終わると130cmほどのネコ型ロボットが完成した。
昭雄はすぐさま尻尾を伸ばし、コンセントに接続した。
するとあのアニメの声そのままの声が部屋に響いた。
「今回はネコ型ロボット、"Dora"をお買い上げいただき誠にありがとうございます。
 かならず使用前に説明書を読み、正しくお使いください。
 では、まず初めにお客様のデータを読み込みます。
 名前と生年月日を右手を掴みながらゆっくり言ってください。」
昭雄は興奮を抑えながら言われた通り名前と生年月日を入力した。
「では、次に昭雄さまの姿を入力いたします。
 "Dora"の前にお立ち『OK』と言ってくださいください。」
昭雄は言われた通り前に立ちOKと言った。
すると"Dora"が器用に昭雄の周囲を1週した。
そして同じように今度は逆周りをして元の位置へ納まった。
"どら"は続けて、
「昭雄さまの姿を登録いたしました。
 これでお客様のデータ入力が終わりました。
 次に、"Dora"の基本設定をいたします。
 "Dora"の基本モードをお選びください。」
昭雄はまた説明書を手に取りモードの確認をした。
フレンドモード、20世紀モード、執事モード、お手伝いモード。
昭雄はフレンドと20世紀の違いがわからなかった。
アニメでも主人公と友達なはずだからフレンドモードと違いないはずだ。
しかし、よく見ると下に小さく注意書きとして、
『*20世紀モードはあの懐かしのモードです。』
と、書いてあった。
昭雄は迷わず20世紀モードを選択した。
「20世紀モードに設定いたしました。
 では、これより充電モードに入ります。
 今後充電は"Dora"が自動的に行います。
 それでは、"Dora"との楽しい生活をお楽しみください。
 なお、充電時間は約3時間で終了いたします。」

昭雄は充電を開始してから箱を片付けドキドキしながら待った。
やがて3時間が経過し、また声が部屋に響く。
「充電が完了いたしました、起動させる場合は頭を軽く叩いてください。」
そう言うとDoraは尻尾を器用にしまった。
昭雄は興奮を抑えつつ前に座り、ゆっくりと頭を叩いた。
「おはよう、昭雄さん」
Doraはそう言うと眠そうに目をこすり、欠伸をしながら背伸びをした。
昭雄は感動し、心にじーんとするものを感じた。
「よろしくな、Dora」
「うん」
昭雄の頭の中はDoraとの楽しい生活の事でいっぱいだった。

それから3日後の事だった。
「昭雄さん? 昭雄さんってば!!」
Doraの声で昭雄は起こされた。
「なんなんだよ、俺は昨日寝てないんだぞ?」
Doraはそんな昭雄の事には構わず
「もぉ、日曜だからってこんな昼間から寝てちゃダメだよ。
 昨日持って帰ってきた書類もまだ見てないでしょ!!」
昭雄はゆっくりと起き上がり、
「あぁ、わかったよ・・・」
と、言うと玄関へ行き、Doraを呼んだ。
「なぁ、Dora?
 ようやくわかったよ、やっぱり夢は夢のままの方がいいって事を・・・。」
そう言うと昭雄は玄関に置いてあった金属バットを振り下ろした。
ただの鉄くずになったDoraの横に昭雄は座りタバコを吸った。
そしてゆっくりと煙を吐き出しながら言った。
「Dora、お前は本当によくできてるよ。
 あのアニメそのままだった・・・製作者はさぞかし満足してるだろう。
 だけどな・・・あのアニメと違う所があるんだ。
 俺は小学生じゃない、それは最初からわかってる事なんだがな。
 そうじゃなくて、決定的に違うのは、お前にはポケットが無いんだ。
 よくわかったよ、アニメじゃそのポケットの道具で主人公を助けてたもんな。
 でも、お前は俺を助けてはくれなかった。
 掃除してくれたりするのは感謝する。
 だけどな、お前はそれ以上にうるさいんだ。」



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