対談企画 ・ まにららのハズレ陰陽道


「三匹の式神がゆく!80年代恐怖魔界大冒険、の巻」

今回もやってこなくてもいいのにやってきてしまったこの企画。せっかく良い具合に忘れていたというのに。

さて、今回のハズレ企画は今までの「まにらら氏がおのれの欲望のおもむくままに購入してしまったハズレの墓場たち」という趣旨を少しはずれまして、偉大なるハズレの王国、80年代の音源をとにかく聞いてみようじゃないか、という企画でございます。 ゲストにたまたま僕の家でまにらら氏と鉢合わせしてしまった80年代フリークY子さんをお迎えして、今回は三者鼎談でお送りします。




M「いきなりやけど、おまえらはいくつや」
Y「22ですね。生まれが79年だから80年代には、一応ですけど物心はついてました」
J「18やな。つまり一番まにららがジジイなんだよ」
M「うるさい、この若年寄め。まぁええわい・・・・・・とにかく80年代ならわしになんでも聞けってことやな」
J「(無視)。えーっと、今回、Yさんがつくってきてくれた80年代MDにそって、とりあず話を進めていきましょうか。まずこのMDはいったいどういう目論見で」
Y「目論見としてはまずJ君の洗脳(笑)。80年代のクラブイベントに行ったんですよ。そしたらばそこはめくるめく世界やったということですね」
M「ほう。しかしまぁ、なぜに今80年代かっちゅーのはあるわな」
Y「そうですね〜、今ファッションとかもすごい流行ってるじゃないですか、80年代が。女の子たちもみんな肩出しで、髪型なんかでもそうでしょ。それはまぁ流行だとしてもですね、例えばJ君も買われたというダフトパンクとか・・・これも流行りなんだけど、一連のヌーヴェルフレンチポップっちゅーんですか?ああいう新手の音楽っていうのは、影響を受けてきたミュージシャンが80年代のニューウェイブだとかディスコミュージックだとかって人が多くなったわけよ」
M「せやせや。リアルタイムで80年代を聞いてた人が、今の音楽を引っ張ってんだな」
J「そうなのかぁ?(笑)」
M「ばかいえ。当時流行っていたニューオーダーとかクラフトワークなんてのは、今のエレッポプと近いじゃないか。なぜおまえ最近になってYMOのリミックスが発売されんだよ。見よ、このカヴァー全盛期なこの世の中を」
J「それはまた別の話やけども。まぁ、今回僕はみなさまのご高説を聞くに徹しようじゃないか。ほんで、80年代っていうとさ、イメージとしてはCMソング的なさ、覚えやすさみたいなのがあるやん。オグニクリニック〜♪とか、カワサキックリニック♪みたいなさ(笑)」
M「クリニックばっかりか、おまえは」
Y「子供が歌ってんだよね、カワサキクリニックの歌を(笑)。でも、今はお昼の連ドラの主題歌だって『君の瞳に恋してる』なんですよ〜」
M「ほう。『Can't take my eyes off you』やな。あれは名曲やぞ〜」
Y「MDに入ってるので聞いてみましょう」
J「(聞いてる)・・・・・・あっ、この曲知ってる(笑)」
M「やろ。おまえは元曲なんかきっと知らないんだろうが、それでも聴いてみたらあー聴いたことあるってのがあるやろう。それが80年代なんだよ、わはははは」
J「うーん。むしろキダタロー系か?(笑)。カニ料理〜って感じやん。耳にこびりついて離れないという、粘着質なキャッチーさやな、これ(笑)」
Y「そうそう。聴いたことあるけどわかんないっていうのは、まず80年代だよ(笑)。大量生産の時代だったもんね。だから名前も曲名も知らないってのがあるし」
M「しかし、Yさんよ、このMDに入ってるのはしかもカヴァーの方やね。でもカヴァーの方が有名になってしまった典型的な曲だが。有名な売れたソウルシンガーもカバーしてたなぁ。80年代を代表する曲やね」
Y「単にタイトルきいてもどの曲かわかんないもんね。曲を聞いてもタイトルはわかんないし(笑)さっきの『君の瞳に恋してる』なんてのも、邦題がつけられはじめたのってこの頃からじゃないかなぁ」
J「ふーん、じゃあ、次。・・・・・・あっ、この曲知ってる!でもやっぱり題名は知らない(笑)。なんか、イントロクイズみたいだぞ」
M「言ってるだろ、だから80年代なんだよ(笑)。おまえ、例えばチャックベリーの曲なんて世代が違うとわかんねーだろ。でも80年代だとこれができる。しかし、タイトルが浮ばない。だからクイズにしやすいんだよ」
J「クイズのなりやすさはこの際どうでもええやろ(笑)。で、いったいこの曲はなにさ。気になるし(笑)」
Y「バナナラマ『ヴィーナス』ですね。この人らって3人・・・4人か」
M「構成人数すらわからない。これが80年代や(笑)」
J「うーん・・・この人らはハモリができないんだな(笑)。それでも強引に歌いつづけるところが、すさまじいなぁ」
Y「でもキャッチーでしょ。嫌でも耳に残って困るでしょ(笑)」
J「嫌でもね」
M「カート・コバーンも言うてたやろ。この世の中には嫌でしょうがないのに、耳にこびりついてはなれない曲がある。俺が作る曲の中にもそういうのがインスパイアされてるのかもしれないなっていう話。でも、カートとヴィーナスは関係ねーな(笑)」
Y「関係ないやろうね・・・(笑)。で、次はこれ。ちょっとキツイよ(笑)。ベリンダ・カーライルの『ヘブン・オン・ジ・アース』
J「(聴いてる)うわ!タイタニック!!(笑)」
Y「みたいやろ。要はアメリカの音楽もたいして変わってないねぇって話(笑)」
M「心が沸き立つね。く〜なつかし〜ってやつだよ。(まに氏、MDと一緒に歌い出す)」
J「わかんねー。むしろ、あんたがわかんない(笑)。しかし悪夢のごとくベタな曲やね」
M「このベタさがたまらんねや」
J「そうか〜?これやったら、僕ならまだトレトレピチピチカニ料理〜♪の方聴くぞ(笑)。だって、キダタローは笑えるし、ズラだけど、この曲は笑えないもん」
M「ズラはどうでもええやろ。おまえなぁ、そんなことばっかり言うてるけど、今になっても聴ける曲はあるねんぞ。Yさん、これは聴けるっていう曲をひとつたのんます」
Y「はぁ・・・えー、じゃあこれなんかどうでしょう。バグルスの『ラジオスターの悲劇』
J「おお!歌ってる人知らなかったけど、確かに曲は知ってる!!これが80年代ってこと?(笑)」
M「そうや。わかってきたがな」
Y「これはですね、すごく80年代っぽいんだけども、かつ80年代にしては思想を持った曲ですね。テレビでMTVも始まったし、今まで情報源だったラジオのディスクジョッキーとか、そんな人達が必要とされなくなってしまった。あくまでも音主体だったものが、ヴィジュアルに取って代わってしまったわけやね。これもすごく80年代っぽい」
J「これのビデオ知ってるよ。確かMTVのオープニングに使われたって、いかにも象徴的な話があるんだよね」
M「お、がんばってるね、若造」
J「うるさい、ジジイ」
Y「これって、某アメリカ大統領なんてバンドもカヴァーしてるんよね。これは今でも聴けるでしょ。残念ながら一発屋だけど(笑)」
M「わしはこいつらのアルバム持ってるけど、聴ける曲がこの一曲しかないっていうのもすごい。80年代は大いなる一発屋の時代でもあるからな。おまえ、ナックとか知ってるか〜」
J「ナック(笑)。知ってるよ。『マイシャローナ』の人らやろ。ウィノナ・ライダーの映画で使われてて、だいぶ前に話題になっとったやん。あの曲は有名やん。一発屋といえばナックみたいな、代名詞になってんちゃう?(笑)」
Y「80年代のビートルズとか言われてたんだよね、やつらは」
M「なんぼなんでもそれは言いすぎやな(笑)。そんなええもんちゃうぞ」
J「曲そのものはいいんだけどね。次は・・・(MD聴いてる)・・・おお、ニューオーダー。『ブルーマンデー』ですね。これはけっこう好きやで。この前の80年代クラブでもかかってたけどさ、フロアでかかるとやっぱり楽しい」
Y「イアン・カーティスが死んだの知らされたのが、月曜日だったからブルーマンデーなんでしょ?」
J「そうそう。でもサウンドはピコピコなんだよな。どういうこと?っていう(笑)。まぁこの軽さがいいといえばいい。軽さっていうか、やけっぱちっていうか(笑)。踊りとばせみたいなさ」
M「けっ、さっきまで80年代はダメだみたいなこと言うてたくせによ。この曲なんか特に、最近のエレポップに通じるもんがあるやろ」
Y「うんうん、モロやんね。最近のはやりつながりで言えば、ほら最近はフリーソウルなんてもてはやされてるでしょ。そこからいくと、こんなんなんて・・・(MDかける)」
J「これは・・・スタカン?」
Y「惜しい!ジャムやね(笑)」
J「えーっ、ジャム!!ジャムはこんな生ぬるいことをやってたのか(笑)。音的にはスタカンはいってるんだけどなぁ」
Y「そろそろスタカンに移るかなって頃のだしね。『悪意という名の街』
M「淳、おまえはジャムといえば『インザシティー』のイメージしかないんだろ」
J「うん、まぁそうやね(笑)」
M「こんなこともやってたんだよ、ジャムは。これが一皮向けば、いわゆる“おしゃれ評議会”になるわけだ」
J「バンド名からしてすごいもんな。スタイルカウンシルはどうなの?これもモロ80年代なバンドだけど」
M「わしは好きよ。さっきもワイコが言うてたけど、フリーソウルがもてはやされてるでしょ。そしたらクラブなんかでも、スタカンがかかるじゃないですか。スタカンみたいなバンドはソウルから影響受けてるバンドが多くてね」
Y「軽めのソウルね。ソウルっていうより、ソウルテイストみたいな」
J「ふーん。このジャムの曲なんて、出だしシュープリームスと一緒やもんな(笑)。ベースラインがあられもなく同じという(笑)」
M「それは言うたんなや・・・(笑)」
Y「次の曲はちょっとすごいよ。たぶん、誰も知らないかもしんないけど(笑)。ディーゼルの『ゴーインバックトゥチャイナ』
(聴いてる)
J「・・・・・・なにこれ?(笑)」
M「ひでーな。中国へ帰れだぜ(笑)。まさに冷戦時代の歌か。踊り出したくなる曲やな。タナソウみたいに、こう指を突き出してやな・・・♪ゴ〜インバックトゥ〜チャイナァ〜♪(と、僕を突き刺してくる)」
J「やめいっちゅーねん。むしろ、あんたが帰れって感じだよ。・・・・・・で、ディーゼルって誰よ(笑)」
Y「よく知らないんだけど(笑)。オランダ人らしいよ。80年代の一時期、ダッチサウンドってのが流行った時があったらしい」
M「ほんまかよ〜、おい。あれか、ちょっと前に流行ったスウェーデンポップみたいなもんか。カーディガンズどこ行ったんだよ。アトミックスイングは。お?」
J「知らないけどさ。あとさ・・・80年代といえば、ファッションでしょ。見た目で勝負みたいなさ」
M「ほほう。どうりで今日のおまえが、場末のおかまみたいに見えると思ったよ。意識してんの?80年代」
J「(きっぱりと無視)。で(笑)。やっぱその方面で思いつくのは、ボーイ・ジョージなんだけど」
Y「ちゃんとMD入ってますよ『カーマは気まぐれ』やね」
M「おっ、これは大名曲やね。たまんねーな。歌詞が特にいい。カ〜マカマカマカマカマカメーレーオーンやぞ。どうや、おまえ」
J「どうって言われても(笑)。っていうか、歌詞がいいのか?」
M「ばか。よく聞け。おまえ、毎日がサバイバルだぜ。(歌い出す)」
J「まぁ、このボーイ・ジョージはもとより、クラウス・ノミとかさ、あとアニー・レノックスとか、もう見た目からすごいやん(笑)。みなさん、服装に気を使ってらっしゃる」
M「そらそうや。この時代、ポストニューウェーブの人間にとっては、目新しさというのがゴールだったわけだ。つまり見た目だ。音楽イコール最先端なファッションリーダーみたいな存在だったわけだ。音楽はいろんなのがあったけど、スタカンはレトロなモッズ風な格好してるし、ボーイジョージなんかもいるし、ストレイキャッツなんてもろロカビリーだし、おまえ、ZZトップなんてのもおんねんぞ(笑)。あいつらはどこに位置づけたらええねん(笑)。まぁ・・・てんでバラバラなんだよ、みんな。ファッションとか音楽のカオスさが80年代だ。服装同様様々なわけだ。ニューウェーブ、ディスコ、ファンクなんでもありだな。そこでわしは思ったわけだ。ダフトパンクはそもそもあれは・・・わしはしゃべり疲れた。淳君説明したまえ。あいつらはそもそも人間なのかね」
J「なんだ、えらそうだな(笑)。あの人らは・・・アンドロイド」
M「そうそう。せやから、そういうふうにあの人らはしてるわけでしょ。ヴォコーダーをつかってですね、あたかもこの世の人ではないようにふるまうわけだ。しかし考えてみたまえ。80年代を席捲していたのは、そういうものではないか。映画にせよ、音楽にせよだ。ETだとかスターウォーズにしてもだ、この世のものでないものみたいな、そんなのを求める方向があったわけだ、と。世間におけるものめずらしいものに対する憧れがあったわけだ」
J「ボーイジョージは確かにもの珍しい生き物って感じやけど(笑)」
M「うるさい。冒涜すんな(笑)。まぁ、ビジュアル面がでてくるわけだ。音楽はもちろんのこと、ビジュアル面でも如何に他人と秀でるかってことが80年代なんだ。キッスしかり、クィーンしかり。強烈やろ」
J「内に向かうっていうより、外に発散するんだな。表面をサラッと撫でていくわけだ。まぁ内容がないといえばないんだな」
M「そうともいう。しかし・・・・・・こんなことを話していては、これではいつものハズレじゃないじゃないか。ただの音楽談義やぞ」
J「それでは不満か(笑)。じゃあ、そろそろまにらら先生のハズレお蔵出しをしてもらいましょうか。どうぞどうぞ(笑)」
M「これはすごいぞ。『MR.ロボット』や」
J「(聴いてる)・・・・・・・・に、日本語!?歌ってるのガイジンやろ?」
M「これはなぁ、まず曲のいわれがすごい。来日したときに、たまたまこいつらはテレビで『人造人間キャシャーン』を見たわけだ。そして、この歌を思いついたらしい」
J「思いつきなんや(笑)」
M「そんなもんやろ。っていうか、歌詞がすごかろう」
J「すごいよ。ドモ・アリガット・ミスター・ロボット・ドモ・ドモ!!・・・だって。アハハハハ。やばいやばい(笑)」
M「ドモ・ドモで繰り返すのは、アニメ界の王者山本正之ぐらいちゃうか。こんなハズレというハズレにはめったにお目にかかれないぞ。ガイジンが日本語を歌ってはずす典型的なもんだな。スナッフにはできない芸当だ」
J「うーん、80年代計り知れず(笑)。Yさんのお蔵出しは?」
Y「お蔵出しっていうか・・・これ歌ってる歌手知ってたら100円あげるよ(笑)」
J「なんだ?やってやろうじゃないか(笑)」
(聴いてる)
M「・・・・・・って、ネヴァーエンディングストーリーやないか!(笑)ファルコンか。ファルコンが降りてくるのかっ」
J「曲は知ってるけど、歌手は知らん(笑)。誰なん、このハズカシイ歌を歌ってるのは」
Y「リマールっていう人」
M「言われてもわからんところがすごいな(笑)」
Y「これって、誰が歌ってるのかわかんない曲の代表なんじゃない?トップガンのテーマソングとかゴーストバスターズとか誰が歌ってるかわからないように(笑)」
M「おお、ファルコンが飛んできそうやな。俺には見えるぞ、すべてが透き通って見えるぞ(笑)。おい、淳、知ってるか、ファルコンはなぁ、目つむるねんぞ」
J「知らないよ(笑)」
M「あほー、おまえ、当時としてはすごい技術やってんぞ。ちなみに俺はメイキングビデオまで見て、しかもベータでもっていたぞ。ベータなんて今の若いもんは知らんだろう。淳、『ネヴァーエンディングストーリー』は見たか」
J「見てないよ」
M「宿題や、見とけ」
J「嫌だよ(笑)」
M「『ネヴァーエンディングストーリー』はな、なんと2もあるねんぞ」
J「まに氏は見たのかよ」
M「ん?見てないね」



背中のSONICYOUTHの文字も寂しいまにらら先生

(底無し沼、第8回)

振返ると生霊



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