パリ放浪記1
目次
今回は一緒に行く友人の都合で成田出発のため、早朝5時半、伊丹へ向けて出発。伊丹空港は初めて行くのだが、タクシーで高速を走ってると街中にいきなり飛行機の尾っぽが見える。成田に着くと、コンピューターの故障とかで、ロビーがごったがえして進むに進めないような状況で一瞬途方に暮れるが、いったん空港を出て、別の入り口から入ってみると無事に友人とも合流でき、どうやらコンピューターの故障も僕らの飛行機には差し支えなさそうな模様。幸先がいいのやら悪いのやら。
成田からパリのシャルル・ド・ゴールまでは約11時間。日本とフランスの時差は約7時間。旅の道連れユキオさんはさっそく現地時間に時計を合わせているが、僕はさっそく腕時計を忘れていることに気づく(笑)。普段から時計なんて持ち歩かないし、時差も万年不眠症の僕には関係ないから別に良いのです。
機内では窓にべったり張りついて、外の景色を堪能する。
日本から大陸に移っていくと風景が一変しておもしろかった。シベリア上空を飛んでいると、裂け目のような川の周りに水溜まりのような湖が点在していて美しい。
後はガイドブックを読んだり(僕が持っていったのは『街物語パリ』という本で、情報満載という感じではありませんが、綺麗な写真がたくさん載っているのでなぐさみになります)、1枚もののパリの地図を眺めてメトロの路線図を頭に入れたりしていました。ユキオさんのガイドブックも見せてもらうと、行きたいお店のマークがおびただしく地図にマークしてある。こんなに行けるの?と聞くと、「行ける」と断言する。まぁ、旅なんだからそんながんばらず適当に、適当に・・・・・・と飛行機の中では流していたが、実際にはほとんど行けてしまったんだからすごい。
とはいっても、そんなプランをびっしり詰めた旅ではなくて、実にのんびりした滞在でしたが、予定していたところをほぼまわることができたのは、パリがそんなに広い街じゃないということもあるでしょうね。ちょっとした移動なら、ほぼ歩いていけるのです。
てなことで、寝ろと言われたのに、結局11時間僕は眠らずにシャルル・ド・ゴール空港に到着(呆れられましたが)。
パリでは夕方5時頃、日本ではちょうど深夜ぐらいで、これからが僕の時間というところでしょうか。
空港の搭乗口からロビーまでは、松本零士の世界みたいな近未来なチューブが人間を運搬していくのだが、日本のような完全に機械化された雰囲気ではなくて、どこか疲れきった、惰性で動いている機械という、妙に人間くさい感じがする。
思うにこの感覚が、僕がパリ滞在中、ずっとこの都会に対して感じていたものじゃないだろうか。
本当は死にかかっている、もしくは死んでしまっているのに、なにか不思議な外部の力によって生かされている都市。瀕死の文明、疲れきった娼婦。例えばそれは、グラックのような破滅の美学が生まれてくるのも、非常に実感としてわかる気がする。それに完璧なんてもう得られないのだから、嘔吐するしかないような、そういうだらだらとした生。それが街としての姿を現しているのは、日本人の僕としては本当に驚くようなことであって、こんな経験ができるのはなんて素晴らしいんだろう、としみじみと感じたのでした。
さて、6時半ごろにはタクシーでホテルに到着。チェックインをすませると、とりあえず無目的にパリの街を散策する。
まず感じたことは、パリは臭い!!!!!
あれはなんというのでしょう、体臭と香水と下水と動物と汚物の匂いが微妙にブレンドされた、えもいわれぬ香り(笑)。
まず誰か人とすれ違うたんびに、むわんと不思議な臭いがする。外国人の体臭がすごいのはわかっているのですが、パリは街全体が変な臭いで満ちているので、街の臭さ+体臭という相乗効果(?)ですさまじいことになっています。まぁ、無臭すぎるのも気持ちが悪いし、日本人の変な清潔趣味もいただけませんが、僕自身もかなり匂いには神経質な方なので、やっぱり……慣れないと相当辛いものがありました。特に地下鉄などは空気が澱むせいもあってか、すごすぎて階段を降りる足が止まりそうになります。
夏のパリは夜の9時をすぎても、まるで真昼のような明るさでちょっとがっかりします。10時半頃を過ぎて、ようやく暗くなりはじめるといった感じでしょうか。
僕たちの滞在するホテルは東駅の近くで、相当下町の雰囲気。そこからかなりの距離はあるのだが、ルーブル美術館まで歩いて行ってみようということに。周りの景色を見ながら、そぞろ歩き。到着する頃にはちょうど暗くなってきて、ルーブル宮の正面ピラミッドのオブジェも綺麗にライトアップされて、テュイルリー公園にある観覧車もキラキラと回っている。
通用門(?)の下には、少し窪んだ隙間があって、そこには浮浪者が生活しているような残骸が残っている。連れのユキオさんが夜のルーブルの写真を撮っている間、僕はそこの住人がいらっしゃらないのをよいことに、例の石の隙間に寝そべってみる。ひんやりとした石の感触と、見上げると天井は遥か遥か高く、建造物のあまりの大きさに圧倒されつつも、居心地の良さにいつまでもいたくなってしまう。
夜のルーブル前広場で、しばらくぼんやりしてから、メトロの駅PALAIS ROYAL-MUSEE DU LOVREから地下鉄に乗る。が、このメトロの駅って、この前東京の方に来てたアールヌーボー展にも出品されてた、エクトル・ギマールのメトロの入り口である。この入り口にはちゃんと鋳型があって、大量生産ができるようになっているそうだが、そういった工業化というのがアールヌーボーの特徴でもあり、またその流行が非常に短くならざるを得なかった原因でもあるのでしょう。
パリに来たんだなぁというちょっとした感慨のもと、本日はホテルに帰っておとなしく就寝。
次へ