小話−席なし切符(中華人民共和国)

大連から出れるのでホッとしていた。寝台じゃなく夜行でも、とりあえずこの町を出れる。
とはいえ席番号のないチケットが何を意味してるか悩んでいた。
隣りに並んでるおばさんにこの切符で乗れるかどうか聞くと、大丈夫という。
ちなみにおばさんのを見せてもらうと席番号がある。
「走ってとりあえず空いてる席に座るんだよ!」と助言してくれた。やっぱり謎。

さてゲートが開く。まさにダービーそのもの。みんな荷物を持って全速力で走る。
私もそのおばさん達のナビで走ったが途中見失う。とりあえず乗り込め!
人は後から後からやってくる。荷物を置く場所は確保したが座れない。。。負けた。

そう、席なしチケットだったのだ。要するに立見?ちょっと違うか。
こうなると通路に如何に自分の場所を確保するかが問題になってくる。
初めは座れるスペースを確保していた。新聞紙は必須だなぁ。
だが人が通るので一度立った隙にその場所をとられた! 悔しい〜!!!

そっからがホントの地獄。暑い。何て暑いんだこの車両は。蒸し風呂じゃないか。
しかも夜、眠い、疲れてる、暑い、意識が朦朧としてくる。
立ちながら「次の駅で降りられるよ!良かったね」という夢を何度見たことか。
目覚めればサウナの中人混みに押され、目的地までまだまだあるのだ。
この列車に8時間くらい揺られたろうか・・・

これだけ暑く、あれだけ人がいるといろんな人がいる。
あの状況でこれはラッキーかもと思ったのは、つのだじろうのような頭の男が、
赤い海パンひとつで向こうの車両からやってきたときだった。
我が目を疑った。夢か? いくら中国でも列車に海パンでいるか???
この話をしてもみんな信じないのだが、本当だ。ある意味水着で乗るのはいい考えだ。

沈陽の早朝、ホテルを目指す。ふらふらで。まだ扉は閉まってた。
でもがんがん叩き続けると、お兄さんが出てきた。ロビーの掃除をしてたところだった。
しかし私達にあまりの疲弊ぶりに同情したのか、中に入れてくれた。
「受付はまだまだだけどそこで休んでるといいよ。どこから来たの?」
「大連。。。しかも席なし」
「それは大変だったね。なんでまた席なしで」
「それ以外方法がなかったし、知らなかったんだよ・・・」
彼は掃除しながら私達とそんな会話をした。東北訛が心地いい(なんかやさしいの)。
そしてそこのソファで私達は束の間の睡眠に落ちたのでした。
99年08月17日
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