咲作:こなつ                       

第2話-その2    

「え〜山本さん、富山高校出身なら木村由美って知らない?」
「知ってる知ってる、俺の友達が付合ってたよ。けっこうかわいい子じゃない?」
「友達?じゃ、小田和也ってわかる?木村由美と付合ってた俺の友達なんだけど・・」
「小田和也〜!わかる〜!」
「いや〜、富山はさすがに狭いなー」
「ちょっと話せば知り合いにあたっちゃうー」
所詮、合コンなんてこんなものだ。知り合いの名前を次々出しながら、話題を提供しあい相手
がどの程度の人達なのか探りを入れる。大袈裟に盛り上がってテンションが高ければその分
相手にアピールできると思っている。一晩限りのバカ騒ぎと思えば、
そこそこ楽しめるだろう。
私も半分盛り上りに参加しながら、あとの半分はこの店のおすすめメニーを、
黒板に書いてある 順にたいらげていた。

「気持ちいいくらいの食べっぷりだなー、いいなーすごくおいしそう。一口ちょうだい」
 それまで里佳と楽しそうに話していた男が、そう言いながら、私の皿にはしをのばし食べか
けだったオムレツをばくばくと全部食べてしまった。
あまりのすばやさにあっけにとられ、言葉も出せずにいたが、
「あ〜うまかった。ねえ、そっちの皿のは何?それもちょうだいよ。」
そう言われて、思わず「ずうずうしい・・・」と、言ってしまった。
「えっ、ずうずうしかった?ごめんごめん、だっておいしそうに食べてるんだもん。
俺も食べた〜い!ねえお願い、ちょうだい!」
大きな目が私の顔を覗き込み、必死の形相で頼む姿がおかしくて、思わず、あははと
笑ってしまう。「いいよ、ずうずうしいけど許す。これはサーモンのマリネ。」
そう言うと、にっこり笑って「ありがとう。」の言葉と同時に、
皿ごと持っていってしまった。
サーモンを二切れ程つまみ、口にいれた後、コップに半分ほど残っていたビールを一気に飲み干す。