1月の花:さくら草
「あなたの力強さを秘めた情熱は、私の命」
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月曜日/Pm.7:00屋内テニスコート
8人ほどの男女が乱打をしている。
コーチ「はい、休憩ー、10分!」
汗を拭きながらそこここに座り込むメンバー。
女「はい!スペシャルドリンク。」
男「おー、さんきゅ、マネージャー。」
女「いえいえ、我がチームのエース様のためなら。」
男「………な、ちょっと頼みがあるんだけど。」
女「ん?何?」
男「△×★◇」
女、男の背中を突き飛ばす。
女「!!ばかっ!何言ってんだか、もー。」
男「うひゃひゃひゃ、お前からかうと面白すぎる〜」
女「もう、知らない!」
女、真っ赤になって立ち去る。
男、女の後ろ姿を笑いながら見送る。
金曜日/Pm.8:00屋内テニスコート
10人ほどの男女がペアに分かれて試合をしている。
コーチ「はい、ここで休憩5分!」
2組目の勝敗が決まったところでコーチが声をかける。
女「はい、スペシャルドリンク。」
男「お、さんきゅ。」
女「いいえ、どういたしまして」
男「………な、ちょっとここに座って。頼みがあるんだけど。」
女「え?あたしまだ他の人にもスペシャルドリン………」
男「と、とりあえず、座って!!」
女「何よぉ、できることとできないことがあるからね!」
男「うん、えーと、来週の水曜さ、オレ有休なんだけど、」
女「へえぇ、それで?」
男「お前もつきあえ」
女「は?」
男「いや、その、テニス、テニスの練習、1人じゃつらいだろ?」
女「はぁ、わかるけど、なんで有休とってまでテニスの練習なのよ。」
男「いいからとにかく、秘密トレーニングだっ!」
水曜日/Pm.1:00河原のテニスコート
女「わ、きわどーい、よっと!」
大きく外れた黄色いボールを追いかける男。
男「やべっ!」
女「きゃあ!」
男、派手にコケる。
女「ちょーっと!大丈夫?ケガは?」
駆け寄る女。
男「んー、ヒジすりむいただけ、だと思う。大丈夫。」
女「もーう、ムリするんだから」
男「お前が無茶苦茶な球打つから………」
女「ごめん……ちょっと待って!」
女、コートの側に咲いていたさくら草の花を摘んでくる。
男「何、それ?さっそくお見舞い?」
女「ばか。これをね、傷に当てておくと、すーぐ治るんだって。」
男「………さっすがマネージャー。ヘンなことまで知ってる。」
女「ふふん、」
男「………なぁ、頼みがあんだけど。」
女「今度は何よ、もう」
男「オレの専属のマネージャーにならないか?」
女「えっ、そ、それって………。」
女、頭の地肌まで真っ赤に染める。
男「あー、いや、オレ、来シーズンはフリーになって、海外まわろうかと。」
女「え、あ、なんだ、それで、………あ、そう。」
男「あ、そうはないだろ?!」
女「だって、………ね、アンタはいつもそうよ。勝手なのよ、そんな大事なこと!」
男「だから、お前に一番先に話してんだろ?」
女「え?」
男「オレ、本気だから。ちゃんとプロとしてやって行きたいから。」
女「ん」
男「お前に、ずっと側で見ててほしいんだ」
女「わかった。ごめん、ちょっとびっくりしちゃって。ありがと、そんなふうに考えてくれて。」
男「おう。」
同日Pm.4:00帰りの車中
女「はぁ、ね、なんかさっきのって、プロポーズみたい………だったね。」
男「………そのつもりだったんだけど。」
女「えーーーーーーーーーーっ!!!」
男「お前わかってなかった……のか?」
女「う……ん」
男「おい、それはマズいだろ?オレの一世一代の、プロポーズを……」
女「いや、あの、ね、その」
男「で?どういうつもりなんだよ」
女「な、何が」
男「だから、プロポーズの………答えはっ!」
女「そ、そんな急に。だ、だって、ねぇ、アンタはいつもそうよ、勝手なのよ、いきなり」
男「なんかそのセリフ前にも聞いたような気がするな。」
女「だって。だいたいそんなこといつから考えてたのよ」
男「うーん、いつだったっけ?お前がスペシャルドリンクの中身を教えてくれたことあったろ?」
女「あ、アレ?」
男「お前が部員ひとりひとりに合わせて中身を変えてるって知って、グっときたの!それから。」
女「ほお。」
男「わるいかよ」
女「ううん、なんか、うれしい、よ。」
男「お前、オレのこと、嫌いか?」
女「アンタっていっつもふざけてて、あたしの事からかって喜んで……ガキみたいで。」
男「わるかったな。」
女「でも、あたしはアンタにとって、ちょっとトクベツな存在かなーって気はしてた。」
男「………。」
女「それって、ちょっと嬉しかった。あたし、好き、だよ。かなり、好き……かな。」
男「やっべー。」
女「え?」
男「………なぁ、頼みがあんだけど。」
女「今度は何よ。」
男「オレ今すっごくキスしたい。」
女「へっ?」
男「いいか?」
女「いや、あの、ダメダメダメーーーー!車、停めて!事故る!」
ポケットに急停車する車。
女「大事な身体なんだからっ。」
男「さんきゅ。マネージャー、これからもよろしく。」
女「あ………」