8月の花:ゆり
すばらしく、美しいあなたにささげます




ぼくは、「こい」してる。
あいてはとなりのうちのかのじょ。
でも、いまのところかたおもいだ。

かのじょをはじめてみたのは、えーと、
そう、あれはあらしのばんのことだっけ。
かみなりがこわくてふるえてたぼくは、
ままにだっこされてまどからそとをみてたんだ。

そのときだ。

となりのにかいのまどにしろいものがうごいた。
「!」
ぼくはこわいのもわすれて、ままのうでからみをのりだした。
いつもうつくしいはながたえないおとなりのにかいのまどには
そのとき、まっしろなゆりがいけられてた。
だからぼくはさいしょ、ゆりのはながうごいたのかとおもったのさ。
でも、ゆりじゃなかった。
「しろいもの」はでまどからたいくつそうに、そとをみていた。
その「しろいもの」がかのじょだった。
かのじょはちらりとぼくのほうをみて、
「ふふん」
とわらった(ようにみえた)。
ぼくはきゅうに、ままにだっこされてるのがはずかしくなって、
すとんとゆかにおりた。
もうかのじょからはみえなくなったのに、しばらくどきどきして
そのばでぐるぐるまわってしまった。

それから、なんだかとなりがきになってしょうがない。
いつでもきれいにみなりをととのえておかなきゃ、きがすまない。
だって、まんがいち、かのじょがぼくのほうをみたらこまるじゃないか。
いままでままにだっこされるのがだいすきだったけど、がまん。
だって、かのじょにみられたら「あまえんぼう」っておもわれてしまう。

なのに、ぼくがこんなにおもってるのに、かのじょはそっけないんだ。
たまにめとめがあっても、ぷいとよそをむいてしまうし、
となりのままがよぶとすぐにとんでってしまう。
みこみないのかな。
だれかすきなやついるのかな。
ぼくのこと、きらいなのかな。

そんなひびが、はんとしくらいつづいた。
ちいさくて、かれんだったかのじょは、さいきんすごくせいちょうした。
むねからこしにかけてのらいんがなやましい。
そして、きのうのばん、ぼくはきいちゃったのだ。
そう、かのじょのうちのまえで、らいばるたちがうたってるのを。

ぼくはけっしんした。
きょうこそ、うちをとびだしてかのじょに「こくはく」しにいくのだ!
「なあ゛〜お〜ん」
あいするゆりのはなのきみ、きみにこのうた、ささげるからね






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