サクラ作戦
サクラの薦め、というかなんというか・・
祭りでの節約(?)の仕方のお話。
サクラの意味を履き違えてる気もしますが、気にしない。
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子供の頃、祭りと聞けば行っていた。
誰も同じだろうと思う。
ただ、普通と違う点といえば
家の事情で、小さな頃から親と一緒に行く事がなかった。
ということくらいである。
んが、これが結構でかい問題だ。
貰った少ない小遣いを いかに効率よく、そして有意義に使うかだ。
目に止まったものを ばんばん買っていてはすぐに金が尽きる。
金がなくなってもねだる事はできないし、ねだる相手もいない。
すべては自分で決めなければならないのだ。
と言いつつ・・
いつも金がなくなり、こっそり家に帰っては兄貴の貯金箱や親の財布から失敬していた。
そして後に見つかり、こっぴどく叱られ、殴られて投げられ、星となる結果となる。
まぁ、この話は今回はいいとして・・
従兄弟同士でよく祭りに行った。
大体、3人でよく遊んでいた。
いつものように露店を物色する。
○○焼きというお好み焼きの小さいバージョンの食べ物がある。
お腹がすいたので、これを食べようと言う話になった。
そのとき、一人が「お金がない」と言い出した。
子供は素直で残酷だ。
「ほいじゃ、わしらだけ食うわ」
お金貸そうか?とか 買ってやるよ。とかいう言葉は出ない。
人の心配より自分の財布のほうが心配だ。
すぐ隣でじっと物欲しそうに見つめる従姉妹。
さすがに可哀想に思えてきた。
何を思ったのか、なぜそうしたのか、今となっては判らない。
いきなり食べてる2人が大声で話し始めた。
「この○○焼き、うまいのー」
「ほんまじゃー、ぶちうまいのぉ」
あからさまに怪しい子供だ。
"うまい"しか言わないあたり、子供である。
そんな怪しい子供にもつられる大人はいた。
通りかかる人が段々と寄ってくる様になっていた。
忙しそうにしている夜店のおっちゃんが言ってきた。
「ありがとのう。これやるけぇ、持って帰れや」
○○焼きが3つ入っていた。
ありがとうと礼を言い、分けて食べた。
おそらく、これが初サクラだった。
食べ物のサクラはすぐ飽きた。
最初に買わなければいけないし、なによりも
食い物関係のテキヤ親父はすぐ怒る。
店終い直前になると ほいほい売れ残りをくれるくせに、
営業途中はよっぽど暇で無い限り、邪魔者扱いして怒りまくる。
まぁ・・実際、邪魔者以外の何者でもないんですがね・・
それに、ばくばく食べてばかりもいられない。
酒でも飲むならいざしらず、ジュースやらでばくばく食い続けられません。
さて・・となると、次は何にしようか?
次に目をつけたのは すくい系だった。
これは最初、サクラ目的ではなかった。
話は少しさかのぼる。
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祭りといえば 金魚すくい。
金魚すくいはよくやった。
でも下手だった。
それなりに楽しかったので、あまり気にしてはいなかった。
そのうち、ピンポンすくいというものが登場してきた。
(今ではスーパーボールすくいとか言うらしい)
ピンポンすくいは すくったらすくっただけ貰えるのではなく、
すくった数に応じて大きいのが貰えたり、何かしら別の景品が貰えるのだ。
大体10個から、景品のピンポン玉が徐々に大きくなっていく。
10個以下だと すくっているピンポン玉しか貰えない。
直径2cmほどだ。
一番大きいので10cmちょとあった。
一番大きな物でも、ただの色付きと夜光のとあった。
夜光のやつが一番の景品だ。
でっかいピンポン玉が欲しくてたまらなかった。
何度も挑戦した。だめだった。
せいぜい10個程度しかすくえない。
目標の大ピンポンは100〜120個の景品である。
夜光ともなると120〜150個だ。
ぜんぜん足りない。
場数を踏んで練習するしかない。
すぐに金が尽きた。
何かいい手は無いだろうか?
よく見ると、テキヤのおっさんの周りには すくい紙の輪っかがたくさん落ちている。
こっそりと拾ってはポケットに詰め込んだ。
家に帰ると早速練習した。
拾ってきた輪っかにティッシュをはめ込む。
店のと強度は同じくらいだろう。たぶん。
さいわい、やりまくったおかげで小さいピンポンはたくさんある。
風呂場の湯船に水を張り、ピンポン玉を放り込む。
何が面白いのか、朝から晩までやっていた。
全部すくってはボールを戻し、またすくう。紙が破れるまで続く。
頭の悪さが伺える。
そのうち、2〜30個はすくえるようになった。
まだまだだ。目標は100以上である。
ティッシュの強度のままでは練習にならない。
トイレットペーパーで練習することにした。
すぐ水に溶けるし、やわすぎる。
「こんなんやれるかいー!ぼけー」
とか思わなかった。上手くなっていく自分がうれしかった。(あほや
いろいろ持ち方も練習したりした。引っ掻けとかもできるようになった。
次の祭りの時には100個以上すくえるようになっていた。
その頃から、たまにおっさんから声を掛けられるようになった。
「ただでええけぇ、もう1回するか?」と。
その時は ほいほい何も考えずにやっていた。
どんどん増える場数。
最終的に最高249個すくったことがあった。
時間にして40分ほど。(だったと思う)
のちに友達と祭りに行った時など、ピンポンすくいをやろうとすると置いて行かれる運命をたどる事となる。
最後まで付き合う人はいない。(見ててもつまらんので当たり前)
このスキルは今現在封印中。
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すくい系では散々サクラをやった。
客がぜんぜんいないような店を探しては、
「おっちゃん、景品いらんけぇ ただでやらしてやー」
と言う。金を払って腕前を見せる気は無い。
最初はすごく変な顔をされる。(当たり前
この時一人だと、追い払われることが多い。
なぜか従兄弟と2人だと、しぶしぶながらもやらせてくれる。
少しでも客がいれば、客が来やすくなるからだろう。
「ほんとに景品はやらんけぇの」
これはほんとによく言われた。
遊べればそれで良かった。
1度始めると20分以上遊んでいた。
それだけの時間、2人でわいわいやっていれば、見に来る人もいる。
うしろで「すごいすくっとるねー。」「すごいよ、あれ見て」とか言っているのが聞こえる。
テレながらも続ける2人。
集客効果は抜群である。
最初はしぶしぶだったおっさんも、たいがい乗ってくる。
「この子ら見てみ?ちゃーんとすくえるで。すくえん紙じゃないでー」「うちの紙はかたいよー」
ふと後ろを見ると、いつも人だらけになっていた。
小さな子供が「ぼくもやるー」とか言って親にせがむのをよく見た。
目の前でほいほいすくってるのだから、簡単そうに見えるのも無理は無い。
甘いョ。
案の定、数個すくった状態でリタイヤしていく客。
そう簡単にはすくえんよ。
ますますノリノリのおっさん。
「この子がすくいよるのよう見て、真似してみんちゃい。バンバンすくえるでー」
途中ですくい紙を取り替えられたこともあった。
「ほれほれ、ふつーの紙じゃろ?ふつーの紙でこれだけすくえるんでぇー」
まるで実演販売である。
それに乗ってくる客。
みるみる破れていく素人たち。
横でひょいひょい すくう二人。
恨めしそうに見る どっかの子供。
こうなると、頼む側から頼まれる側である。
全部破けてやめようとすると、新しい紙をくれる。
「一個だけでぇ」という言葉と一緒に大きいピンポンをくれたりもした。
これで味を占めた。
やがて一人がすくう係、もう一人は次のターゲットとなる夜店を探す係。
という作戦になっていった。
一通り見て廻ったら戻ってくるのだが、そのときが非常にわざとらしい。
「おりょ?そんなとこでなにしよん?」
「遊びよるんよ」
「どしたん!ばりすくうとるのー」
「なんか、ここの紙すくいやすいんじゃー」
「わしもやろうかのう」
「おー やってみーやー ぶちすくえるんじゃけぇ」
「おっちゃん、1回ね」
金を渡すフリはするが、フリだけである。
周りが驚くほどのでかい声。
ああ、わざとらしい・・。
(広島弁全開です。わかりにくくてすみません。字にすると汚いなぁ・・)
これでも結構客がつられるのが面白くもあった。
人がたくさん来ると、次の店に行く。
点々と店を渡り歩く二人。
行く先々でわざとらしい二人。
いろんなところで目撃される二人。
しかも すくい系ばかり。かなりおかしい。
感じの良いおっさんの店には、祭りの間しょっちゅう覗きに行っていた。
祭りの度にこんなことばかりするので、そのうち顔なじみのおっさんもできた。
そのうち、ちょっとした店番なんかもするようになった。
たまに食べ物なんかも買ってくれたりした。
良いスポンサー探しという、新しい祭りの楽しみができた。
というか、祭りの楽しみ方ではない。
あとはサクラではないが、小遣い稼ぎとして片付け手伝いとかもした。
祭りが終わりに近づくと稼ぎ時だ。
これは何でも良いから、片付けてるところを探す。
ビニールシートとかを片付けている、会場の片付けを優先的に探す。
この場合は地元のおっさんであることが多い。
家が近いため、たいがい祭りで飲飲みまくってヨッパだ。
「片付け手伝うけぇ、なんかちょーだいや」
ずうずうしいガキだ。
ヨッパのおっさんは大体、「おー、手伝ってくれるんか」とか上機嫌で言う。
祭りヨッパは上機嫌が多く、楽で良い。
して、後でアレコレ買ってもらうわけだ。
現金をくれたりもした。
それが終わるころ、テキヤも片付ける店が増える。
今度は食い物系の片付けを探す。
売れ残りを狙うわけだ。
最終的には、何であろうと声を掛ける。
ただし、感じの良さげなおっさん限定。
いやしいガキだったなぁ、と自分でも思う。
さんざんっぱら遊んで家に帰る。
毎回親が驚いていた。
両手にすごい荷物を持って帰る訳だから、驚くのも無理は無い。
それだけの土産を持ちつつ、貰った小遣いはほとんど手付かず。
時には増えていることもあった。
どう見ても小遣いで買える量じゃない土産を渡し、
あたかも自分が買ったように言う。
小遣いは全部使い切りました。と
やっぱり全部ばれてました。
