襲撃事件

 正直なところ、これを公開して良いものかどうか…
まぁ、見る人間が限られているので問題ないと思うのだが、問題ないだろうと思いつつ、びくびくしながら書き記しておく。
被害を受けた人間が見ていない事を祈るだけである。
はっきり言ってかなりやばい話だと思う…わたしを軽蔑しないでほしい。

 あれはいつからだったろう…記憶が薄れている。
おそらく、小学2年くらいの頃だろう…はじめたのは…。
花火の話で書いた通り、わたしはロケット花火が好きだった。
好きと言うよりもロケット花火以上に楽しめる花火はなかった。

 なにが楽しかったのか…他の花火と違うところ…
そう、何かに向けて打ち上げられる、思ったところに飛ばない、と言ったもどかしさがよかったのかもしれない。
他の花火と違い点火したら後は見るだけ、という以外の楽しみもあるのだ。
点火してその後に自分の思ったところに飛んでいくか、それが大事なのである。
点火が楽しいのではない。
点火までの計算する過程、そしてその後の経過が楽しいのだ。

 最初の頃はただ上に向けて打ち上げていた。
が、そのうち満足しなくなった。
当たり前である。
標的もなにもなく、ただ点火するだけなのだから。
そのうち、標的を探すようになる…
それは木だったり自分で置いた空き缶だったり、時には友達同士で戦争ごっこのように狙いあったりもした。
しかしそんなものはすぐ飽きた

 昔住んでいたうちの近くには川があった。
その川には"牡蠣船かなわ"と言う動いたりはしないのだが、川の上に浮かぶ大きめの船の料亭のような店があった。
牡蠣料理とかを食べさせるのだろう…少し高そうな雰囲気が漂っていた。
(ちなみにここのトップページに載っている船がそれである→かなわ)

 いつからか、ここが標的になった。
川土手からは15メートルくらいしか離れてなかったと思うが、その至近距離から狙い撃ちしていたのだ。
じかに狙うわけではなかったが、屋根の辺りなどとにかくこの船を狙ってたのは確かだった。
キャンプと違い、いつでもできる事だし、従兄弟が来る度にしていたので1日にだいたい2,3袋(30本相当)しかしていなかった。
まぁ、それだけでもじゅうぶん嫌がらせなのだが…。

 それは何年か続いた。
年を追う毎に過激になっていく。
1本1本狙っていたのが5本、10本と一発点火で攻撃したりもした。
まるでライフルからショットガンにグレードアップした感じだ。
自分らにとっては夏の風物詩だった。
夏休みにうちに従兄弟が泊まりにくると夜に
わたし「んじゃ、そろそろ行こうか?」
従兄弟「かなわ?」
わたし「そそ、襲撃♪
といった具合だった。(おそろしいガキだ
夏休みになると年に10回はやっていたと思われる。
回数が多いだけにキャンプのように大量にはできないのが残念だった。

 はっきり言って(言わなくても)店に来た客はいい迷惑である。
今考えるとひどい事をしたものだ。
普通の家庭ならば滅多に来れる店ではないだろう。
家族で楽しみにやってきたのに、すぐそばまでロケット花火が飛んできてはパンパン破裂するのだ。
お父さんがお金を無理してセッティングした舞台も台無しである。
わたしらは家族の楽しいひとときをぶち壊すゲリラのような存在だ。
もはや犯罪行為と言えよう。

 その時は子供だったので自分たちが楽しければよかった。
なぜか店の人も怒って出てこなかった。
まぁ、じかに狙わなかったからだろう。
しかし、悪い虫が目を覚ますまでにそんなに時間はかからなかった。

 今まで禁じ手だった、直狙いを決行し始めたのだ。
これは始末が悪い。
なにしろ、いままでは屋根のだいぶ上の方とかを狙っていたのだが、今度はその船その物を狙うのだ。
もはや子供の遊びではない

 従兄弟とどこを狙うか、船のどこに当てるか、どんどん遊びはエスカレートしていく。
そしてそのうちアツくなったわたしがいた。
わたし「じゃぁ、あの開いた窓狙ってみようか?」
従兄弟「それはやばいじゃろ?」
わたしもほんとに狙う気はなかった。
点火されたロケット花火は窓を突き抜け、客室の中へ消えていった…。
その後、破裂音が響いた。
とんでもない事である。
食事をしていたら突然テーブルの上にロケット花火が飛んできて破裂するのだ。
雰囲気も料理も、なにもかもぶち壊しである。
テーブルの上でも恐ろしいが、もしも人に直撃していたら…
しかも破裂…
さぁ、食べようと口を開いた瞬間に目の前に飛んでいたら…
中の様子が見えていないだけに想像が膨らむ。
いろいろ想像するほどに恐ろしい光景が頭の中に浮かんでくる。

 おそらくそこには運悪くお客さんが居たのだろう。
中の従業員の人がすっ飛んでくるのが見えた。
瞬間的にヤバイ!とも思ったが、悪知恵だけは働く子供のわたしは冷静だった。
従兄弟は「早く逃げよう」とおろおろしていた。
当たり前だ。
その時のわたしの台詞は「逃げんでええ、花火だけ隠せ。」だった。

 花火を隠した直後、店の人がわたし達の前に現れた。
店員「あんたらじゃろ、ここで花火しよったのは」
興奮気味である。(当たり前
わたし「はい?」
店員「花火しよったじゃろがね!」
ますます興奮するおばさん
わたし「花火しよったって…今ここ来たんじゃけど…」
店員「あんたらじゃないんね?」
わたし「あんたらって、なにが?」
店員「ここに誰かおったでしょ?」
わたし「だれかって?」
店員「だれか人、見んかった?」
わたし「あ、なんかあっちの方になんか走ってった人おったけど…」
店員「ほうね、ありがと」
店員さんは走って消えていきました。
とんでもないガキですよね、わたし…
こそこそ逃げるのではなく、堂々と逃げないと…(なにを偉そうに

 これを最後にかなわ襲撃は辞めました。
さすがに2度目に目撃されるといい訳が苦しいのでね。
…ただ、標的が変わったというだけの話で襲撃自体を辞めた訳ではなかったんですが…。
まぁ、その話はいずれ…。

ぁぁ、そうそう…この"かなわ"さん、うちの店によく出前取ってくれてたんですよ。
わたしも何度か持って行きましたし…近かったんで…。
その節はありがとうございました…とだけ言っておきます。
いまはただ、このページを関係者が見ないことを祈るばかりです・・・
そしてあの時のお客さんへごめんなさい。
でももう時効ですよね?(ぉぃ