少年

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 僕はいつも考えている。
 人間の多面性について。
 僕の心のなかには、壊れた魔人が1人。
 だって、誰も僕のこと解ってくれないから…

「やっぱり。あの少年、精神科に入れるべきですよ。俺こわいですって。」
 1人の若い、男がいう。夏の蒸し暑い日だ。
 外ではせみがみんみん鳴いている。1人の初老とはまだ早いが、熟年の刑事らしき男が言う。
「それは思う。俺だって。でもな、凶器が見つからないんだ。一体あいつあの短時間でどこに隠したってんだ…」

 それは、とっても暑い日で、僕の脳みそもきっと溶けてどこかへ行ってしまったんだと思う。そんな夏の昼下がりだった。
 僕は、心の魔人と戦っていて、そうして気がついた。
 ナニモカモキエテシマエ…
 ジブンニガイヲアタエルヤツヲ、マッサツシテシマエ…
 そうだったんだ。くすくすっ…そうだったんだ。ふふふ…
 僕は気がつくのが遅かっただけなんだ…

 学校へ行こうと思った。そうして、あいつらを、めった刺しに…
 ふふふ・・あーはっはは・・考えただけでも、楽しくて仕方がない。

 昼休みの学校は騒がしい。でも、誰も僕に目もくれないとこがうれしい。
 さて、あいつらを発見してやった。くやしいから、一人ずつやっちゃろう・・

 まずは、心臓を一突きなーんて、かんたんには死なせてやらないんだ。
 脇腹を刺してやった。悲鳴が耳に心地よい。
 暴れてしょうがないから、腕を切り落とす。
 うーーん、骨切るってたいへんな労力使うんだなあ…
 のこぎり持ってくれば良かった。
「声がうるさいんだよ」と言いながら、舌をちょん切ってやる。
 それでも、何か耳障りな音を発するもんだから、しょうがなくそこらに落ちてた ぼろ雑巾を口に入れた。耳を殺ぎ落としてやった。
 足も切り落としてしまえェ。やっぱり出刃包丁だけじゃ、大変だなあ。
 今度は、のこぎり持ってこよう。

 そう思っていたら、誰かがやってきて何か甲高い声で何かを叫んでいる。
 何なんだ?僕は骨を切り落とすのに一生懸命なんだから、声をかけないでいただきたい。っていうか、マジ邪魔されたくないんだよね。僕、切れちゃうよ?
 頼むからさ、マジで、マジで、僕に復讐を果たさせてくれよ。
 僕、本当に切れちゃうからね。こう見えたって、爆弾くらい作れるんだからさ。
 やめてくれよ! 僕を放してくれ。頼むから。はなせええーーーーーー


「一体凶器はどこに隠したんでしょうね。素手じゃ、あんなことはできないはず……」
若い男は、さも疲れたように言う。顔にはやはり、疲れがにじんでいた。

「あれは、包丁や、のこぎりなんかを使ってるはずなんだが……」熟年の刑事は、不思議そうに唸っている。
「そうなんですよ。聞き込みの結果、最初に彼を取り押さえた体育教師の話だと、包丁を振り回し、何か分けの解らない事を叫んでいたらしいです。切り刻まれた少年は、案の定あんな姿で、心臓も、脳波も、STOPしていたらしいですし……包丁は一体どこにやったんでしょう?」
若い男の言葉を聞きながら熟年の刑事は言った。

「あいつが、気が狂っていなければ聞き出せたのにな……まあ、正常なヤツはこんなことしないだろうがな」
そう言った言葉は、なぜか悲しそうだった……


 僕は、なんで、こんなところにいるんだろう?
 真っ暗でこわいし、こわいおじさん達がいる。ぼくは、復讐の続きをしなければいけないんだよ! あんた達にかまってるヒマなんて、ホンの少しだってないんだから。あと、4人。 やってやれなければ、あっ! そうだった、もう1人増えたんだった。僕の邪魔をした、体育のK! あいつも、やらなければ、でも、大人だから、体育教師だけあって、腕力は強いから、何か策をネらなければねえ……どうしたもんだか。

続く

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