| 1.伊丹とダイヤモンドシティテラス
2002年10月10日、兵庫県の伊丹市に、画期的な大型ショッピングモールが誕生した。その名も、「ダイヤモンドシティテラス」。
元々、ここの敷地というのは、東洋ゴムの伊丹工場だった。そこの敷地を再開発する形で、ジャスコを核店舗とする巨大なモール街に生まれ変わり、新しい伊丹のランドマークとして一躍注目されるようになった。
ダイヤモンドシティテラスは、伊丹市の東側に位置し、東西を猪名川とJR宝塚線に挟まれるような形で立っている。伊丹市の中心部にも近く、周辺は結構賑わっている。
元々伊丹市は、大阪のベッドタウンとして機能しながら、これまで核となる商業施設もなく、観光資源も乏しかったため、阪神地域では南隣の尼崎市以上に地味な存在であった。
伊丹市には、市の名前が取られた「伊丹空港(大阪国際空港)」がある。しかし、エアターミナルは全て東隣の豊中市にあり、しかも伊丹市の中心部からはかなり離れているため、単に空港の滑走路があるだけという感じで、空港としてのウリが弱いのである。
Amary自身も、伊丹市と聞いてすぐに思いつくとすれば、空港以外には、昆陽池(こやいけ)くらいしか思いつかない。昆陽池は、伊丹市の中心部の少し西側にあり、奈良時代に、かの有名な行基がため池として作ったこと、関西有数の渡り鳥の飛来地であることで名高い。池の真ん中に日本列島の形をした島があることでも知られるが、島の形が地上からはわかりにくく、飛行機に乗る際に運良く昆陽池上空を通過する際に確認できたりする。しかし、なんで島の形が日本列島なんやろう。まさか、行基が池作ったときからこうなんじゃあ…(^_^;)
ウリの少ない伊丹市であったが、だいぶ前から、行政が中心になって事業に取り組んできた。地元の文化を守る動きである。
伊丹は、清酒発祥の地とされていて、その歴史は灘より古い。市内には酒蔵がいくつかある。清酒「白雪」で知られ、戦国時代からの歴史を誇る小西酒造など、清酒メーカーが現在も品質のよい美味い酒を造り続けている。伊丹市は、清酒の街であることを大々的に宣伝していたりする。
また、JR伊丹駅の西側には、日本最古の石垣を持つ有岡城跡がある。元々摂津守護の一つ・伊丹氏の居城だったところを、当時織田信長の家臣だった荒木村重が攻略し、立派な城郭を築いた。後に村重が信長に反旗を翻し、10ヶ月の攻防戦の末に城は攻め落とされてしまう。さらに江戸期には廃城となって、廃城後も放置されていた石垣や土塁の大半も、明治時代に鉄道の敷設で取り壊されてしまった。
現在は、城跡は立派な史跡公園として整備され、最古の石垣も部分的に現存する。城跡周辺には松の木も植えられ、昔城があった面影を堪能することができる。
一方で、伊丹市は、独自の文化を育てることに対して大変力を入れている都市である。Amaryも、伊丹の自治体レベルでの文化的取り組みには、一目置いているところがある。
その一つが、美術関係の事業だ。市内には、阪神間では初の公営美術館となる伊丹市立美術館がある。美術館には、フランスでは有名な諷刺画家のオノレ・ドーミエの作品など諷刺系を中心に、多くの作品を所蔵している。ここは結構マニアックながら才能あふれる芸術家の作品の展覧会をやっていて、ハンナ・ヘーヒやビゴーの展覧会などをやったりするところは、なかなか美味しいところを突いているという気がする。ちなみに、美術館の隣には、松尾芭蕉や与謝蕪村、小林一茶などの作品を所蔵する柿衛文庫がある。
美術系だけでなく、演劇系もある。有岡城跡のすぐ西隣には、関西の小演劇の拠点のひとつである、アイホールがある。ここは、有名無名の劇団の公演はもちろん、若い舞台俳優を本気で育てる場を提供している。Amaryの知る限り、自治体レベルで小演劇に力を注いでいるところは、関西では伊丹市くらいではないかと思う。扇町ミュージアムスクエアなど小演劇の舞台が次々になくなる中、演劇を志す人間には、アイホールは非常に貴重な存在なのである。
他にも、市内には市民文化活動の拠点である「いたみホール」や、市民レベルでのクリエイティブな創作や展示を行っている「伊丹市立工芸センター」もある。まだ完全ではないものの、文化の街にしようと、結構本気で伊丹市は取り組んでいるようだ。
また、以前には、伊丹映画祭というのもあったが、残念ながらこちらは財政難のために、かなり前に中止を余儀なくされている。
なぜこんなに伊丹の文化について長々と書いているのかというと、ダイヤモンドシティテラスが生まれた背景には、文化に対する意識が高い伊丹の土地柄によるところが大きいということを言いたかったのである。
ダイヤモンドシティテラスを見回すと、とても計画性のある、文化的な要素が見られる。伊丹の古い歴史と、ダイヤモンドシティテラスの新しい文化的要素がうまく混ざり合い、非常によく考えられ整備されている様子が見て取れるのだ。
早速、ダイヤモンドシティテラスについて詳しく見ていきたい。
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