<タイトル>

毎朝のこの時間だけが今の僕にとって本当の人生なんだ。

いつものように朝の慌ただしい時間、僕は一瞬迷っている。
ややタイトぎみシルエットのシングルのスーツ。
パンツはノープリーツでこれもややタイト気味のシルエット。
僕のお気に入りのスーツだ。
鏡の前で最後の点検。OK、きちんとしている。
でも僕は迷っている。
一体何を?
それはアンダーウエァをどうするか。要するに着けるか着けないかを、だ。

さりげなく股間に当たる手。手の持ち主は同年代に見える。
僕は興奮を隠しもせずその手めがけて押し付ける。
手はゆっくりと確実に僕の興奮の中心を掴む。
これこそが今の僕の望んでいるもの。
僕の人生なんだ。
手はやさしく強くそしてしっかりと僕の興奮を弄ぶ。
そうだよ、もっと激しく、僕の意識を離れて興奮が先走る。

結局家を出る時に僕は数分迷った挙げ句、いったんきちんと来たスーツを再び着直していた。
そうこのスーツのパンツ1枚だけが僕の興奮と現実を隔てている。
しかもそれは今日が始めてと言う訳ではない。
既にいつもの事なのだ。
だけど、僕はいつも必ず少しだけ迷う。
良心の呵責かあるいは単なる自己欺瞞か。
けれど結局人生を楽しむ事が常に優先されるのだ。
 
夏場のスーツの薄手の生地。
生地が薄ければ薄いほど露骨に僕の興奮をさらけ出す。
僕はそういう基準でスーツを選ぶのだ。
はっきり見えない事がどれだけ人々の目に淫靡に映るか、僕は無意識のうちにその事を会得していたのだろう。
プレスのきいた薄い生地の下から僕の興奮が浮き上がる。
さりげなくスーツの上着のボタンを全て外して、その間から僕の興奮が見えるように軽く体をひねってみせる。

次に起こる事を想像するのはたやすい。
薄い生地の上からは僕の興奮と彼の手を隔てているものがごく薄い生地1枚だけと言う事がすぐに分かるからだ。
彼の指はすばやくジッパーの位置を上へ辿りつまみを掴み、静かにだが一気に下へと引き降ろす。
僕の心臓が最も高鳴る瞬間が訪れた。
彼の手はそれが当然の権利であるかのように、中に侵入し簡単に僕を捕まえる。
中だけで触る人もいるが、たいていは僕の興奮を現実へと引きずり出すのだ。
僕の興奮は更に高まり、とめどなく熱い涙を流しはじめる。
ああ今日もまた僕は人生におぼれている。