〜夢磨 迷歌撰〜
お題 “春”
![]()
春到来 告げる花粉よ 我が涙
洗い流せよ コート焼け焦げ
意味:世間では杉花粉が飛びまくり、春が来たのだなあ。だのに、私の
コートには焼け焦げが付いているとは、これ程の悲しみはこの世にある
のだろうか(いやない)。そんな私が(さめざめと)流す涙よ、出来る
ことならその焼け焦げを洗い流してはくれないものか?
解説:コートが焦げてしまった、作者の悲しみを如実に表わしたすぐれた作品。
悲しみの涙か、はたまた花粉症で目がかゆいのか、何れにせよその美しい
涙でコートの焼け焦げを清められないかを願う、作者の繊細な心が伝わり、
読む者をも、悲しみの渦に巻き込むこと必至である。
![]()
桜散り 緑の若葉 出でにけり
それにつけても 金の欲しさよ
意味:桜の季節も終わり、花も散ってしまったが、その後には若い命が
芽生えている。素晴らしいことよ。だがしかし、それにつけても私
の口座には、(残高が)3000円しかないのだなあ。空しいことよ。
![]()
春雨や 雨の雫の 子守唄
たらちねの母は 我叩き起こすなり (字あまり)
意味:春眠暁を覚えずというが、何故にこんなにねむいのであろう。
(摩訶不思議である)そして、雨の定期的なリズムが私をより深い眠り
の世界へ誘うのである。しかしそんなまどろみの時を遮るように、母は
「○○○!! いいかげんにお・き・な・さ〜い!」と叩き起こすので
ある。全く興醒めなことよ。
解説:母と子のふれあいが伝わるほのぼのとした、佳作である。
![]()
春風よ 教えておくれ 山田君
座布団運びで 飯食えるのか
意味:山田君よ、君は座布団と幸せを運んでいるだけで、ご飯が食べられるのか?
それともずうとるびの印税がまだはいってくるとでもいうのか?甚だ不思
議である。(山田君本人に聞くことは出来ないので)春風よ、どうか教え
てくれないか?
解説:これは作者が常日頃、疑問に思い続けている事を短歌に表したものである。
愛妻けいこさんとの間に子供が4人もいるという子沢山の家庭で、笑点
大喜利のコーナーで座布団を運んでいるだけで、果たして生活が成り立っ
ているのかを憂れう、作者のやさしい気持ちをよく表現している作品と
いえよう。
![]()
過ぎ行く春に涙しつつ...
さくら寺 つきたる鐘の 悲しさよ
各種料金 引き落としかな
意味:桜の散ってしまった寺の、鐘をつく音は、一層物悲しく響くものだなあ。
それと同じように、私のさくら銀行の口座も、お金が尽きてしまった。
たとえ明日が給料日でお金が入っても、丸井のローンを始めとする、
各種料金の引き落としでまたお金が減ってしまうのだなあ。これ程の悲しみ
がこの世にあるのだろうか?(いや、あるまい)
解説:つきたる鐘と、お金が尽きるを掛け言葉にしていて素晴らしい技巧である。
そしてさくら銀行の口座を、桜が散ってしまったさくら寺と例えることに
よって、(残高が、1000円になってしまった)作者の深い嘆き悲しみを、
より一層読者に伝える結果となっているのである。この歌は、平安時代の
六歌仙の歌に匹敵する名作であることは言うまでもない。