「夜明けの空と少年」

 

「君の探し物があるよ」

月は三日月だったから横顔のままそういう

(それはまるでナイフの様に冷たく)

だから僕は大きく息を吸って叫んだ

「それはどんな言葉!?」

すると星がびくっと揺らめいた

(きらきらと揺れるけれどそれは幻にすぎなくて…)

そのうち二、三個がホウキ星になって零れながらこういう

「その言葉に逢いたい?」

(消えていく星は誰かの想いを託されたがどうすることも出来ないまま消えていった)

だから僕は宙に大きく手を伸ばしていった

(大きな白い翼をひろげたんだ!!)

「逢いたいよ!だから教えて!」

すると月は三日月だったから横顔のままこういう

(それは夜空の傷痕のように)

「答えはほら、もうすぐだよ」

するとそのとき世界に光が射した

(輝きは世界を壊していく)

「逃げろ!世界が始まるよ!」

星たちがわらわらと逃げていく

(それはいつものように醜い)

のろまな何匹かが光に食われていくのが見えた

(悲しみや痛みを断末魔にこめて)

光は太陽だったからすべてを照らして世界を飲み込む

(受け入れれば快楽にもなるのに)

「その言葉は?」

僕は消えていく夜に溶けながら尋ねた

(夜は寂しがりやで孤独だったからしょうがない)

太陽は世界を始めようと大きく大きく膨張していく

(温もりは不幸もまた作り出すけれどね)

「言葉は始まりだよ」

もう僕には体が無かったけれど

(その心は誰のものでしょうね…)

太陽はそういって僕を食べていく

(食べられていくのかもしれない…)

「始まり?」

僕の最後の言葉に始まりが答えた

(産声は命の歌声だったがそれは悲しい気がした)

「ハッピーバースデイ!!」

(始まりは終わらないところにある言葉だといった)

今日は僕の誕生日

(僕はいつも生まれるけれど)

生まれてきた意味を明日までに見つけなければならない…

(そうでなければ…)

僕は空を見つめてヒトリゴトを尋ねた

(尋ねずにはいられなかったんだ)

「さて、今日はなにをしようか?」

(なにも残せはしないことが分かっていたけれど何もしないのはつまらないから)