「月の唄」

 

月の光がさらさらと
囁く遥かの夜の唄
群青の闇を幾重にも
重ねた木々の群れは奏でて
静寂の雨
朝露はその

藍色の
葉脈を伝い
落ち続け
奈落の底の
澄んだ鏡を
やさしく歪ませる…

白い銀の輪がいくつもの
旋律となり消えていく唄
緩やかに移り行く
洸に紅く上弦の月
揺らめく残り火
瞼の裏に残るのは
形を忘れた月陽炎
ゆらゆらと揺れて
そのままそっと
消えゆくばかり…

霞んだ声と月の横顔
澄み渡る夢
響く唄
生まれ来る朝
その度に
そっと耳元に
残った温もり…