「錆びた星の箒星」

 

…それは錆びた月の欠片でした

…不思議に思った女の子はちょこんと屈むと

…その欠片を拾い上げました

…きょろきょろと見上げた空はもう茜色に染まって

…いくつかの月がうっすらと揺れていました

…きっと零れてしまったのね

…女の子はその欠片をちいさなぽっけにしまいこむと

…空に浮かぶ幾つかの月を見つめて囁きました

…いったいどの月のものだろう

…幾つかの月はただゆっくりと空を巡り

…くるくると回っていました


…月は人が作ったものでした

…綺麗な水ばかりある月もあれば

…緑が溢れる月もありました

…人は地球から溢れてしまったいろいろなものを

…月を作って残そうとしたのです

…錆びた月の欠片はきっと

…鉄で出来た月の物に違いない

…女の子は一人ベットに寝転んで

…錆びた月の欠片を見つめながら

…見たこともないその月の景色を思い浮かべるのでした


…それからずいぶんと時はたって

…いつしか

…女の子は死んで

…欠片は女の子と一緒に埋められました

…女の子は成長して

…大人になって

…そしてそこで死にました

…そこは

…どこまでも冷たい

…鉄の町でした

…女の子は空に浮かぶ

…大きな青い星を見ながら

…ゆっくりと瞳を閉じて

…そしてすこし笑いながら

…その錆びついた鉄の欠片からそっと

…手を放すのでした

…女の子は

…欠片を月に返しました