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「かの駅に」の巻 葉月 捌
発句 かの駅にはぐれしままの月日かな 倭子
脇 風の間にまに帰燕いく度 夢為
第三 二八夜の獏の歩みは優しくて 季幻
4 みやうみまねで新蕎麦を打つ 岬
5 乾拭きの縁に広げし畳紙 カンナ
6 遙か向かふのサイレンの音 空木
ウ
7 原宿の退屈さうな暦売り 葉月
8 茂兵衛もどきになる近松忌 季幻
9 形代の重なり添ふて流れゆき 夢為
10 G線上を風の戯れ カンナ
11 惚けゆく母の記憶のふと戻り 倭子
12 望むはひとつやめて増税 空木
13 焼酎を麦茶で割って夏の月 竈猫
14 番で飼はれエンゼルフィッシュ 祐
15 皆の衆古稀を過ぎてもエベレスト 空木
16 春障子開け写真並べて ひまわり
17 花大樹めじるしとなる国境 岬
18 夢か現か亀の鳴く声 爽魚
起2003.9.19 尾2003.10. 8 「 鎮魂の 」
発句 鎮魂の歌あるごとしせみ時雨 晩夏 結子
脇 碑に向く白きパラソル 三夏 岬
第三 名水の揃ふ茶房に安らぎて 葉月
4 窓辺にゆらりやじろべえ吊り 竈猫
5 満月を背負ひて走る高速路 倭子
6 松茸せり値携帯で聞く 季幻
7 山々は露の重さの中にあり 夢為
8 アラバスターのあの唇が欲し カンナ
9 ひとしずく妖精パックさあ出番 空木
10 熱き吐息に舞台暗転 倭子
11 濛々と砂塵に煙る星条旗 岬
12 諜報員に月の影凍つ 空木
13 胃薬のつもりで飲んだ風邪薬 岬
14 チワワはいつも何か問いたげ 倭子
15 斜交ひにみつめる眼モジリアニ 空木
16 本屋の隅に春の特集 葉月
17 ゆくりなく地酒に暮れる花の宿 岬
挙句 海市のごときうたたねの夢 季幻
2003年8月25日起首 9月15日満尾
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