☆ノーサイドの笛が
鳴るまで――vol.3☆
〜ラグビー日本選手権観戦記〜
楽しみにこの日を待った4試合だったが、蓋を開けてみればこれほど各スタジアムでノーサイドの
笛が待ち遠しかったゲームはなかった、というのが正直な感想だ。それは接戦がもどかしく
贔屓チームが早く逃げ切って欲しいとの想いでは、もちろんない。疲れ果てた学生達の表情と
それに付き合うようにコンセントレイションを落としていく社会人チーム。日本選手権が
トーナメント方式になってから4度目のシーズンを迎えても一向に社会人と学生の差は縮まらない。
いや、それどころか開く一方ではないかと憂う。この形式で続けても意味がないのでは?
という声が昨年も聞かれたが、今年は尚更強いように感じた。社会人が強くなったから仕様が
ないという声がある。でも世界では相変わらず全くと言って良いほど‘後進国’に甘んじている
我が国。出口がないと言われるラグビーの現状を突き付けられた気がして贔屓チームの快進撃
にも手放しで喜べなかった。
☆不満☆
「守りが出来なかった」「BKのしたいことがわからず、質の低いゲーム」「ミスだらけ」。
其々勝利チームの監督の口から出た言葉である。79−26、70−5、78−7という大差で相手を
一蹴してもそんなことは全く頭の片隅にもないという口調で語られた胸のうちは、リベンジ、
リベンジ、完全制覇であろう。学生には申し訳ないが、多分この日本選手権は近いうち別の形式に
姿を変えることだろう
★意義★
何度も繰り返して恐縮だが、現行の日本選手権に意義はない。以前に比べて学生の力が低下して
いるかどうかを比べるすべはない。が、社会人との差が大きくなっていることは明らかだ。現行の
スタイル以前には、社会人と学生の各々の優勝チームが対戦する形で日本選手権が行われて
いたが、学生チームが少数回ではあるが、社会人チームを下したこともあり、また敗れはしても
圧倒的大差でないケースも少なくなかった。いずれにせよ、過渡期である、日本選手権も日本
ラグビー界も。良い意味での過渡期ではなく、悪い意味の過渡期とでも表現するべきだろうか。
要するに頭打ち。アジアだけの王者に留まっていてもよいなら、改善も努力も必要ではない。
が、世界レベルに近付いてきたサッカーのプロセスを見せられて、「このままでいいよ」と言う
関係者がいたら噴飯ものだ。誰もそのようなことを心から感じている者などいないはずだ
と信じたい。
☆出口☆
素人の私などがどうこう言うまでもなく、関係者は出口を探していることだろう。即ち底上げを
すること――これ最大の強化策であることは誰の目にも明らかだ。何度もサッカーと比較して
申し訳ないが、サッカーが比較的短期間で向上し、世界との差が縮まってきた理由には
底辺の拡大に成功したことが挙げられるのではないだろうか。プロとアマの垣根が低く、
プロの門戸は常にアマに向かって開かれている。学校教育とは異なる入り口を持つサッカー、
例えばクラブチーム(プロ)が下部組織として抱えているユースチームなどがその例だ。
そこに所属しながら、学校(高校・大学)に通う。或いはそこからTOPチーム加入を許される者。
野球では考えられない、或る意味では恵まれた環境がサッカーにはある。そんな垣根のなさは
他のところにも現れている。クラブの上下チーム同士だけでなくTOPチームが高校や大学、社会人
などとの交流試合を頻繁に行う。この現状は日本のスポーツ界では珍しいが(野球のプロアマの不仲
と比較してみて欲しい)このことがサッカーを飛躍的に(少なくとも私にはそう感じる)発展させた
一因であると思っている。サッカーのことばかりになったが、ラグビー界が学ぶべきものが
あるのではないだろうか?
★期待★
日本選手権から派生して否定的な見解を並べてしまったが、いつまでも‘悪い過渡期’ばかりが
続くとは思えない、思いたくない。社会人と大学の差が広がったことは一つの今後への示唆で
あって、方向転換を迫られているという実情を関係者がしっかりと受けとめ、今後を作り上げて
行ってもらいたいと思う。何より日本選手権はまだ1回戦が終了したばかり。面白いのは
これからだ!リベンジがなるかどうかの前にリベンジ権をかけて戦うサントリーとトヨタの
ゲームはタイトでアツイものになるだろう。18日はそれをしかと見届けたい。もちろん、
神鋼も完全制覇のためにまずNECを倒さなければならない。こちらもアツイゲームを期待する。
「乗りかかった船」ではありませんが、引き続きラグビー観戦記を書いてしまいました。
このままだとまだあと2つ続きそうです。よろしければお付き合いください。(笑)