☆ノーサイドの笛が
鳴るまで――vol.5
〜ラグビー日本選手権・決勝観戦記〜
「茶ぁも湯ぅも冷めてから何やってんねん!」という表現が、関西にはある。
つまりその読んで字のごとく、試合があったのは先週の日曜、すっかり終わって
しまっているネタなのだが、あれこれ事情があって書けなかった。だからと言って
折角これまで世紀末から新世紀に至るシーズンの幾つかの試合を追いかけて来て
おきながら、ラストをきっちりさせずに済ませるのは自分なりに心残りで、たった
それだけのために、いくら遅れても、この項だけは書かなければと思っている。
たったそれだけのためだ。一人のラグビー好きの気紛れな連載。気紛れで始めても
終わりはすがすがしくしておきたい。それがノーサイドの精神!なんてね。(笑)
☆今更なんだけど☆
書き始めていきなりのこのタイトル、本当に今更書くのはかなりムリがある。(苦笑)
結果は同点で引き分けで、史上初の両チーム優勝、であった。まるで
おさらいだ。(笑)
今頃書いているのだから必然的に今までのものと内容が違ってくるのもやむを
得ないが、まぁ、いいだろう。(このあたりがいかにも私らしい)振り返り
思い出しながら書くのもオツなものだ。(開き直り?苦笑)前回に下馬評との差を
中心に書いたが、先日も下馬評と言うものが無意味なものだなぁと試合中に
実感した。つまり前半は神鋼がハシリ、後半はサントリーが攻める。それが定番の
ように書かれた報道を幾つ見聞きしただろう。が、蓋を開けてみれば
勝負はいつも
新しい。下馬評をあざ笑うかのような展開にわくわくしたというより
本音ははらはら。
ハシルはずの神鋼が走らないではないかーーー!今更騒ぐか!と言うなかれ!
いいゲームを振り返るのは何度やってもいいじゃないか…(笑)
★いいなぁ!★
そんなこんなで意外な光景(苦笑)が繰り広げられた前半。つまりサントリーが
予想を覆して19−12とリードして折り返すことになる。神鋼の出足は決して
悪くはなかったが、強風のためかラインアウトで失敗を繰り返す。前半リードは
計算に入っていなかったのか、会場の雰囲気が今までと違うようなハーフタイム。
敵のラインアウトミスにつけこみ圧倒的にボールを支配したサントリー陣の胸中は?
「もう勝った!」とここで思えるはずはなかっただろうけれど、何かが違ったのでは?
こんな大一番を見に行ける人はいいなぁ。たとえどんなに風が強くても画面の前で
なく、あっちに居たい。そんな想いを胸に抱いて、後半を待つ。神鋼の応援に行って
サントリーに声援を送ってしまったとメールをくれたCalimeroさん。
観戦、羨ましいです!
☆下馬評の無力☆
前半をリードしたサントリーの選手達の心に「やっと勝てそうだ」との
想いが宿らなかったとしたら、それはウソになるだろう。前半かなりのリードを
許しても追いついて、肩を並べて、引き離して、という展開を今までやってきた。
だから、後半をビハインドなしで、折り返せたらそれは即ち栄光への道のリだと
考えた選手が居ても、誰もそれを責められない。それは今まで3度の引き分けで
勝ちに飢えた魂にとってオイシイ展開であったから、尚更否定できない。
反対に失うものがない神鋼側は攻めることしか頭になかったはずだ。後半開始
早々から積極的に継続×展開。相手がやってくる攻撃をぶつけた。ぶつけられた
サントリーはボディブローのように前半の‘とばし’のツケが身体に回ってきた
のを感じる。これまでとは逆だと感じる余裕などなかっただろう。それくらい
激しいゲームになった。逆転、再逆転、また逆転。そして…こんなゲームを
誰が予想しただろう。どんなシナリオを用意しても選手達が書き直すそれには
到底かなわない。嗚呼、もうこのままどっちが勝たなくてもいい。どっちも
勝っていい。ゲスト解説の両氏ですらそんな発言をしていたのが印象的だった。
★リアルノーサイド★
そして、サントリーはまたしても神鋼に勝てなかった。4度目の引き分けだ。
「優勝なんだから笑おう」という声がサントリーフィフティーンの中からあがり
ようやく笑顔が見られた表彰式前の一瞬が印象的だった。神鋼フィフティーンは
最初から笑っていた。特にキャプテンを引き分けではあるけれど、優勝という
最高の形で務め上げることが出来た増保は、いい顔をしていた。27−27、
世紀末から新世紀を駆け抜けた今シーズンは、因縁の対決の神鋼、サントリー
両チームが劇的な引き分けの、両チーム優勝という結果で幕を閉じた。
おめでとう!そしてすぐに始まる世界に向けての戦いにアツイ想いを引き継いで
欲しい。ラグビー界が抱えている問題は容易ではない。世界との歴然とした差。
それを縮めると言っても、景気の不透明感が長く影を落とす影響か、明るい
話題はなかなか聞こえてこない。底辺の拡大もままならない。しかし、
不撓不屈の魂は本来ラグビーが一番得意とするところではないのだろうか。
こんな時であるからこそ、地道に底がためをしていってもらいたい。前へ、
前へ!ペナントが気になっても、2002年にはにわかフーリガンになっても(?)
決してラグビーのことを忘れるわけではないから!いつも見ているファンが
ここに居るから!心はいつもノーサイド、野球だけの人にもサッカーだけの人
にもなれなくて、気が散ってばかりだけど、心は誰よりもアツイよ。
誰よりも
アツイノーサイドの心を持って、ここに改めてスポーツ熱中宣言をして、
この項の締め括りとします。『ノーサイドの笛が鳴るまで』の2000-2001年
バージョンのご愛読、ありがとうございました。