プロローグは華やかに!
     〜サッカー五輪代表・予選リーグ緒戦観戦記〜


その日程が発表された時から、変だなとは感じていた。
サッカー競技のことである。
シドニーオリンピックなのに、何故にキャンベラやメルボルンで開催?
15日が開会式なのに、どうして予選リーグが13日開始?
いったい誰がそんな変なことを決定したのか???


選手もサポーターも一抹の???を抱きながら
スタジアムに赴くのではないだろうかと、
そんな勝手な想像力を働かせながらも
その日が近づくにつれて、ゲームの成り行きを頭の中のスクリーンに巡らせ始める。
先発メンバーは自分で決める。監督気分だ。(苦笑)
13日に先の予選リーグがスタートすると気分はもう
シドニー、でなくて(笑)キャンベラ!

当日はバタバタした日常を縫って
日記に五輪代表へのメッセージを書きこむ。


歴史に残る試合にしようとフィリップはハッパをかけた。
それぞれの脳裏を駆け巡る自らのピッチでの姿。
それは現実のものとなるのであろうか?
スタジアムで声を嗄らして叫ぶサポーターより
TVの前に釘付けにされる視聴者より
勝利が欲しいのはそこ―ピッチ―に立つイレブンであろうと想像する。
2002年のため、日本サッカー界のため、
そして何より、誰よりもサッカーを愛する自分自身のため。
キックオフまであと2時間を切った。
さぁ、船出だ。Bon voyage!



◇スタメン予想◇

数日前某BBSにスタメン予想を書き込んできた。
サッカー関連サイトではなく、個人のサイトに、である。
それは予想というよりは自分ならこういう布陣を敷きたいというもの、
でも、ホントに敷きたい布陣よりは少し変えた。(予想というニュアンスで)
試合が終ってしまってからどうこう言っても仕方ないのだが、
一応、緒戦は↓のような布陣を願った私。


   高原            ←1トップでいいのさ!
     ひで          ←ひでもFWなのだ
   中村            ←任せたぞ、俊輔
 本山   イナ        ←突破力十分、ゴールを狙え!
 酒井   明神         ←酒井はモロッコ戦で良かった
こーじ 森岡 松田       ←宮本を入れたい気もある
   楢崎            ←彼しかおらんでしょ!

本山は実際は後半からであろうとは思ったし
1トップで行くとは正直思えなかった。
でもFWは高原以外信頼出来ないんだよね。
YクンやHクンなら宏太(吉原)の方が絶対ええ!(笑)


実際のスタメンではYクンが起用されていた。(ま、仕方ないか、苦笑)
DFは松田ではなく中沢ゆーじが起用されていたのは嬉しかったな♪
ゆーじが何故スタメンに抜擢されたかは試合経過と共に
フィリップの戦術として、彼でなければならなかったのだと思える。特に前半!

◇ベールを脱いだ南アフリカ◇

フィリップ(トルシエ)はかつて率いたチームのことをどれほど知っていたのだろうか?
率いられたチームを含め、当地ではフィリップの評判は良くなく
『トルシエをやっつけろ!が南アフリカのスローガンだ』とまで書かれた。
しかし、彼はやはり結構チーム事情を知っていたのだろうと私は推察する。
◇スタメン予想◇のところにも書いた中沢の起用がそれだ。

アフリカ諸国のここ数年のサッカー技術の向上は目を見張るものがある。
前回のアトランタ五輪で優勝したナイジェリアをはじめ
1998年のW杯でもアフリカから出場したチームが欧州チームを苦しめた。
今回の南アフリカチームにも身体能力と運動能力がずば抜けた
素晴らしい選手が居ることは予想出来たが、蓋を開けてみると考えていた以上であった。

開始後数分して、南アフリカが容易な相手でないことを選手達は理解したはずだ。
フラット3のはずが、5バックのような形になっている。明神が守りに徹しているだけでは足りず、
俊輔が最終ラインに加わっての必死の防戦だ。中沢もよくついているが、
相手FWのすばやい動きに翻弄されている、森岡も、こーじ(中田)も!


開始時のフォーメーション(スタメン表)を見逃したが、
中継のアナウンサーによると俊輔は左サイドに入っているようだ、
が、それにしても俊輔の守りは彼がまるでDFで参加しているのではないかと思えるくらい。(汗)
6番フォーチュン、15番ノムべテ、17番マッカーシーの動きが特に良い。
リーガ・エスパニョ―ラで活躍しているんだって?>マッカーシー
なるほど、凄いわけだ。が、負けるわけにはいかない!

15分、中沢が倒される、痛そうな形相だが、こらえて残る。彼にとってはスタメンは光栄だったろう。
抜けるわけにはいかないはず!と思っていたら、守りが段々良くなってきた。
その調子だ、振り回されるなよ!187cmのその体なら2トップを止められるさ。
フィリップの抜擢に応えてくれ!>ゆーじ。


個人技に圧倒されていては突破が謀れない。それは見ているものとて同じだと冷静に試合を見ようと試みる。
ふむ、ノムベテやマッカーシーは確かにいい選手だが、戦術と呼べるものが殆どない。
とにかく彼等に出すというゲーム運び。単純だ。行けるぞ!

◇拮抗の中で…◇

相手FWにいいとこ見せられてばかりじゃやってられないぜ!
と言わんばかりに22分、高原がミドルシュート!
ええやん、走り負けないその闘志は頼もしい。やってくれそうな予感。
が、31分、アウトしそうな球をひょいと拾ったマッカーシーが上げたセンタリングは
ノムベテのヘッドにドンピシャで、先制ゴールを許してしまう。(汗)
くそぅ、やっぱりこいつらにやられたか!(お上品ですこと、苦笑)


その後ひでと高原が再三チャンスを作り、イナが参加するも、惜しいシュートが外れる。
俊輔は相変わらず守備の人になっている。もう少し真中でプレイする俊輔が見たい!
とは言うものの、一見ディフェンシブのように見えるゲーム運びだが、決して消極的でも劣勢でもない。
思えば『ドーハの悲劇』の時も、アトランタの時も守るサッカーで惜しいところまで行き、
結局は敗退した。1998年のW杯の時もそうだった。
が、今日はムードが違う。いや今日だけではない。
フィリップが監督になってからというもの、先制されても慌てないサッカーが出来るようになった。
それは戦術のなせる技か、それとも選手の精神力の賜物か。
いずれにせよ、先制されてもジタバタしないサッカーが出来るようになったことは素晴らしい。

前半44分ゴール前でFK、守備の人から本来の位置に戻った俊輔の左足が振り上げられると
前方に居た2人のプレイヤーが相手DFと空中戦を競った。
より後方に位置していた高原の顔が右に振られた直後、ボールはゴールネットに突き刺さる。

Goa−−−−−l!!!
同点!同点!同点!
あぁ、このまま終了してしまうのが惜しいような前半。
それにしてもアナウンサー、ゴールを連呼しすぎ!(笑)


◇Intention for the victory◇

勝ちたい気持ちはピッチに立つ誰もが持つはず。
後半になっても相変わらずの布陣で、本山は?という声があがっていた。
同感だが、前半終了間際のあの雰囲気を大事にしようという試みか。
でも、このままでは俊輔が…後半開始早々、猛攻を受ける。俊輔の捨て身の守り。
あぁ、キミのintention for the victoryに涙が出るよ!


五輪壮行の2試合では、特に第1戦では体のキレが悪かったひでだが
本番ではやってくれるものだなと、前半を見ていて思った。
相変わらず‘意地悪なパス’で、某氏によるとミスパスと酷評されるパスだが
組む相手によってはスーパースルーパスなのだ。(笑)
高原が相手ならその可能性が高い。期待しておこう。
体をはって守る俊輔の守備はマンガ調に言うなら‘炎の闘志’だが、
彼が守っていては得点チャンスが限られてしまう。ひで→高原のラインにイナが加わる程度。
はっきり言ってYクンには全然期待していない、Yクンサポの方、ごめんなさい。(苦笑)

再三の相手2トップの攻撃、それしかないとわかっているがなかなか止められない。
アブナイ場面が続く。ここが我慢のしどころという感じ。
ゆーじ(中沢)は前半からよくオーバーラップしているなぁ。タフだ!スタメン抜擢が奏功しているね。
うーん、でも打開策はメンバーチェンジしかないんでないかい?>フィリップ


◇真打登場!◇

スピードのある彼が入れば試合が一変するのはわかりきったことなのに、
なかなか彼をピッチにあげない理由は何なのだろうとじりじりしていた。
解説者の松木氏もひでが、俊輔が前に出る必要性を繰り返していた。
いつ?いつになったら出てくるんだ!いつまで引っ張る気なんだ!>フィリップ。


ぎゃー!フォーチュンの爆走がっ!
こっらートルシエ!早く、早く、本山を出せ〜〜〜!!!
いつまで待たせるんだ〜〜〜!!!

33分、待ちかねた真打登場!
登場するやいなや、元の位置に入って水を得たような俊輔とひでの動き。
面白いようにつながったパスはゴール前の高原に。
これを実に落ちついて決める!やっぱりキミがエースや!>高原。
勝ち越しのGoa−−−l!
またしてもアナウンサーがゴールを連呼、その数ナント28回。(汗)


試合はその後なんとか逃げきり、日本チームは緒戦を見事勝利で飾った。
開会式に先駆けてのこの勝利は日本選手団の士気を大いに盛り上げるものであると信じている。
この試合に勝つと負けるとでは大違いなのだ。

メディアはこぞって高原を取り上げている。映像も紙面も高原一色である。
チャンスに落ちついて決めることの出来る精神力。相手を恐れない闘争心。
彼が持っているものはこれまでのFWになかったものであることは疑いようがない。
が、彼一人の力で勝てたのではないことは明らかだ。
戦術とそれに応えた全ての(一部省きたい選手はいるが、苦笑)選手、特に俊輔と中沢の健闘を称えたい。
スーパーサブの本山はその称号にふさわしい働きをした。
酒井、中田こーじも脚を止めず良く動いた。本番に強いひでは流石だ。

フィリップの戦術に応えたイレブンに 今は心から拍手を送りたい。
おめでとう、そして、ありがとう!五輪代表メンバーのみんな!
次の試合も思いっきりサッカーを楽しんで欲しい。
キミ達の笑顔が全てのサッカーフリークを元気にするから!